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プロフィール

響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
【18禁表現を含みます】


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ズッ・・・ズズッ・・・
結構キツイなぁ。
薫くんは声をこらえながら、自分のペニスをしごきだした。
ぐんっと奥まで差し入れると、俺は薫くんを抱きしめて耳元で囁いた。

翔  「どう?1年ぶりの生チ●コ。」
薫  「んっ・・・ふぅ・・・気持ちいい。」
翔  「じゃぁ、動くよ」

俺は身体を起こし腰を動かし始めた。

薫  「あぁっ・・・あん・・・あん・・・あぁ・・・」

俺がペニスを抜き差しするたび声を上げる。お尻も感じやすいのね。
薫くんも自分から腰を動かしてきた。なかなかいやらしい腰使いだ。
ぐちゅぐちゅぐちゅ・・・パンパンパンッ・・・・
水音と腰を打ち付ける音が響く。
ふぅ。俺も気持ち良くなってきちゃった。ちょっと体位を変えよう。
俺は薫くんを抱き起こして、自分が仰向けに横になった。騎上位状態だ。

翔  「自分で動いてみて。」
薫  「うん。・・・あぁ・・・・はぁ・・・・」

おおっ、来るね~。具合もいいし上手いな。
薫くんも自分の気持ちいいところに当たるように腰を動かしている。
ペニスをしごく手にも力が入ってきたみたいだ。

薫  「あぁ・・・・はぁん・・・気持ち・・・いい・・・」

薫くんの顔もかなり上気してきた。俺は下から腰を突き上げる。

薫  「あっ!・・・いい・・・・はぁ・・・・」

かなり感じてきたみたい。でもこのままイっちゃうのはもったいないな。
せっかく身体も柔らかいから、いろんな体位でしてみちゃおう。

翔  「バックでしたいな。」
薫  「はぁ・・・はぁ・・・うん。」
翔  「じゃぁ、抜くよ。」

俺はゆっくりペニスを引き抜くと、薫くんを四つん這いにして後孔に差し込む。
ぐっっと奥まで入れたら躊躇せずに一気に腰を使う。

薫  「あぁ・・・あん・・あん・・・」

薫くんの両手を後ろから引っ張る。馬の手綱を引くように持ちながら腰を打ち付ける。
すかさずカメラが前に回って、喘ぐ薫くんの顔と、上を向いてゆらゆらと動くペニスを画に撮る。
そのまま俺は仰向けに寝転んだ。
薫くんは串刺しにされたまま俺の上にしゃがんで腰を動かす。
俺は薫くんが動きやすいようにお尻に手を添えて結合部分を観察。ん・・・いやらしい。

翔  「チン●が出入りするの、良く見えるよ。」

俺はあえて羞恥心を煽る。
薫くんは、自分のペニスをしごきながら、感じてる様子。
いい画が撮れているはず。
身体を起こして薫くんの上半身を抱えて一緒に横になる。
四十八手の<窓の月>っていう体位のちょっとアレンジなんだけど、俺コレ好きなんだよね。奥まで入って気持ちいいの。更に薫くん身体柔らかいから片足を抱え込んであげちゃう。
空いた手を腕枕にしてあげたら握ってきた。可愛い。お礼に恋人握りしてあげちゃう。
でもって、思いっきり奥まで突くよ。

薫  「ああっ・・・ああん・・・あん・・・深いよ・・・」
翔  「ふぅ・・・すっごい絡んでくるよ。」
薫  「んっ・・・いい・・あんっ・・・奥当たって・・・いいっ・・・」

薫くんは更に身体をひねってキスを求めてくる。
舌を絡めて、上も下も激しく出し入れしちゃうのさ。
薫くんはキスで更に感じてきたらしく、腕をまわしてきたのでそのままつかまってもらって正上位に。
このまま、フィニッシュまでいっちゃってもいいかなぁと思い、上から薫くんの顔を見下ろすと、瞳をうるうるさせて感じてる。可愛い~。
キスをしながら腰の動きを速めると、いきなり俺の首にしがみついてきた。

薫  「あぁっ!ああっ・・あっあっぁつぁ・・・んんっ・・・」

えっ?過呼吸?と思った瞬間、俺のペニスがすっごい勢いで締め付けられた。

翔  「うわっ!・・・すっごっ・・・締まる・・・ふぁ・・・」

その締め付けはものすごい勢いで、頭は真っ白になり、雄の本能だけが俺の腰を動かし続けた。

翔  「ふぅっ・・・ふぅっ・・・・うっ・・んんっ」
薫  「あぁ・・あんっ・・・あぁぁぁぁぁあっぁ!」

俺は薫くんの中に吐精した。
肩で息をしている薫くんの頭の横に顔を埋めて荒い息を整え、やっと思考回路が回復し始めた。
その間に、ディレクターのゲンさんによってカメラは止められていた。
やっとの思いで身体を起こして薫くんのペニスをみると射精はしていない。
薫くんの髪を撫でると、瞼を開いた。

翔  「・・・何?・・・いまの・・・?」
薫  「はぁ・・・はぁ・・・」
翔  「・・・もしかして・・・ドライ?」
薫  「はぁ・・・ふぅんっ・・・た・・ぶん。」
翔  「マジか?」

俺はまた力が抜けて、つっぷした。

ゲン  「30分休憩しよう。」



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<1年前に別れた恋人が忘れられない薫くん>

カルテ:薫(22歳)ゲイ
「19歳の時に年上の彼と初めてセックスしました。
3年間付き合っていましたが、バイだった彼は結婚してしまいました。
それから1年も経つのに、その彼が忘れられず、新しい恋が始まりそうになっても、どこか逃げ腰になってしまい、セックスまでいけません。
元彼をふっ切って次の階段を登るきっかけになればと、AV出演を決めました。
とにかく、なにもかも忘れて気持ちいいセックスがしたいです。」

翔  「ふぅん。純情そうな子だね。」

俺は、シャワーをすませ、ガウンだけを羽織って、カメラマンたちとアングルの確認をしたあと、マネージャーから受け取った今日のゲストのカルテを読んでいた。

マリン「翔ちゃん、2番目の彼になっちゃだめなのよ~やさしく、そして冷たくしなくちゃねっ!」

オネエのマネージャーマリンさんからのアドバイスだ。確かにそうだな。

翔  「さすが、ウケ心がわかるマリンさんですね!」
マリン「いやぁ~ね~。乙女心って言ってよ。」

そんなやり取りをしていると、ADというか雑用係のマコトくんが、ゲストを連れてきた。事前に病気の検査や細かい説明はすませてある。今は、別室でシャワー等、撮影の準備をしてきたところだ。ウケくんはいろいろ準備が大変だからね。

マリン「いらっしゃい。準備はOK?」
薫  「はい。よろしくお願いします。」
マリン「あら、よろしくお願いされるのは私じゃなくて、こっち。翔君です。」
薫  「あっ。よろしくお願いします。」
翔  「よろしくね!気持ちいいセックスしような。」
薫  「あっ、はい。」

少し照れて笑う頬には小さなえくぼができる。
年齢より若く見えるし、ノンケならお姉さまたちに可愛がってもらえそうな雰囲気だ。
さて、お仕事がんばりましょうか!

俺はベッドに仰向けに横になった。

翔  「じゃぁ、エッチできるようにチ●チ●おっきくして。」
薫  「はい。」

薫くんは、俺のいきなりのリクエストにも躊躇することなく、足元に回るとペニスを愛おしそうに手で握り、太ももの付け根やら袋やらを舐めたりついばんだりしてくる。
恋人同士のセックスだな。彼ひとすじで尽くしていたんだろな。

翔  「舐めて。・・・そう。こっち見て。」

でも、俺が主役じゃないから、そんなにサービスしてもらわなくていいのよ。
薫くんがしゃぶってる画がとれればいいのさ。俺は促して口に含ませる。
一生懸命しゃぶる顔は可愛いし、フェラも上手い。
身体を起こし、キスをした。薫くんは少し遠慮勝ちに手をまわしてくる。
シャツをたくしあげて胸の突起をつまみ転がすと、ビクビクっと反応する。

翔  「乳首も感じちゃうの?」
薫  「う・・ん。」

そう。じゃぁ、刺激しちゃうね。
薫くんをベッドに寝かせ、シャツを脱がせて舌で攻撃。

薫  「あっ。・・・んんっ・・・」

本当だ。股間に手を伸ばすとそこはもう反応して膨らんでいる。
ジーンズを脱がせ、パンツの上から、はむはむと咥えてみると、吐息が漏れる。
えいっ!と脱がせると、あら、結構大きいね。
そのペニスをじゅぷじゅぷ音をたてて舐め上げる。

翔  「ねぇ、自分でしてみせて。」
薫  「!?・・・んっ。」

ちょっとびっくりしたみたいだけど、これまた素直に自分のペニスをしごき始める。
俺は薫くんの両足を広げて押さえる。身体柔らかいなぁ。
薫くんは自分でしているのが恥ずかしいのか、もう片方の手で顔を隠してしまった。

翔  「乳首もいじってみて。」

薫くんは少し照れながら片手を乳首に移動する。
そうそう、これで感じてる可愛い顔が見えるね。
俺がその顔のほうに移動すると、自分から俺のペニスを咥えてしゃぶる。
だんだん、いやらしい顔になってきたね。
ご褒美に俺もシックスナイン状態で咥えると、お互いにじゅぷじゅぷと舐めあう。
そろそろあったまってきたかな?

