<渚の恋の物語。渚くん大阪へ行くの巻>
先日、大阪のAV制作会社所属のくせに、僕とエッチしたいという理由で、楽園のオーディションを受けてゲスト出演したコウとは、コウが大阪に帰ってからも、ほぼ毎日メールのやりとりをし、2日に1回は電話で話すようになっていました。
※
<大阪からやってきたコウくんは、関西弁で言葉攻め>参照
まぁ、ほとんどコウからの近況報告だったり、どうでもいい日常の話をしている位だったのですが、それが急に5日も連絡がとれなくなってしまいました。
もう、毎日うるさいなぁと思っていたのですが、毎日あったものがないと変に不安になるものです。何度かメールをしてみても、返信がありません。
何かあったのかな・・・と心配になり、電話をしてみようかと携帯を取り出し番号表示をすると、着信音が鳴りました。コウからだ。
渚 「コウ?」
コウ 「・・・渚?・・・寝とった?」
渚 「起きてたよ。今、電話しようと思ってた。」
コウ 「そうか~ほな、テレパシーやな。」
渚 「・・・どうかしたの?」
なんだかコウの声は、いつもの元気がない。
コウ 「ん?なんもあらへんで。」
渚 「うそ。」
コウ 「ほんまやって。渚の声聞けてうれしいなぁ思って。」
渚 「・・・」
コウ 「渚?・・・好きやで。」
渚 「えっ?な、何?・・・急に。」
コウ 「ちゃんと伝えとかなあかんかなぁ思って。」
渚 「・・・やっぱり、変。何があったの?」
コウ 「なんもあらへんって。ほんまは会って言いたかったんやけど・・・」
渚 「あ、会えばいいじゃん。何それ?もう会えないみたいな・・・」
コウ 「ははっ。そうやな・・・」
どうにも様子のおかしいコウ。どう問いただそうかと考えていると、いきなりコウの部屋に誰かが乱入してきた様子。
ガチャガチャっとドアが開いてバタンっと締まる音。
???「ちょっと、コウ!なんでうちに黙っとったん?」
コウ 「なんやねん。合鍵まだ持っとったんか?いきなり入ってくんなや。」
携帯から少し離れて話す声が聞こえてきた。
コウ 「渚、すまん。来客や。またかけっ・・うわっ、何すんねん。」
どうやら、乱入してきた女の人に携帯を奪われたらしい。
???「あんたがマジ惚れした相手か?」
コウ 「そうや。麻衣には関係あらへんやろ」
どうやら、その女の人は麻衣という名前らしい。電話は切られずつながっている。
麻衣 「あんた、この電話の子にマジ惚れして、仕事出来んようになったんやろ?男も女も抱けへんようなって、本番何本ふっとばしたん?」
コウ 「しゃぁないやろ。勃たんもんは勃たんねん。」
大きな声で言い争っていたけど、麻衣さんが急に静かに真剣な声で話し始めました。
麻衣 「もう・・・後がないんやろ?」
コウ 「・・・」
麻衣 「どうなんや?」
コウ 「・・・明日、・・・ラストチャンス・・・それであかんかったら・・・」
麻衣 「あかんかったら、どうなるかわかっとるん?」
コウ 「わかっとるわ。マジレイプされるんやろ?」
ええっ?僕は耳を疑った。そんなことがあるの?なんで?
麻衣 「わかっとらん!あんたウケしたこともないのに、何人もの素人の奴らに姦わされんねんで。下手したら身体ボロボロになってまう。」
コウ 「そんなこと言うたかて、しゃぁないやん。自分のせいなんやから。」
麻衣 「わかった。ほんなら、明日、うちが相手したる。」
コウ 「はぁ?何言うてんねん?せっかく引退して彼氏できたんやろ?」
麻衣 「・・・そうやけど、あんたこん世界引っ張ったんは、うちなんやから。」
コウ 「そんなん関係ないわ。自分で好きで続けてたんやし。」
麻衣 「そんでも、あんた助けんかったらうち、一生後悔する。何が何でも明日、カメラん前で、あんたのチン●勃たせたるわ。」
コウ 「無理や。・・・俺、渚やないと勃たん。だから、ええねん。」
麻衣 「なら、その渚って子に頼めばっ・・・」
コウ 「あかんっ!!絶対、渚を巻き込みたないっ!自分のケツは自分で拭くわ。」
僕は電話の向こうから聞こえるふたりの会話を黙って聞いていました。
たぶん、麻衣さんって人は、この会話を僕に聞かせようとして携帯を切らずに持っているのだと思ったからです。
麻衣 「ほんなら、やっぱうちがAV出るわ。」
コウ 「それも、あかんっ。麻衣は彼氏と幸せに結婚しい。」
麻衣 「そんなん無理や。明日の何時から撮影なん?」
コウ 「朝、10時。そやけど撮影せんで無理言うつもりや。」
麻衣 「そんなことしたら、もう普通の生活でけへんで。いつどこでどんな風に襲われるかもわからんのやで?」
麻衣さんは涙声になっている。
そして、電話からカチャカチャという音がした。
麻衣 「渚くん?聞いとった?明日の10時がリミットや。コウを助けてっ!」
コウ 「な、何しとんねん?電話つながっとるんか?」
ガチャガチャと乱暴にコウが電話を奪ったらしい。
コウ 「・・・?渚?聞いとったんか?」
渚 「・・・うん。」
コウ 「関係あらへんから。渚には関係ないことやからっ。」
渚 「なんで?・・・さっき、好きって言ったくせに。」
コウ 「そ、それは・・・言っておきたかっただけやっ。」
渚 「一方的に?僕の答えは要らないの?」
コウ 「・・・。いらん。もう、全部忘れてくれや。渚、ばいばいやっ。」
コウはそう言って電話を切りました。
・・・そしてその声は、震えていました。
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