翔  「おしり見せて。」

薫くんを四つん這いにしてお尻をつきださせる。
可愛い蕾が露わになると、カメラがアップで撮るのだ。
指でそっと撫でると、吐息を漏らして枕を抱え込む。

翔  「ここも、感じるんだ?」
薫  「・・・うん・・・あっ!・・・」

その可愛い蕾を舌でつつき舐めてほぐす。

薫  「んんっ・・・はぁっ・・ああん・・・」

枕に顔を埋め、くぐもった喘ぎ声がいいね。俺もちょっとばかり興奮してくるのだ。
ジェルを手に取りしばらく蕾に擦り込むと、ぐいっと指を差し込んだ。

薫  「あっ!」
翔  「もっと、お尻つきだして。」

思わず枕から顔を上げて、お尻に力が入ってしまう薫くんをリラックスさせる。
更に指をぐいぐいと差し込んでかき回す。

翔  「指・・・入ってるのわかる?」
薫  「うん。」
翔  「どこが気持ちいいかな?」

俺は、差し込んだ指をぐりぐりと動かしながら快感の場所を探る。

薫  「ん・・・はぁ・・はぁ・・・あっ!ああんんっ!・・・」

ここね。OK!
あえてその指を一度抜いて、ジェルを垂らすと今度は二本の指をゆっくり差し入れる。
そして快感の場所を思い切り刺激するのだ。

薫  「ああっ!ああぁん!・・・ンッ!・・・ふぅ・・あぁ・・・」

いい反応。可愛いね。

翔  「気持ちいい?」
薫  「うん。」
翔  「俺も、入れたくなってきちゃった。いい?」
薫  「うん。」

まだ、テレがあるのか。頷くばかりだ。
薫くんを仰向けにすると、俺は自分のペニスにジェルを垂らし、しごいてから蕾に押し当てる。
薫くんは生で中だし希望なので、そのまま押し入れた。



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【楽園:PROLOGUE】

オフィス楽園へようこそ!
ここは、ゲイ専門AV制作会社です。
もともとはゲイのウリセン派遣事務所です。それは今も継続中。
まぁ、日本有数の神宮寺グループのやり手社長が趣味でやっている会社です。

そうは言っても、いろいろ決まりごとも多いんです。
素人同士ではトラブルも多いので、AV出演希望のゲストと事務所所属のアクターがカップリングされて出演します。
ゲストには事前に面談をして、出来るだけ希望に沿った演出をするようになっています。
その聞き取りはマネージャーがします。
ゲストも、もちろんオーデションありです。誰でも出られるわけではないのです。
コーディネーターがスカウトしてくる場合もあります。
事務所所属のアクターもタチ・ウケ・リバと、それぞれ部門があり、ランクもあります。

俺、樫木翔(27歳)は、タチ専門のランクSです。
Sはスペシャルね!Sランクになるには、容姿&テクが必要です。
もともと、モデルや俳優をしていましたが、身長178cm。モデルするにはちょっと足りないのね~イケメン俳優とか言われてそこそこ売れたけど、結局そんな奴らは沢山いるわけで、誰でもいい感じ?それなら事務所の力大きいところ勝ちみたいな。
というわけで、弱小だった前の事務所の契約も切れて途方に暮れている時に、
神宮寺社長に拾われました。
もともとノンケでしたが、もう戻れないかなぁ・・・?
まぁ、その辺りのことはまた、機会がありましたら(作者の気が向いたら?)詳しくお話できると思います。

というわけで、色々なゲストがいるもので、その撮影の時のお話を不定期にご紹介していこうと思っています。
俺以外にも、ウケSの遠野渚や、タチS変態班の内藤和樹などのエピソードも登場するので、お好みに合わせてお楽しみくださいませ。



樫木 翔  <1年前に別れた恋人が忘れられない薫くん>
【楽園 file No.1-1】【楽園 file No.1-2】【楽園 file No.1-3】

樫木 翔  <みきちゃんはグラドル気取りの男の娘>
【楽園 file No.2-1】【楽園 file No.2-2】【楽園 file No.2-3】

樫木 翔  <ビンカン潤くんは、おもちゃはいいけどキスは嫌>
【楽園 file No.3-1】【楽園 file No.3-2】【楽園 file No.3-3】

遠野 渚  <翔くん、はじめての男の子体験>
【楽園 file No.4-1】【楽園 file No.4-2】【楽園 file No.4-3】

遠野 渚  <大阪からやってきたコウくんは、関西弁で言葉攻め>
【楽園 file No.5-1】【楽園 file No.5-2】【楽園 file No.5-3】

遠野 渚  <代打渚くん、変態班の和樹くんをノックアウト?>
【楽園 file No.6-1】【楽園 file No.6-2】【楽園 file No.6-3】

内藤 和樹 <やり手営業課長の嶋さんは、実はやられたい>
【楽園 file No.7-1】【楽園 file No.7-2】【楽園 file No.7-3】

内藤 和樹 <宇宙くんのセックスの相性、理想と現実>
【楽園 file No.8-1】【楽園 file No.8-2】【楽園 file No.8-3】

遠野 渚  <渚の恋の物語。渚くん大阪へ行くの巻>
【楽園 file No.9-1】【楽園 file No.9-2】【楽園 file No.9-3】
【楽園 file No.9-4】【楽園 file No.9-5】【楽園 file No.9-6】 

内藤 和樹 <メイドの結実香ちゃんはご主人様に攻められたいの>
【楽園 file No.10-1】【楽園 file No.10-2】【楽園 file No.10-3】

内藤 和樹 <和樹くん、未知なる宇宙の謎に挑む!?>
【楽園 file No.11-1】【楽園 file No.11-2】【楽園 file No.11-3】
【楽園 file No.11-4】【楽園 file No.11-5】【楽園 file No.11-6】

樫木 翔  <悩める翔くんと楽園の秘密の関係>
【楽園 file No.12-1】【楽園 file No.12-2】【楽園 file No.12-3】

【楽園 ENDING】







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「月夜のDOLL」最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

最初は、「鬼畜兄と男の娘&ショタのSM三昧!」というコンセプトで描き始めたのですが、
なぜかいきなりシリアスになってしまって、お兄ちゃんは一向に鬼畜と化してくれず、更に男の娘の佳苗ちゃんには妹以上の感情を持てないらしく、望を溺愛するやさしい兄になってしまいました。(汗)
SM要素もほとんどありませんでしたね。
鬼畜兄のSMものは、いつか短編物で描こうかなぁ~などと思っています。

それと、実はこれ、青い季節のスピンオフです。
とは言っても、青い季節を読んでいなくても全く問題はありません。
読んでいたら、「あ~なるほど。ふふっ。」と思うくらいです。・・・たぶん。
青い季節はさわやかな青春ものなので、よかったら気軽に読んでみてください。

次は、ずっと描きたかったバンドのお話を描く予定なのですが、結構、細かい準備が必要なので、その間にオムニバスものを差し込もうと思っています。
よろしければ、今後ともどうぞよろしくお願いいたします。



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<大学の中庭・昼>
アメリカに渡ってから3年が経っていた。
望とは、一緒に旅行に行った満月の夜以来逢っていない。
一晩中愛し合った翌朝、俺の腕の中に望はもういなかった。
代わりに不機嫌な顔の珠絵が、恨めしそうに俺を睨みつけ、身体の不調を訴えていた。
初めてだったのに、途中からは理性がきかず、思い切り抱いてしまったのだから言い訳もできないのだが。
それでも珠絵は最後に、「望は大丈夫。お互いに自分の足で立って歩けるようになったら、また出会いから始めましょう。その時はきっと、今度こそ寄り添って生きていくことができるわ。」俺に、そんなことを言った。
そう、「お互いに」と・・・。

旅行から帰ると、俺は花柳家を出てじいさんの実家を継いでいる大叔父の籍に入り、
勅使河原宗一郎となって、アメリカに渡った。
しかし、「てしがわらそういちろう」などという日本人でさえ呼びにくい名前をここの学生たちが呼んでくれるはずもなく、何故だが「ショウ」と呼ばれている。変な気分だ。
更に、丁度望と同じくらいの年頃の生徒たちと接しているのだから、一日として望の事を考えない日はない。
佳苗は高校を卒業すると、親父の実家を継いでいる伯母さんの籍に入ったそうだ。
桜庭望となり、自慢の黒い髪をバッサリ切ってイギリスに渡ったという。
俺にはもう、それが本当に佳苗なのか、それとも望なのか、もしかしたら珠絵なのか・・・
それさえもわからなかった。
花柳家は、月子が成長するまでの間、いとこの恵理子が宗家代理を務めることになったそうだ。もう、俺にはどうでもいいことだが。

アメリカに来て思ったことは、自分はとても閉鎖的なところにいたのだなということ。
花柳家は、いつまでこんなことを続けていくのだろうか。花柳流を継ぐ者が男でも女でも、また血のつながりがどうであれ、そんなことがどこまで重要なのだろうか?
花柳流を一番に愛し技術を伴うものが継いでゆけば良いのではないだろうか?
そんなことを思ってみるが、もう外に出た俺には何を言う権利もない。
そしてもうひとつ、自分がどれほど弱く未熟だったかを思い知る毎日だった。
この3年で、俺も少しは成長できたのかな。

じいさんから、そろそろ日本に戻って、学校経営を手伝ってほしいと連絡がきていた。
俺は、放課後、大学の中庭にあるベンチでテイクアウトのコーヒーを片手に、この3年間を思い返しながら、どうしたものかと考えていた。

学生 「ショウー!お客さんだよ~」

生徒が、客人を連れて近づいてきた。
俺の研究室への入室希望者かな?
顔を上げるとそこには・・・何度も何度も夢にまで見た、愛しい望が立っていた。

望  「ひさしぶりだね。」
宗一郎「・・・望?」
望  「うん。迎えに来たんだ。」
宗一郎「迎えに・・・?」
望  「そう、一緒に日本に帰ろうよ。」

望は少し身長も伸びて、凛とした表情になっていた。
あぁ、大人になったんだな。

宗一郎「あぁ、そうだな。一緒に日本に帰ろう。」

望の差し出した手をとると立ち上がり、抱きしめた。
聞きたいことは沢山ある。話したいことも沢山ある。
でも、今はただ、また望に出逢えたことだけで、俺の心は満たされていた。

宗一郎「望・・・もう、二度と手放したりしないぞ。」
望  「うん。俺も、二度と離れない。」

花柳家のしきたりに、振り回され続け、人形にように生きてきた望はもういない。
ここから、宗一郎と生まれ変わった望の、新しい人生がはじまるのだ。


Fin



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<旅館の部屋・夜>
望  「今度は俺の番。」

望はそう言ってにっこり微笑むと俺の上に跨り、さっきのお返しとばかりに、あちこちキスの雨を降らせる。
なんだかくすぐったい。
そして、俺のペニスを握るとその手を上下させ亀頭を舌でぺろぺろと舐める。

望  「気持ちいい?」
宗一郎「あぁ。気持ちいい。」

望は上目遣いで俺を見ながら少し心配そうに聞いてくる。
俺は望の髪を撫でた。
気持ちいいに決まっている。こんなに一生懸命な望を見ているだけでも十分なほどに。
だけど、今夜はどうしても望とひとつになりたいんだ。

俺は望を仰向けに寝かせて、上から覆いかぶさりふたりのペニスを合わせると、そこにローションを垂らした。
両手で2本のペニスをしごく。
ぴちゃぴちゃくちゅくちゅくちゅ・・・

望  「はぁ・・・はぁ・・・あんっ・・・気持ちいい・・」
宗一郎「望、足を抱えて。」
望  「え?・・・こう?」

俺は後孔が見えるように望の腰の下にバスタオルを丸めてあてがい、望のそこに更にローションを垂らして2本の指を差し込んだ。指を少し開いて押し広げてみる。

望  「ふぅんっ・・・」
宗一郎「痛いか?」
望  「大丈夫。」

指を抜いて自分のペニスをそこに擦りつけた。

望  「あぁ・・はぁ・・・」
宗一郎「入れるぞ。」
望  「うん。」

俺は腰に力を入れて硬くなったペニスの先端を、望の後孔に差し込んだ。

宗一郎「うっ。」
望  「んっ。」
宗一郎「大丈夫か?」
望  「うん。」
宗一郎「力抜いとけ。」

望のそこは想像以上にきつい。痛くないわけはない。
だけど、俺は深呼吸をして、更に奥を目指し腰を落としていく。
ズズツ・・・ジュブッ・・・・ズッ・・・ズッ・・・

望  「はぁ・・・あぁ・・・・んっ・・・んっうっ・・・」

俺のペニスが押し入るたびに、望の声が漏れる。
そして、やっとの思いで根元まで挿入された。

宗一郎「はぁ・・・はぁ・・・全部、・・・入ったぞ。」
望  「ふぅ・・・うん。・・・嬉しい。」
宗一郎「俺もだ。望ん中あったかい。」
望  「お兄ちゃんのも。・・・俺ん中お兄ちゃんでいっぱい。」

俺は、望に口づけをした。
望は俺の首に両手をまわしてそれに答える。

宗一郎「望、お前は覚えていないかもしれないが、佳苗ちゃんが亡くなった時、俺はお前に佳苗になれと言った。そして、ここに望ちゃんがいると・・・」

俺はそう言って望のペニスを手で包み込んだ。そこは痛みのせいか小さく縮こまっている。

宗一郎「そして、そのことはふたりの、秘密の約束だとも・・・」

望は黙って俺を見つめている。

宗一郎「だけど、もうその秘密の約束は時効だ。お前は望だ。ここだけじゃなくて、この身体全部と心の中も全部望だ。だから・・・お前の、望の心と身体全部で俺の愛を受け止めてくれ。」
望  「・・・お、兄ちゃん・・・あぁっ・・・」

俺は、望の中に差し込んだペニスをぐんっっと更に一突きすると、腰を動かし始めた。

望  「あっ・・・あっ・・・ああっ・・・あんっ・・・」

一突きするたびに望が声を上げる。
痛みを少しでも和らげてあげたくて、望のペニスをしごき胸の突起をつまむ。
しばらくそうしていると、望のペニスが硬くなってきて、更に腰を動かし始めた。
そして、ずっと閉じていた瞼を開くと俺を見つめてきた。

望  「はぁん・・・お兄ちゃん、・・・気持ち・・いい・・んっ」
宗一郎「はぁ・・・はぁ・・・俺も気持ちいい。」
望  「俺っ・・・嬉しい・・・お兄ちゃんと・・つながってるぅっ・・・」
宗一郎「あぁ、つながってる。望とひとつに。・・・ほらな。」

俺は望の手をとると、ふたりの結合部分に導く。

望  「うんっ。・・・すごい。」
宗一郎「望・・・愛してる。・・・これから何が起きてもどんなことがあっても、俺はお前を愛している。」
望  「・・・お兄ちゃん・・・俺も、お兄ちゃんを愛してる。ずっといつでもいつまでも。」

俺は頷くと、口づけをした。誓いのキスだ。
そして望は、その言葉を表すかのように、望の中にある俺をぎゅうっっと包み込んでくる。
それからは、ふたりとも無心でお互いを求めあい何度も何度も愛し合った。

この日、宗一郎と望が一晩中、永遠の愛を誓い合ったことは
その夜空から見ていた満月だけが知っている、新しい秘密の約束だった。



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<旅館の部屋・夜>

望を布団に横たえると、上からその瞳を見つめた。望もまっすぐに俺を見ている。

宗一郎「本当にいいのか?途中でやめたりできないぞ。」
望  「うん。途中でやめたりしないで。」
宗一郎「いいんだな?」
望  「ぷふっ。お兄ちゃん緊張してるの?」

あぁ、緊張してるとも。男の子とセックスするのなんて初めてだ。
本やインターネットでどれほど調べたことか。
大切な望みを壊してしまわないように、愛を注ぐにはどうしたら良いのか、そりゃぁ悩んで考えて今日を迎えたのだからな。
だが、俺は望の問いには答えずに、唇を重ねた。
薄い唇を軽く何度も啄み、舌を差し入れると望もそれに応えた。
指先で浴衣の上から胸の突起を探り当て軽くひっかくと、望はビクッと身体を震わせる。
冷たい耳たぶを舌で弄び、首筋に舌を這わせながら、浴衣の帯をほどき、じかに乳首をつまむ。

望  「んっ・・・んっ・・・んんっ・・・・」

望みはその度に身体を痙攣させるように反応する。
首から鎖骨、そして乳首に唇を這わせ、舌先でつつき唇で啄む。

望  「はぁっ。・・・んんっ・・・・」

望みは吐息を漏らしながら俺の髪をつかむ。
俺の指先は更に下へ進むと、すでに膨らんだペニスを布越しにとらえる。
薄い水色の横縞のボクサーパンツが可愛い。
俺は、ゲイではない。男のパンツをみても欲情はしない。普通は萎える。
だが、望がこの下着や今日の昼間に来ていた服を自分で選んで購入して身に付けたことを考えると、愛しくてたまらない。
横縞が少し太めになったふくらみの部分を手のひらで包んで刺激する。
佳苗には・・・望の中にいる佳苗の人格には、ここは望だと教えた。
ここに、望ちゃんがいると・・・。
でも、本当は違うんだ。ここも、そして、この身体全てが望なのだ。
俺は、自分の過ちを謝罪するかのように、望の身体の隅々にまでキスを落とした。
望みはその度に吐息を漏らす。

宗一郎「望、うつ伏せになってお尻を突き出してみて」

俺は望みを四つん這いにさせ、パンツを脱がせるとお尻を持ち上げた。

望  「あぁっ。」

後孔を指でなぞると、望は声を上げて背中をのけ反った。
俺は、手のひらでお尻を揉みながら、裏筋から後孔を何度も舌で行き来する。
その度に漏れる声を枕に顔を埋めてこらえているようだ。
そして、つぼみを舌先でこじ開け、執拗に舐める。柔らかくなるように。
俺は、枕元に用意しておいたローションを取り出して、指先にすくった。

宗一郎「ちょっと、冷たいぞ。」
望  「うん。」

ローションを後孔に擦りつけ、更にほぐすとその中央に指先を差し込んだ。

望  「あっ!」
宗一郎「痛いか?」
望  「痛くないよ。」
宗一郎「じゃぁ、少しずつ指、入れるぞ。」

俺は、指を何度も出し入れしまわしながらゆっくりと差し込んでゆく。

望  「あっ・・・あっ・・・・ああっ・・・」
宗一郎「どうだ?」
望  「なんか、へんな感じ。ふふっ」

俺は指先を動かして、前立腺のスイッチを探す。

望  「はぁ・・・・はぁ・・・・ひぁぅ!!!あぁん!」

ここだな。俺は確認すると更に刺激する。

望  「やぁん!あっ、何?」
宗一郎「ここ、気持ちいいだろ?」
望  「んんっ・・・頭までしびれる」
宗一郎「指、もう1本増やすぞ。」

俺はそこに更にローションをたっぷりとたらして、二本の指を差し込んだ。
ぐりぐりと、その穴を少しずつ広げながらスイッチに到達すると更に刺激を繰り返す。
そして、もう片方の手でペニスをしごく。

望  「ああんっ!・・・なんか変・・・はぁはぁ・・・あぁ・・・」

望みは可愛いお尻を左右上下に動かしながら、枕を抱え込む。
俺は、そんな望の背中やお尻にキスを落とす。

望  「あぁ、出ちゃうっ・・・」
宗一郎「イっていいぞ。」
望  「あんっ、だって・・・あぁ・・・んっ!イクっ!はぁんっ!!」

横縞のボクサーパンツでその精液を受け止めると、望を仰向けにひっくり返し、キスをした。

宗一郎「望、可愛い。」
望  「はぁはぁ・・・俺だけ・・・ずるい。」
宗一郎「はははっ。夜はまだまだ長いんだぞ。」

俺はそう言うとまた、望の唇を塞いだ。



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<旅館の部屋・夜>
食事も済んで、布団も敷いてもらって、ゆっくりとした時間が過ぎていた。
俺は窓から空を見上げていた。
すると、望が静かに近づいてきて俺の背中にそっと身体を寄せた。

望  「お兄ちゃん・・・本当に、ありがとう。俺っ・・・」

俺は望の言葉が終わらないうちに、身体をくるりと返し、望の顎に手をやると上を向かせて、少し強引に口づけをした。
望の、その続きの言葉を今はまだ聞きたくなかった。
そっと唇を話すと望が俺の顔を見上げ、微笑み胸に顔を埋めてぎゅっと抱きついてきた。

望  「お兄ちゃん、大好き。」

くぐもった声でそう言う。
俺は望の髪を撫で、両手で顔を包んで上を向かせるとまた、口づけをした。
さっきよりも、もっと深く深く。

望 「んはっ・・・」

望みが吐息を漏らす。
俺は唇を離すと、望を抱きしめた。

宗一郎「なぁ、望。普通の兄弟はこんなことしないんだ。それと男同士でもしない。」
望  「・・・うん。」
宗一郎「だけど・・・だけど俺は、お前が・・・欲しい。望とキスしたいし、・・・もっと、望の全部が欲しい。・・・駄目な奴だ。」
望  「駄目じゃないよっ!・・・俺もお兄ちゃんとキスしたいし、お兄ちゃんが欲しい。」

望は潤んだ瞳で俺を見つめる。
本当は駄目なんだこんなこと。俺の理性が少しだけブレーキをかけようとする。
だけど、後悔だけはしたくないんだ。
俺はこの望みが叶うのなら、それから先は地獄にでもどこにでも行ってやる。

宗一郎「望・・・愛してる。」



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<風呂・夜>
貸切風呂は家族連れなどでも十分利用できるほどで、ふたりっきりで入るのは申し訳ないほどの広さだった。
そこもまた静かで、お湯があふれ出ている水音だけが響いていた。
望は終始はしゃいでいて、そのひとつひとつに感動の声を上げていた。

望  「お兄ちゃん。見てみて~」

呼ばれて露天風呂に向かうと、望は空を見上げていた。
そこには満面の星たちと大きなまんまるの月が出ていた。

宗一郎「うわぁ!綺麗だな~」
望  「うん。こんなに沢山の星と綺麗いな月を見たのは初めてだよ。」
宗一郎「そうだな。」

寒いのでお湯に仰向けにぷかぷか浮かびながら、ふたり並んでしばし空を見上げていた。

望  「お兄ちゃん、今日はありがとう。」
宗一郎「おいおい。まだ今日は終わらないぞ。この後、ご馳走たべないとな。」
望  「何がでるのかな~」

その後、お互いの髪を洗ったり背中を流したり、今日一緒に過ごした楽しい時間を振り返っては、おしゃべりをした。

風呂を出て部屋に戻ると食事の支度が整っていた。
豪華な山の幸や川魚などが並んでいた。
望は、ここでも感嘆の声を上げながら食事を楽しんだ。

楽しい時間は、あっという間に過ぎていくのだな・・・。


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<温泉・夕>
旅行へ出かける日。俺は朝からそわそわしていた。
望の提案で、家の最寄り駅から3つほど先の駅にある公園で待ち合わせをした。
望と会うのも久しぶりなら、外でこうして会うのは初めてだ。
車で待ち合わせ場所に到着すると、運転席を降りて周りを見渡した。
すると、ブランコから飛び降りて走ってくる望が見えた。

望  「お兄ちゃん!」
宗一郎「すまん、待たせたか?」
望  「うんん。少し早めに来たんだ。買い物とかしたかったから。」

望は佳苗が綺麗に手入れをして伸ばしているストレートの黒髪を後ろに束ね、帽子をかぶっている。黒を基調にした細身のラインでジャケットを着こなし、まるでコミックから飛び出したかのような美少年だ。
身内のひいき目なのか、色ぼけなのか、思わず見とれてしまった。

望  「・・・?何か・・・変?」
宗一郎「い、いや、とてもよく似合ってる。パジャマ姿や寝巻姿ばかりしかみたことなかったからな。」
望  「そうだね。こんな風に外で会うのも初めてだよね。」
宗一郎「あぁ。なんだかちょっと緊張するな。」
望  「ふふっ。俺も」

珠絵の話では、望はずっと悩んで部屋に籠っていたというが、今日はとてもリラックスしているように見える。何か答えを見つけたのだろうか?

俺たちはドライブを楽しみながら紅葉が見ごろの北を目指した。
途中、動物園とは名ばかりの猿山でえさやりをしたり、すっかり荒野と化したアミューズメントパークに立ち寄り、西部劇のショーを見たり、女の子とのデートならちょっと引かれてしまいそうだが、望はとても楽しそうだった。俺はそんな望を見ているだけで心が温かくなった。
そして、夕陽に照らされた木々が更に彩りを増した山を登り、シーズン中だというのに少し静かな宿に到着した。
この宿は、クリスマスに夢の国のホテルの宿泊を譲ってくれた友人の紹介だ。
お忍び宿で角界の著名人や金持ちが愛人と宿泊するような宿だそうだ。
あまり、人目につかず静かでゆっくりできる宿を紹介してくれと言ったら、この宿を予約してくれた。あいつは本当にマメな男だな。
部屋に案内されると、そこはとても落ち着いた雰囲気の和室だった。
窓の外を見ると山に囲まれていて色づいた木々が美しい。下をのぞけば沢が流れている。
風に揺れる葉の擦れ合う音と沢の流れる水音だけが聞こえるとても静かな空間だ。
防音というわけでもないのだろうが、隣室や廊下の話し声なども聞こえない。
ここなら、ゆっくりできそうだ。

望  「すっごく静かだね~」

女将が部屋を出ると、望がほっとしたように声を発する。
緊張していたのだろう。

宗一郎「あぁ、気に行った?」
望  「うんっ!」
宗一郎「早速、温泉にでも入るか?貸切の露天風呂に入れるぞ。」
望  「ほんとー?すごいね。早く入りたい。」

望は満面の笑顔だ。貸切風呂の予約までしてくれた友人に感謝だな。
ふたりは浴衣に着替えて風呂に向かった。



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<宗一郎の部屋・昼>
十五夜の夜、妹が生まれた。月子と名付けられた。
今さら妹というのも、なんだか変な気分だが、花柳家もこれで安泰なのかな?
母さんは月子につきっきりで、もう佳苗には目もくれない。
今年の初めに、佳苗ではなく望だと言われて自分の子供に切りつけたことなど、まったく覚えていないようだ。

佳苗は高校を卒業したら留学したいと言いだした。
イギリスでフラワーアレンジメントの勉強がしたいそうだ。
随分と成長したものだ。佳苗自身の変化なのか珠絵やアンや、そして望の影響なのかはわからない。
もう、俺は佳苗に何もしてやれない。
夏に墓参りに行ってから、俺は少し佳苗たちと距離を置こうと思い、家を空けた。
その間に佳苗は自慰もできるようになっていた。
定期的に神田先生のところで田崎先生の治療は受けているが、最近は特に変化もなく他の人格は出てこないという。

望はどうしているのだろうか?
このまま、珠絵やアンとともに部屋に閉じこもってしまう気なのだろうか?
たとえ、そうだとしても俺にはどうすることもできない。
俺は望に対して兄弟愛以上の感情を持っている。薄々感じていたけれど気づかないようにしてきた自分の心の奥にあるもの。
もう、それに気づいてしまっていた。封印しなければならない感情。
だから、これ以上、望の中で起きていることに関わってはいけないのだと思うようになっていた。

俺は、じいさんの実家を継いでいる大叔父の養子になり花柳家を出ることにした。
もう30だ。本来なら結婚して婿養子になっていてもいい年だ。
だが、結婚する相手もいなければその気にもならない。
夏に必死で仕上げたレポートが認められて・・・まぁ、じいさんの推薦もあるのだが、
LA.の大学で非常勤講師をすることになった。
勤務は年明けからだが、住むところも全て用意されているらしいので、クリスマス前に日本を発ってしまおうと考えていた。

そんなわけで引っ越しの準備をしていると、開いていたドアに人影が見えた。
顔を上げると、そこには珠絵が立っていた。

珠絵 「お久しぶり。」
宗一郎「あぁ、久しぶりだな。どうしたんだ?」
珠絵 「・・・相談したいことがあって。」
宗一郎「何か問題か?」
珠絵 「問題というか・・・アメリカに行く前に望と会ってもらえないかしら?」

俺が、望を避けて旅立とうとしていることを、まるで見透かしているようだ。

宗一郎「どうして・・だ?」
珠絵 「・・・もう、会えなくなってしまうかもしれないから。」
宗一郎「・・・」

それは、想定していたことだ。
人格の統合がされるのか、それとも強くなった佳苗が望として生きていくのか。
どちらにしても、いままでと同じではいられなくなっていくことは容易に想像できる。
俺も、望に会いたい。しかし・・・。

珠絵 「・・・。会いたく・・・ない?」
宗一郎「いや。・・・会っていいのかなって思って。」
珠絵 「今、望が一番不安定になっているわ。・・・私のせいもあるけど。」

珠絵が最初の望の人格に対し、ショウと名付け別人格としてしまったことを言っているのだろう。ショウであった時は、望を演じ佳苗を演じて生きてきた。
俺と出逢ってショウと名乗ってからも、望と佳苗を守っているという自信があった。
だが、本当は自分が最初の人格であったことを知り、自分が何者なのかわからなくなってしまったようだという。
更に、表にでている佳苗は自分が望だということを受け入れ始めている。
佳苗が望になってしまったら、自分は必要ないと思っているみたいだと。

宗一郎「俺に、・・・俺に何かできるのかな?」
珠絵 「あなたにしか、できないんじゃない?」
宗一郎「そう・・・だろうか?」
珠絵 「随分、弱気になったものね。あなたも、もう自分は必要ないとか思っているわけ?」
宗一郎「・・・」

相変わらず、珠絵は鋭くて容赦がない。

宗一郎「ふたりだけで、会えるか?」
珠絵 「そこは、私にまかせて。佳苗にも協力してもらう。」
宗一郎「俺が・・・いや、なんでもない」

俺が、望を手放したくなくなってしまったら?
そんなこと、思ってはいけないんだ。でも、正直自信がない。
望みを自分だけのものにしたいと、思ってしまうかもしれない。

珠絵 「あなたと、望の思い通りでいいのよ。望の身体なんだから望の好きにしたらいい。」

まったく、珠絵には全て見透かされているようで恐ろしくなる。

珠絵 「みんなと相談して、日程を決めるわ。どこか旅行でも行ってくれば?」
宗一郎「あぁ、いいな。温泉でも行きたい。」
珠絵 「遊園地とかじゃなくて、温泉ってところがおじさんっぽい。」

そう言って、珠絵は声を出して笑った。
望は遊園地の方が良いだろうか?いや、きっと賑やかな所よりも、ゆっくりのんびりできるところの方が好きなはずだ。
何の根拠もないが、俺はそう思った。



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<宗一郎の部屋・夜>
私は少し冒険をしてみたくて、お兄様にも内緒でお友達の別荘に旅行に行ったのですが、翌日、早速お兄様がお迎えに来ました。予想はしていましたが、思いのほか早すぎて少しがっかりしてしまいました。でも、お兄様はもう少し楽しませてくれようと思っていたそうです。

その後、お兄様にお願いして、初めて花柳家のお墓に連れて行ってもらいました。
そこには、間違いなく、花柳佳苗の名前が刻まれていました。
そう、・・・私はやはり、花柳望なのです。

あれから、珠絵さんと色々な話をしました。珠絵さんは私のことを私以上に知っていました。珠絵さんから今までの自分の事を聞くと、まるでそれを経験したかのように自分の記憶に刻まれていく感じがするのです。心のアルバムが増えていくように。
望ちゃんとはまだ、話はできません。望ちゃんはずっとお部屋に入ったきり出てこようとしないそうです。きっと望ちゃんも悩んでいるのだと思います。だから、しばらくそっとしておいてあげようと思っています。

お墓参りをした翌日からお兄様は、もう2週間も家に帰ってきていません。
研究レポートを仕上げるとかで、学校の近くのホテルに泊っているそうです。
そういうわけで、私はもう2週間も射精をしていないのです。
なんだかそこは、とても敏感になっていて少し触れただけでもビクリと反応したり、下着の摩擦でさえ刺激になってとっても変な気分なのです。
私は、どうしたら良いのかわからず、そっとお兄様の部屋に入り込みました。
やはり、お兄様はいません。
空気の入れ替えをしようかと窓を開けると、夏の香りがしました。
私は、深呼吸をしながら空を見上げました。
そこには無数の星に囲まれた、今にも折れそうに細い三日月が浮かんでいました。

佳苗 「ポキって折れてしまいそうね・・・」

私はしばらく月を眺め、ため息をつきながらお兄様のベッドに横になりました。
あぁ、お兄様の匂いがする・・・そう思うだけで、望ちゃんが・・・いいえ、私の身体の中心にあるそこが、ドクンッと波打つのです。
私はたまらず、そこに手を伸ばしました。両手でそれを覆うとすでに大きくなっています。
寝巻の浴衣の裾を開いてそれをあらわにし、そっと触れるとビクンと反応しました。
片手で袋を包み込み揉みほぐしながら、もう片方の手で竿を握り上下させます。
いつも、お兄様がしてくださるように手を動かしていると、先端から液体が出てきて、くちゅくちゅと音を立てます。
それを指に絡めて更に上下させる右手のスピードを上げます。
私は、もっと刺激が欲しくて自分の腰が動いてしまいます。
いつもの嫌悪感はありません。でも、少し恥ずかしくてお兄様の枕を抱えて顔を埋めました。
お兄様の匂いに包まれながら、その手のぬくもりを思い出し、そしてお兄様と望ちゃんがしていたことを思い出しだんだん頭の中がからっぽになっていくようです。

佳苗 「あぁ・・・・はぁ・・はぁ・・・んんっ・・・もっと・・・」

もっと気持ちよくなりたくて、手の動きを速めます。
膝を曲げたまま両足を大きく開いて腰を揺らします。
そうしていると、だんだんオシッコをしたいような感じがしてきました。
どうしよう。それを我慢しながら更に手を動かしていると、快感で全身がビクビクっと痙攣します。

佳苗 「んんっ・・・んんっ・・・あぁぁ・・・」

勝手に声が漏れてしまいます。
そんな、自分のくぐもった声に交じって、階段を登ってくるような足音が聞こえた気がしました。
お兄様かもしれない。
そう思いましたが、もう自分の手と腰の動きを止めることはできません。
あぁ、出ちゃう!・・・そう思った瞬間、足元のドアがカチャリと開きました。

佳苗 「あぁ・・・いや・・・出ちゃう・・・出る・・・ふぅんっ・・・」

竿の先端から、温かい液体が勢いよく飛び出しました。
身体は硬直し、ビクンビクンと跳ねあがりました。

佳苗 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

私は、我にかえりきつく閉じていた瞼を開くと、そこにはお兄様が立っていました。

宗一郎「・・・望か?・・・いや、佳苗?」

私は、ゆっくりとうなずきました。
お兄様は驚いたようですが、私のそばに来ておでこにキスをしました。
それから、私の身体をきれいにして下さいました。



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<車・昼>
佳苗が初めて無断外泊をした。
俺は、驚いたが少し嬉しくもあった。
佳苗は賢い子だ。馬鹿なことをしたりはしないだろう。
きっと、自分の中で起きていることを受け入れようとしているのだ。

明け方、佳苗の携帯電話からメールが届いた。
珠絵だ。居場所を知らせてきた。佳苗は心配いらないと、自分たちがついているからと。
そうだな。そうやって協力し合って成長していくべきなんだ。
もう、俺がしてやれることはあまりないのかもしれないと、今度は少し寂しくなった。
2、3日は知らんぷりしておこうかと思っていたのだが、だいぶお腹が大きくなってきた母親の美鈴がうるさいので、迎えに行くことにした。
佳苗よりも成長しなければならないのはこの人なのだと思っている。
まぁ、もうすぐ女の子が生まれれば、佳苗が実は望だと知っても取り乱すこともないだろう。

別荘に到着すると、佳苗と美和ちゃんしかいなかった。
来る途中、山を登り始めたところですれ違った大きな4駆自動車に乗っていたのが涼君と隆哉くんだったようだ。
佳苗を連れて帰ると言うと、美和ちゃんも一緒に帰るというので3人で帰ることにした。
帰りの車中は、終始ガールズトークとやらで盛り上げっていて俺は透明人間に徹していた。
こうして見ていると、佳苗も普通の女子高生に見える。
美和ちゃんを送り届け、佳苗とふたりきりなると、車中はシンと静まり返った。

宗一郎「どこかで食事でもして帰るか?」
佳苗 「ううん。・・・ねぇ、お兄様、私、花柳家のお墓参りをしたい。」
宗一郎「!?・・・墓?まっ、まだお盆には早いぞ。」

俺は慌てた。佳苗は花柳家の墓に行ったことがない。そりゃそうだ。
そこにある石碑には、花柳家代々のご先祖様の名前とともに、花柳佳苗の名前が刻まれているのだから。
花柳家の墓は、一般の人は入れないようになっている。お寺の奥、鍵の掛った門を開けて入るのだ。

佳苗 「大丈夫よ、お兄様。私、真実をきちんと確かめたいだけ。」
宗一郎「真実・・・?」
佳苗 「私が佳苗ではなくて望であるという真実を、ひとつひとつ受け入れていきたいの。」
宗一郎「・・・。そうか、わかった。」

俺は、花柳家の墓があるお寺へ向かった。
住職にお願いをして門の鍵を開けてもらった。
母さんはもちろん、家族は佳苗が亡くなってから、ほとんど墓には来ていない。
誰もが佳苗が亡くなったことを受け入れられていなかったのかもしれない。
それでも、綺麗な花が生けてある。
御布施をして手入れをしてもらっているのだろう。
ふたりで墓前に立ち、花を生けて線香を手向ける。
佳苗は、まるで確認をするように、石碑に刻まれた自分の名前を指でなぞって、深呼吸をした。
そして、ゆっくりと手を合わせると目を閉じた。
しばらくして、目を開きふりかえると、笑顔で口をひらく。

佳苗 「花柳 佳苗 ちゃんは、ここに眠っているのですね。私は、花柳 ・・・望。」
宗一郎「・・・あぁ、そうだ。・・・すまない。俺のせいだ。」
佳苗 「お兄様のせい?」
宗一郎「佳苗が亡くなった時、取り乱した母さんに傷つけられたお前が可哀そうで・・・佳苗になれと言った。そしてお前は、佳苗になった。」

俺はあの時の魂の宿らないような望の蝋人形のような表情を思い出していた。
しかし、佳苗はニコリとほほ笑んだ。

佳苗 「それは違います。誰かに別人になれと言われたからと言ってなれるものではありません。お兄様に言われたからではなく、自分でこうなることを選んだのです。」
宗一郎「・・・?」
佳苗 「きっと、あの時の私が、悲しかったり辛かったりした気持ちを閉じ込めて、佳苗を押し出したのです。お兄様のせいではありません。」
宗一郎「・・・お前は、いつからそんなに強くなったのだ?」
佳苗 「ここに、望ちゃんも珠絵さんもアンさんもいます。力を合わせれば何でもできそうな気がして・・・。もちろん、少しずつですけど。」

そう言ってまた、微笑んだ。
あぁ、本当にもう、俺がしてやれることは何もないのかもしれない。



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<宗一郎の部屋・夜>
高校生最後の夏休みに入って1週間が過ぎました。
3歳の時の記憶を思い出してから、色々考えすぎて落ち込むことも多かったけど、
夏休みの前日に、終業式後いつものメンバーで夏休みの旅行の計画を立てました。
仲良しの美和ちゃんとその美和ちゃんと一緒の中学出身で同じ陸上部の隆哉くん。そして男の子なのにすっごく綺麗な涼くん。涼くんは本当なら学年は1年上だそうです。
私はこの4人で過ごす時間が大好きです。
とっても楽しくて美和ちゃんとはガールズトークも盛り上がります。
学校でこのメンバーといる時は、自分の中で起きている色々なことも忘れられます。
私は身体のこともあって、修学旅行でさえみんなとは別のホテルに泊っていました。
そんなわけでお友達と旅行なんてしたこともありません。
でも、このメンバーとなら、大丈夫な気がして少し冒険をしてみようと思ったのです。
美和ちゃんが「海がいい」と言った時は、流石に水着は無理と思ったけど、涼くんの別荘が山にあるということで、そこに泊ることになりました。
温泉とかだったら大浴場を断るのとか大変かなと思ったけど、別荘なら一人ずつお風呂にも入れるし、よかった。

いよいよ明日は出発です。
旅行前夜、私はどうしてもしておかなければならないことがありました。
夜も更けたころ、望ちゃんの射精をしてもらうため、お兄様の部屋を訪ねました。
だいぶ慣れたとは言え、やはり毎回緊張します。
お兄様はいつもそれをする時には儀式のように「おやすみ MY DOLL」と言って私のこめかみにキスをします。
そして、私を「望」と呼ぶのです。たとえ私の意識がある時にも。
お兄様は私の唇にはキスをしません。望ちゃんにはするのに。
お兄様は私に「愛してる」とは言いません。望ちゃんには言うのに。
望ちゃんとはお風呂に入るけど、私とは入りません。恥ずかしいからと言います。
私はお兄様のそこには触れたことがありません。
望ちゃんとは一緒に射精もするのに・・・。
私の大好きなお兄様は、望ちゃんが好きなのです。
それは、わかっていたけれど、そのことを思うと、
どうしても胸が苦しくなってしまうのです。
きっとこれからはもう、今までのままではいられないでしょう。
私はそう感じていました。
望ちゃんや珠絵さんやアンさんと話し合って、これからのことを決めなければならないのです。
だから・・・その前に少しだけ、冒険をしてみたかったのです。
いつも守ってくれているお兄様から離れて、自分ひとりで何ができるのか、知りたかったのです。
そんなことを考えながらも、息が上がってきました。

佳苗 「んんっ・・・ふぁあ・・・」

私は声が漏れてしまうのが恥ずかしくて、両手で顔を覆います。
お兄様は私の耳たぶを舐めたり、軽く噛んだりしながら囁き続けます。

宗一郎「望・・・望、ここが気持ちいいのか?」

そう言って、左手で袋を揉みながら右手で竿を激しく上下させます。
くちゅくちゅ・・・くちゅくちゅ・・・
私の腰は勝手に動き始めます。
まるでもっとしてほしいとお兄様におねだりをしているように。
その動きが激しさを増し、全身の血液がざわざわと騒ぎ出すと、
私の意識はふっと途切れて、身体が動かなくなります。
あぁ、望ちゃんが来た・・・

そして私はお部屋でひとり、お人形のように動かなくなった身体のまま、
お兄様と望ちゃんの様子をただ見つめているのです。



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<病院・夕方>
私は今年の初めに腕に怪我をしました。
その時の記憶はまったくありませんが、お母様に付けられた傷だと、後から望ちゃんに聞きました。望ちゃんとの交換日記は今も続いています。
私の中には望ちゃんの他にも珠絵さんとアンさんという人がいるそうです。
私は会ったことも話したこともないのでよくわからないのですが、夏休みになったらみんなで話をしましょうと言われています。珠絵さんがいればそれもできるそうです。
でも、いったい何を話すのでしょうか?
前にお兄様には望ちゃんと話をするように言われて、こうして交換日記をしていますが、他の人達とも話をする必要があるのでしょうか?

数日続いた雨もあがり、梅雨開け宣言のされたとてもよく晴れた日。
神田病院で田崎先生に退行催眠という治療を受けました。
今までも定期的に、忘れていた色々な記憶を取り戻したり、嫌なことも思い出したりする治療を受けてきましたが、今日は3歳の時の忘れ去られた記憶を取り戻すための治療を受けました。
その治療を受けると、まるで今自分が3歳であるかのような感覚になりました。
私が3歳だったその日。
眠りから覚めると隣には佳苗ちゃんが眠っていました。
お母様やお父様やお兄様、みんなが佳苗ちゃんを見ていました。
私は何が起きたのかわからなくて、お母様に近づき声をかけたのです。
でも、お母様は私を突き飛ばし、佳苗ちゃんを抱いて泣きました。
佳苗ちゃんは眠っていたのではなく、死んでいたのです。
そして・・・私は、佳苗ではなく望ちゃんなのです。
そう、この記憶は私のものではなく望ちゃんの記憶です。
私がこの時のことを思い出しているせいで、望ちゃんがお部屋で泣いています。
望ちゃんの泣いている声が聞こえる・・・。
閉じた瞳から涙が溢れだします。心が痛くて身体が震えます。
3歳の佳苗ちゃんは死んだのです。では、私は誰?佳苗ではないの?

治療が終わって目が覚めても涙が止まりませんでした。

宗一郎「大丈夫か?」

お兄様が優しく私の肩を抱き、頭をぽんぽんと軽くたたきながら顔を覗き込んできます。

佳苗 「・・・私は・・・誰?」
宗一郎「・・・・お前は・・・」
佳苗 「私は?」

お兄様の目をまっすぐ見つめました。
するとお兄様は私の両肩を掴んで言いました。

宗一郎「その答えは、自分で見つけるんだ。」
佳苗 「!?」
宗一郎「その答えは、ここにある。」

そう言って、私の胸を人差し指で押さえました。

佳苗 「私の、心のなかということですか?」

お兄様は優しく微笑んでゆっくりと、うなずきました。



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ドアが開くと、そこに立っていたのは見知らぬ女だった。
いや、佳苗に良く似た知らない女だ。
その女は俺を見ると、「しまった」という顔をした。

宗一郎「誰だ?」
女  「流石、お兄様ね。私が佳苗じゃないことすぐにわかるのね。」
宗一郎「当たり前だ。」
女  「まぁ、いいわ。そろそろあなたと話をしなければと思っていたところだから。」
宗一郎「・・・?」
女  「私は、珠絵。あっ、私は最初からこの身体のなかにいたのよ。というか、全員そうだけどね。」
宗一郎「どういうことだ?」
珠絵 「その、言葉の通りよ。まったくあなた達が余計なことをしてくれたお陰で私の計画が狂ってしまったわ。あなた達が望だと思っている子は、アン。私が封印したのに、わざわざ起こしてくれちゃって知恵までつけさせて、迷惑だわ。」
宗一郎「いや、でもショウが望だと言っていたぞ。コントロールしていたのも自分だと。」
珠絵 「だから!それは私がそう思わせていたの。じゃないと生きていられないから・・・。」
宗一郎「どういうことだ? 」
珠絵「仕方ないわね。あなたには協力もしてもらいたいし、全て説明するわ。」

そう言って、望の身体の中で起きていた今までのことを説明してくれた。

そもそも望の中には生まれた時から、望と佳苗と珠絵とそしてアンがいたという。
生まれた時から人格というものがあるのかどうか俺には謎だが。
更に、3歳で亡くなった佳苗にもいくつかの人格があったのではないかという。
望のオリジナルは望で。その望というのはショウのことだ。
佳苗が亡くなった時の美鈴の言葉にショックを受けたショウは、いや望は危うくアンに身体を乗っ取られるところだったのだという。
そこで珠絵は、アンを眠らせ封印し、佳苗を外にだした。
望には自分はショウという人格でこれから佳苗の窮地にはそれを助け、眠っている望も含めて自分でコントロールしていくようにと指令を出したそうだ。
佳苗の苦しみや痛みは自分のものとして乗り越える力をつけさせるための試練だったと。

珠絵 「望はうまくやっていたわ。佳苗を助け成長し、あのじじいとバッタリ会った時もかなり取り乱したけど、あなたのお陰で平静を保てた。だけど、アンに要らぬ知識を与えたせいで、また危ない目にあってしまった。」
宗一郎「危ない目?」
珠絵 「今年の初めの手首を切られた事件よ。」
宗一郎「切られた?・・・やっぱり、あれは自分で切ったわけじゃないんだな?」
珠絵 「そうよ・・・自分で切っても良かったのかもしれないけどね、アンは。」
宗一郎「・・・?」

美鈴の言葉に傷つき、気を失った佳苗に替って望が外に出ようとしたところを邪魔され、争った挙句、アンが身体を支配した。
そして、美鈴に自分は佳苗ではなく望だと言ったそうだ。
それを聞いた美鈴は突然表情を変え「それならいらない」と言って、近くにあった花バサミで佳苗の手首を切りつけたという。
アンは自ら手首を出したそうだが、花バサミだったお陰で、傷はあまり深くならなかったそうだ。刺されなくてよかった。
俺はもう、頭が混乱して何が何だかわからなくなっていた。

珠絵 「アンは闇なの。心の闇。邪魔なだけだから封印したのに!」
宗一郎「ちょっと待て。人間誰しも心に闇くらいある。嫉妬や妬みやネガティブな考えや・・・だけど、それにうまく折り合いをつけて成長していくんじゃないのか?」
珠絵 「はぁ?そんなものないほうがいいに決まっているじゃない。不要なものは切り捨てるのよ。」
宗一郎「ばかかっ?切り捨てられるわけないだろう。自分の心だぞ。」
珠絵 「別々よ。アンは要らない子。少し時間がかかりすぎたけど望がもうちょっと強くなれば、佳苗もいらない。」

パチンッ!
俺は、思わず珠絵の頬を平手打ちしていた。
怒りで顔を赤くした珠絵は俺を睨みつける。

宗一郎「じゃぁ!佳苗は何の為に今まで一生懸命生きてきたんだ?望だってそうだ。佳苗が辛い時にしか外に出られない。痛みや苦しみを担当して成長するための試練とか言うけど、一人の人間には辛いことも幸せなことも両方あるんだ。だから生きていける。違うか!?」
珠絵 「・・・」
宗一郎「俺は、望に対しても佳苗に対しても怒ったことはなかった。まして手を上げることなど。ふたりとも良い子だ。・・・そうだ、良い子すぎるんだ。」
珠絵 「・・・何、・・・言ってるの?」
宗一郎「望にも佳苗にもその闇がなさすぎるんだ。お前が封印したからな。本当はその闇も受け入れたうえで、お前のような正義感をぶつけて闘わせて自分なりに答えを出していくべきなんだ。望自身が。」
珠絵 「・・・」
宗一郎「アンが、母さんに自分は望だと言ったのだろう?それは、望の本心なんじゃないのか?自分は望だって、母親に言いたかったんじゃないのか?佳苗が死んだ時も、そのアンに乗っ取られたとしても、たかが3歳だ。大声で泣いたり、暴れたりするくらいだろ?本当はその方が良かったんじゃないのか?」

俺は、望の気持ちを考えると、涙があふれてきた。
望なのに佳苗として生きなければならなかった、その望の心がどんなに痛かっただろうか。

宗一郎「珠絵。俺を叩け。さっきのお返しにひっぱたいてくれ。」
珠絵 「はっ?」
宗一郎「俺も、お前と同じだから。」

そうだ。俺も逃げた。
望を守ると言いながら、守るどころか閉じ込めて佳苗になれと言ったのだ。
本当はあの時、母さんに怒るべきだったんだ。傷ついた望のかわりに。

パチンっ!

目が覚めるような、珠絵の特大平手打ちが飛んできた。
確かに俺よりだいぶ身体は小さいが、そんなジャンプして叩かなくても・・・。

宗一郎「・・・いって・・・ぷっ・・・・ふははははははっ」

俺はなんだか嬉しくて大声で笑い出した。
望や佳苗なら、こんな風に俺をひっぱたくこともいないだろう。
すると、珠絵もつられて笑い出した。

宗一郎「お前も、今まではそんな感情をあらわにする性格じゃなかったんだろ?確かにアンを目覚めさせたお陰で、みんなに影響がでているのかもしれないな。」
珠絵 「そうね。佳苗も望にやきもちを焼いたりしている。望も・・・そう。望はきっと自分は望だって言いたいのかもしれない・・・」
宗一郎「いい子でいることだけが全てじゃない。望も佳苗も珠絵もそしてアンもみんなで協力し合ってこれからどうするか話し合ってみてはどうだ?」
珠絵 「そうね・・・望と佳苗がどうしたいかだわ。私やアンはそもそも表に出ることはほとんどなかったのだから。」
宗一郎「みんなで考えろ。自分の心と向き合うってことは、きっとそういうことだ。」
珠絵 「わかった・・・もう少し時間をちょうだい。」



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<望の部屋・昼>
俺は久しぶりに望の部屋に入った。
佳苗が亡くなってから使われていなかったが、望が覚醒してからは、ショウが望に勉強や生活知識を教える時に使ったりしている。
この部屋の窓からは桜の木がよく見える。もうすっかり葉桜になってしまったが。
佳苗は高校3年生になった。
仲の良いお友達と今年も同じクラスになれたと喜んでいたな。
すっかり明るい性格になった佳苗だったが、正月明けのあの事件のことは、やはり思い出せないという。
母さんから、花柳家は恵理子に継がせると聞いてショックで気を失ったと言っていたから、確かに佳苗が自殺未遂をしたわけではないのだろう。
ショウなのか?望なのか?それとも・・・。
実は、クリスマスのあの夜から俺はショウと話をしていない。
佳苗の自慰を手伝う時も、佳苗自身だいぶ慣れてきたようでほとんど抵抗もしなくなったし、射精をする瞬間にショウと入れ替わるのは相変わらずだが、ショウはそのまま眠ってしまう。
そして、望もまたクリスマス以来顔を出していない。

それと・・・。
佳苗の事件の後、神田先生が気になることを言っていた。
左手首の傷は、自分でつけたものではないかもしれないと。
だとすると、いったい誰が何のために?
佳苗は誰かに狙われているのだろうか?
しかし、あれ以来何か危ない目にあったということもない。

そしてあの後、母さんの妊娠が発覚したのだった。
体外受精だが、お腹の子は女の子のようだという。
女の子が生まれてくれと、ただ祈るしかない。
これで、女の子が生まれれば恵理子がこの家に入ることもないだろうし、
何より、迷宮に入り込んでしまったかのような今の状態から解放されるのではないかと思えるのだ。
俺も佳苗も望も、そしてショウも。

そんなことを考えながらベッドに横になっていると、カチャリとドアが開いた。



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<居間・夜>
目覚めると、まわりにお兄様やお父様、お母様そして神田先生に田崎先生がとても心配そうに私の顔を覗きこんでいました。

神田 「佳苗さん、大丈夫ですか?」
佳苗 「?・・・はい。」

私が起き上がろうとすると、横になったままでよいと先生に制されました。
左手首のズキンッという痛みに顔をゆがめ右手で押さえると、そこには真っ白な包帯が巻かれていました。
私は不思議に思い、お兄様の顔を見上げました。
お兄様は何も言わず、うなずくと温かく大きな手で私のおでこを撫でました。
私は自分の身に何が起きたのか、一生懸命思いだそうとしました。
そして、少しずつ思いだしてきました。

お花のお教室が終わった後、片づけをしているとお母様が来て私に言ったのです。
「花柳家は恵理子さんに継いでもらおうと思っているの。」
ショックでめまいがしました。私は子供を産めないので花柳家を継ぐことはできない。
わかっていたことです。それでも、いざお母様にそう言われると胸が締め付けられるように苦しくなって、全身の血液が沸騰するようにざわざわと騒ぎだしたのです。
すると、頭の中で言い争う声が聞こえてきました。
何を言っているのかわかりませんでしたが、喧嘩をしているようなふたつの声。
そして身体の力が抜けて気を失ってしまいました。

そこまで思い出して、お母様の顔を見上げました。

美鈴 「ごめんなさいね、佳苗さん。そんなに思いつめるほど辛い思いをさせてしまって。」
佳苗 「・・・?それは、仕方のないことですから。」
美鈴 「でも・・・」
神田 「佳苗さん、今は何も考えずにもう少し休みなさい。ゆっくり眠って。」

私は、うなずくと目を閉じました。



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<病院・夕方>
昨年のクリスマスに、佳苗とショウと望のそれぞれの人格と時間を過ごし、色々な発見があった。
佳苗はずいぶん明るい子になったし、
俺のショウに対する愛しいと思う気持ちは兄弟愛にとどまらないことを思い知らされた。
そして望。・・・望は、空っぽだった。
3歳から17歳まで眠り続けていたのだから、当たり前なのだろうが、ショウや佳苗のような思い出が何もない。
3歳までの記憶もほとんどないという。俺に対してもどこか他人行儀だ。
佳苗が前日、あんなに喜んではしゃいでいた夢の国にもほとんど興味を示さず、クリスマスを楽しむ様子もなく早めに帰宅することになった。話もほとんどできなかった。

あの日から、喉に刺さった魚の骨のように、俺の中にはずっと違和感があった。
しかし、それが何だかわからない。
正月明け、診察時間が終わった頃、神田先生の病院を訪ねた。

宗一郎「お忙しいところすみません。」
神田 「いや、私も今後の事を相談しなければと思いたところです。田崎君にも来てもらいました。」
田崎 「どうも。その後どうですか?望君の様子は。」
宗一郎「それが・・良く分からなくなってしまって。」

俺は、近況を話した。
佳苗はだいぶ割り切れた風で、叔父貴と偶然会っても取り乱すことはなかったことや、
自慰に対しても前ほど嫌悪を示さなくなったこと、そして性格も明るくなったことなど。
望は、普通に生活するには特に不自由がないほどに成長したこと、ただ望には何の記憶もないことなど。
ショウは、望が眠りから覚めたことで、バランスを崩し情緒不安定になったり
ふたりのコントロールが前ほど容易ではなくなったことなど。
そして・・・幼い頃から、俺が望だと思って接してきた相手は実はショウであったこと。
3歳以前からだ。もしかしたら生まれた時からなのではと思うほどに。

田崎 「そうですか・・・。多重人格の治療としては、以前は人格の統合が推進されてきましたが、最近では、それよりもそれぞれの人格がトラウマを受け止め協力し合って生きていくことを重視する傾向もあります。今後の事については本人の意思に沿うよう勧めていきたいと思うのですが。望君の場合、幸い凶悪な人格など社会生活において支障をきたすことはないようなので、今のまま3人がお互いを受け入れ相談しながら生きていくということもできると思うのです。ただ、主の人格が性別の違う佳苗さんというところで、大人になるにつれ問題が大きくなっていくのではないかとも思われるのです。」
宗一郎「・・・あの、人格の統合がされると今の3人はどうなるのですか?」
田崎 「それは・・・正直わかりません。基本的人格の望君に他の二人が取り込まれるような形になるのか、それとも・・・」
宗一郎「ショウにも佳苗にも会えなくなるということですか?」
田崎 「・・・佳苗さんもショウ君も望君の心の一部です。本来表に出ることはなかった。」
宗一郎「・・・」
神田 「まぁ、まだそこまで急ぐこともないでしょう。その前に花柳家の問題があります。そもそもの原因と思われる、母上の美鈴さんとのトラウマを解決できていないのですから。」
宗一郎「・・・そうですね。虐待を受けていたというのも望ではなくショウだと聞きました。では、佳苗が死んだときの母さんの罵倒を受けたのは、本当に望だったのでしょうか?それもショウだったのでは?」
田崎 「それは・・・どうでしょうか。なぜ、望君が3歳のまま眠ることになったのか、そこがわかりません。」

そんな出口のない迷路に入り込んでしまったような話をしていると、病院の電話のベルが鳴った。
しばらくすると電話を切った神田先生が少し慌てて戻ってきた。

神田 「お父上からです。佳苗さんが手首を切ったと。」
宗一郎「!?」
神田 「あっ、幸い傷は浅く止血できたようです。今から花柳家に伺うことになりました。」
宗一郎「じゃぁ、私の車で。」
神田 「運転、大丈夫ですか?」
宗一郎「はい。」
田崎 「私も、ご一緒してよろしいでしょうか?」
神田 「そうですね。」
宗一郎「お願いします。」

急いで車の準備をして3人で我が家を目指した。



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<風呂・夜>
まだ、佳苗が生きていたころ小さな望と佳苗と3人でよく一緒に風呂に入った。
ふたりとも、いつも大はしゃぎで、おもちゃを持ち込み遊んだり、お互いの身体を洗ったりして楽しかったな。
俺は湯船につかりながら、幸せだったあのころを思い出していた。

ショウ「ねぇ、宗兄覚えてる?」

身体を泡だらけにしながらショウが言う。
つい先ほど佳苗が風呂に入ったのだから、そんなに洗わなくてもいいのにな。

ショウ「3人でお風呂に入ってると、佳苗がいっつも「あたちもオ●ン●ンほちい!」って言って、宗兄や俺のをひっぱってたよね。」
宗一郎「あぁ!そうだったなぁ。俺はお年頃でそんなことされたら反応しちゃうっていうのに、子供は容赦ないからな。」
ショウ「ぶはははっ!俺も今ならわかるけど、あの頃は「僕もお兄ちゃんみたいに大きくなるのがいいっ!」って佳苗に加担してた。ははははっ」
宗一郎「まったく、あの時は、双子の団結力って怖いなって思ったよ。それに大きくなるのを知ってる3歳児ってどうなんだ?」
ショウ「あははははっ!」
宗一郎「・・・?3人で一緒に風呂に入ってた頃の望も、お前だったのか?」
ショウ「うん。懐かしいね。はははっ。」

ショウは笑いながら湯船に入ってきた。
俺は手を伸ばしてショウの身体を引き寄せると後ろから抱きしめ、
肩に顎を載せて頬ずりをする。

宗一郎「・・・この身体が、3つあったらいいのにな。」
ショウ「・・・宗兄?」

俺は後ろからショウを抱きかかえたまま、お湯の中で身体を撫でまわした。
左手で左手を絡め取り一本ずつ指を口に含み舌で舐める。
右手は内腿を何度も上下させ、さするように触れる。
するとショウのそこはすぐに反応し、ムクムクと膨らんで体積を増やした。
俺はそれを確認すると、ショウの身体を少しねじらせ唇を重ね、
指先で胸の突起をつまんだ。

ショウ「んっ!」

ショウの吐息が漏れるとともに、ペニスがぴくんと反応するのを視界の端にとらえる。

何故だろう?おれはショウが愛しくてたまらない。
佳苗に対してこんな気持ちにはならないし、こんなことをする気にもなれない。
俺は、望と佳苗が生まれた時から、望が愛おしくて仕方なかった。
母親の美鈴が佳苗を溺愛しているのを横目でみつつ、俺は望を溺愛していたのだ。

俺は立ち上がり、ショウの身体を抱き起こすと、湯船の縁にある出窓に腰掛けさせる。
眩しそうに俺を見上げるショウの顎に軽く手を添えると口づけをした。
深く深く、ショウを愛しいと思う気持ちをそこから注ぎ込むように舌を絡める。
そして、その舌を、首筋に・・・肩に・・・胸に乳首に這わせていく。
乳首を舌の先でつつき、軽く噛んでは舐める。

ショウ「・・・んぁはっ・・・お・・にいちゃ・・あんっ!」

ショウの甘ったるい声が耳の奥に響く。
更に舌を腹に内腿に這わせるとショウの身体は小刻みに跳ねる。
両足を思い切り開きその中央に膝をついて、すでに立ち上がり先端から透明の液を垂らしたペニスをペロリと舐めた。

ショウ「あぁんっ!」

ショウの両手が俺の髪をつかんだ。
俺は目の前にある袋を手のひらで包み込むようにもみながら、
そそり立ったペニスの裏筋を舐め上げ先端から口に含んだ。

ショウ「はぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・・」

ショウは荒い吐息に合わせ両足を上下させお湯を揺らす。
俺は咥えたペニスを吸い上げては喉まで飲み込む。
じゅぷじゅぷといやらしい音を風呂中に響かせながら。

ショウ「はぁ・・・お兄ちゃん・・・俺も・・・したい・・・」

俺が立ち上がるとショウは俺のペニスの先端をペロペロと舐める。
たどたどしくて優しすぎる舌のタッチが、焦らされているかのように俺の欲望を煽る。

宗一郎「はぁ・・・手でゴシゴシしながらもっと、強く吸って・・・」
ショウ「うん。・・・んんっ・・・んっ・・・」

じゅぷっ・・・じゅ・・くちゅ・・・くちゅ・・・

宗一郎「・・・あぁ・・・上手だ・・・気持ちいい」

ふと窓の外をみると、夢の国のお城がライティングされていて綺麗だ。
このまま、ショウとふたりで、あのお城に住めたらいいのに。
ふたりっきりの世界。
そこにいるのは小人たちなのか?それとも魔女か?

俺はショウの頭を両手で押さえると、少し激しく腰を揺らし、じゅぷんっとその口からペニス抜きとった。

宗一郎「ショウ、一緒に気持ち良くなろう。」
ショウ「うん。」

バシャーンと湯船を出ると、洗い場にあるマットの上に向かいあって腰を下ろす。
唇を重ね舌を絡ませ、お互いのペニスをしごく。
キスの合間にどちらともなく吐息を漏らし、更に求めあう。
もっと、もっと・・・もっとショウが欲しい。
この身体がショウだけのものであったら、俺はその場で押し倒しその身体を無理やりにでも開らかせていたかもしれない。
叶えられることのない願いに少しでも近付きたくて、ショウを更に抱き寄せ、二本のペニスを会わせて握りしめしごいた。
ショウはそれに応えるように俺の背中に腕をまわし密着する。

ショウ「あぁんっ・・・あんっ・・・おにい・・・たん・・はぁん」
宗一郎「・・・愛してる。・・・はぁ・・・あぁ・・・」
ショウ「うんっ・・・うんっ・・・あぁ。・・・イきそっ・・・うっ・・」
宗一郎「はぁっ・・・あぁ・・・俺もっ・・・・」

更にペニスを握る手のスピードを上げ、抱き合いながら欲望を吐き出す。
そのふたりの白い液体は、お互いの身体に飛び散り更に洗い場に敷かれたマットに流れる。
マットに描かれている夢の国のキャラクターたちが精液まみれだ。

宗一郎「・・・佳苗が見たら激怒しそうだ・・・」
ショウ「うん。佳苗だけじゃなくて全国の・・・全世界のファンの皆さんにもね?」
宗一郎「うっ!・・・まずい。急いでシャワーで流そう!」
ショウ「ぷっ!あははははっ。」
宗一郎「はははははっ。」

俺たちは、この幸せなな時間が、砂時計の砂が落ちるように早く、限られたものであることを見ないように、ふたりで大声で笑った。


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ショウ「宗兄・・・」

瞼を開いたショウの瞳には溢れんばかりの涙がたまっている。
・・・震えているのか?

宗一郎「ショウ?どうした?」
ショウ「・・・お・・俺・・・」

俺の胸に顔を埋めしゃくりあげ、時折嗚咽を漏らす。

宗一郎「いい。無理して話さなくていい。思い切り泣け。遠慮するな。」

俺は、ショウを強く抱きしめ、背中を軽くたたいたり撫でたりしながら、落ち着くのを待った。
しばらくすると、ショウの呼吸が少し穏やかになったきた。

ショウ「ごめん。・・・俺、最近少し変なんだ。」
宗一郎「大丈夫か?・・・変ってどういうことだ?」
ショウ「・・・何もかも、コントロールがきかなくなってきた。」

夏の治療で眠っていた望を起こし成長を助け、佳苗に対しては望を演じながらコミュニケーションをとってきたショウ。
ずっと望と佳苗のピンチを助け、うまくコントロールしてきたが、最近は今までのようにはいかず、ショウの心理も不安定になっているという。
さっき、佳苗も言っていたが、眠らせたはずの佳苗の意識が起きたままになっていて、望のふりをしているショウの行動を見ていたり、時々望が勝手に外に出たりしているようだ。
更に、小5の夏の事を佳苗が思いだしてからというもの、その時の苦痛がよみがえり、
今日、偶然会ってしまった叔父貴の顔を見てから恐怖に囚われてしまっていたという。
どうやら、望を起こしたことにより3人の人格のバランスが崩れてきているようだ。
叔父貴の顔をみてパニックになったのは、佳苗ではなくショウ・・・どうなっているのだ?
次の治療の時に田崎先生に相談してみようか。

ショウ「ねぇ、宗兄。」
宗一郎「ん?」
ショウ「一緒に、お風呂に入ろう。」
宗一郎「・・・まったく、お前たちはどうしてそんなに俺と一緒に風呂に入りたがるんだ?」
ショウ「・・・わからないけど、子供の時は良く一緒に入って身体を洗ってくれたよね。」
宗一郎「!?・・・ショウにも一緒に風呂に入った記憶があるのか?」
ショウ「うん。楽しかったし嬉しかったんだ。」
宗一郎「よしっ!じゃぁ一緒に入るか?」
ショウ「うん!!」

なんだろう?
何か一瞬、見えた気がしたのだが、それが何だかわからない。
望と佳苗と、そしてショウ。
望の身体のなかでいったい何が起きて、どうなろうとしているのだろうか・・・?



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<ホテル・夜>
クリスマスイブに、30になろうという男が
デートスポット人気NO.1の遊園地で妹とデートというのもどうかと思うが、
今日は、佳苗について色々な発見もあった一日だった。
1週間前に友人から譲り受けたチケットとホテル宿泊券。
友人は恋人と過ごすために1年前から予約していたそうだが、なんと直前にふられてしまったらしい。
その相談を受けた時、俺は佳苗と望と、そしてショウと過ごすために良い機会かもしれないと思ったのだ。
夏に目覚めた時には、3歳だった望は、
ショウの教育のお陰で中学生くらいの知識と生活能力をみせるまでに成長していた。
そんな望と少しゆっくり話しもしてみたかったし、ショウと今後のことを相談する必要もあった。

しかし、ホテルに向かう途中、まさか芳明の叔父貴と会うとは、なんという偶然だろうか。
佳苗を連れていなかったら、一発殴ってしまっていたかもしれない。
叔父貴は、小5の佳苗を襲う前に、佳苗が実は望なのだと感づいていたはずだ。
そして、その後着々と自分の娘の恵理子を花柳家の養女にする計画を立てていたのだろう。
実は、花柳家のクリスマスは、毎年各界からの依頼が殺到し、かなり忙しい。
昨年までは、佳苗も駆り出されていたが、今年、母さんは佳苗ではなく恵理子を連れて現場にでている。
それを思うと、今日佳苗が楽しめる時間を過ごせたことは本当によかったと思う。

ホテルの部屋に入ると、そこはまた夢の国そのものだった。
確かにクリスマスに恋人をこんなところに連れてきたら、喜ぶことだろう。
そう言えば、俺はそんなサプライズのようなことはしたことがなかったな。
佳苗は、ベッドに置いてあったキャラクターのぬいぐるみを片手に抱いたまま
部屋中を探検している。

佳苗 「お兄様!お風呂が素敵です。ジャグジーもついていて、キャラクターたちがいっぱいいます。」
宗一郎「そうか、それはよかったな。佳苗先にお風呂入っていいぞ。」
佳苗 「お兄様も一緒に入りましょう。」
宗一郎「えっ!?」

俺は驚いて風呂の方をみると、にこにこしながら佳苗がこちらに向かってくる。
そして、抱えているぬいぐるみを俺に向けて、声色を変えて言う。

佳苗 「ねぇねぇ、佳苗ちゃんと一緒にお風呂にはいろうよ~」
宗一郎「おっ、俺は後でいいから、ゆっくり入ってきなさい。」

まったく無邪気に何を言っているんだ。大人なのか子供なのか。

佳苗 「どうしてですか?望ちゃんとは一緒に入るのに。」
宗一郎「そ、それは、望とは男同士だから。」
佳苗 「私は、お兄様となら平気です。」
宗一郎「い、いや、俺が恥ずかしいだろ。うん。女の子の佳苗に見られるのはな。」
佳苗 「・・・私、何度もみてますよ。」
宗一郎「はぁ!?」
佳苗 「お兄様と望ちゃんがしているところも、お風呂に入っているところも。」
宗一郎「えっ?・・・いつから?」
佳苗 「秋くらいからです。私、お部屋で起きていることも多いし、最近、頭痛と耳鳴りの他にも、
頭の中でよく話し声も聞こえるんです。何を話しているかはわかりませんけど。」
宗一郎「・・・そうだったのか。とは言っても一緒に風呂は無理だ、早く入ってきなさい。」
佳苗 「・・・はーい。わかりました。」

佳苗は着替えを持って風呂に向かった。
佳苗の言う、望とはきっとショウのことだろう。望の存在にはまだ気づいていないようだが、
話し声が聞こえるというのは、ショウと望の話しなのかもしれない。
しかし、佳苗は何を思って一緒に風呂に入りたいなどと言ったのだろう。
佳苗が、夏に催眠療法で叔父貴のことを思い出した時にはどうなることかと思ったが、
逆にあれから少し性格が明るくなったように感じる。
今日の偶然にも、佳苗がパニックにでもなったらと気が気ではなかったが、俺より平静だったくらいだ。
ふっきれたというのか・・・トラウマである原因を受け止めたからだろうか?
田崎先生も人格が分裂した原因を受け入れ克服していくことが治療になると言っていたな。

夜も更ける頃、佳苗は薬を飲んでベッドに入り眠りについた。

佳苗 「お兄様、今日は本当にありがとうございました。おやすみなさい。」
宗一郎「俺も、楽しかった。佳苗、大好きだよ。おやすみ。」

俺は腕枕をして、佳苗のおでこにキスをした。
しばらくして佳苗の寝息が聞こえてくると、ショウがぱちりと瞼を開いた。



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<夢の国(遊園地)・昼>
今日はクリスマスイブ。
なんとなんとっ!そんな大切な日、私はお兄様と夢の国でデート中です!
しかも、今夜は遊園地内にある素敵なホテルに宿泊するのです。
お兄様は、いったいどんな魔法を使ったのでしょう?
私は、まるでシンデレラにでもなった気分です。
数日前、お兄様に誘われた時は、本当に夢かと思いました。
夏頃から頭痛や耳鳴りがひどくて、少し落ち込んでいたので、
きっとお兄様が気を使ってくださったのかもしれません。
それでもいいんです。大好きなお兄様とこんな素敵なデートができるのですから。
明日のクリスマスは、望ちゃんがお兄様と過ごすことになっています。
交換日記のお陰で、望ちゃんとも色々お話が出来るようになったし、
最近は望ちゃんの為に私が眠りにつく時間をつくることも増えました。
少し寂しいのですが、最近はそれでもいいと思えるようになっていました。
だから、今日は私がお兄様を独り占めです。

佳苗 「お兄様!早く早く~」

私は、サンタクロースをイメージした真っ赤なミニスカートのワンピースに
大きなリボンをつけて、キャラクターハウスの前でジャンプをしながら手招きします。

宗一郎「しかっし、元気だな~。佳苗がこんなに活発な子だと思わなかった。」
佳苗 「そうですか?今日は特別かもしれませんけど。」
宗一郎「あぁ、楽しんでくれているなら、俺はうれしい。」
佳苗 「もちろん、楽しいです。」

私は少し大胆に、お兄様の腕をとり、列の最後尾に並びました。

今日は一日中お兄様の恋人気分で素敵な時間を過ごすことができました。
暗くなると、キャラクターのショーや、花火も見える園内のレストランでディナー。
ノンアルコールのシャンパンで乾杯でしたが、ちょっと大人になった気分で
私は、今までで一番幸せなクリスマスを楽しみました。

レストランを出てホテルに向かって歩いていると、お兄様が急に私を引き寄せ
抱きしめました。
私は、いったい何が起きたのかわからず、背の高いお兄様の胸に顔を埋めたまま、
立ち止りました。
すると、少し離れたところから聞き覚えのある声が聞こえたのです。

芳明 「おや?宗一郎君ではないか?」

お兄様の私を抱きしめる腕に力が入ります。少し痛いくらいに抱きしめられました。

宗一郎「・・・ご無沙汰しています。」
芳明 「クリスマスイブにデートですか?是非、ご紹介してくださいな。」
宗一郎「いえ、それには及びません。僕も、叔父上の隣の女性をご紹介されても、困りますから。」
芳明 「ははっ!こりゃ、一本とられたな。にひひひひっ、ここはひとつ内緒でな。」
宗一郎「心得てます。では、失礼します。」

お兄様は私の顔が叔父様に見えないように私の頭を抱えこんだまま歩き出しました。
前が見えず、少し速足に歩くお兄様について行くのが大変でしたが、
私を守ってくださったことが、とても嬉しくて心が温かくなりました。



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