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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
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そんなわけない。
そんなわけないけれど、目の前で少し泣きそうな顔で俺を見ているそいつは、この3年間、会いたくて会いたくて仕方なかった良介の形をしている。ついさっき夢にまでみた良介の。
俺は次の言葉が見つからず、ぽかんと口を開けてその顔を見つめていた。

「颯太。・・・遅くなってごめんな。」
「良介・・・なのか?」

懐かしい、優しくて低い声。良介の声だ。俺の耳元で囁いた時みたいな少しかすれた声。いや、でもそんなはずはない。だって良介はあの日・・・。

「颯太。あの日、ここでずっと待っていてくれたんだろ?それなのに俺。本当にごめん。怒ってる・・・よな?」
「怒って・・・ない。」
「俺、颯太がひとりで東京に行くって聞いてショックだったんだ。しかも何も相談してくれなかったことに腹が立って・・・」
「うん・・・。俺こそごめん。」

何がどうなっているのかわからないけど、目の前に居るのはやっぱり良介だ。あの日何があったかなんて、もうそんなことはどうでもいい。夢だろうと奇跡だろうと、今目の前に居るのは良介だ。今こそ、伝えなきゃ。もう後悔はしたくない。

「良介・・・。俺、あの日どうしても良介に言いたかったことがあったんだ。」
「うん。」
「俺・・・良介のことが好きなんだ。・・・その、友達としてではなくて・・・。」

良介は何も言わない。俺は良介の顔を見るのが怖くてうつむいたまま話を続けた。

「だから・・その、良介に知られたくなくて・・・怖くて逃げようとした。それで、ひとりで東京に行くことを決めたんだ。でも・・・それをなかなか良介に言えなくて・・・」
「バカ颯太。」
「えっ?」

思わず顔を上げると、ふわっと抱きしめられた。

あ、良介の匂いだ・・・。

「俺も颯太が好きだった。」

俺は驚いて顔を上げようとしたが、ぎゅっと抱きしめられて身動きができない。良介は俺の耳元で更に言葉を続けた。

「ずっとだ。俺なんてずっと。物心ついたときから颯太のことが好きだったんだぞ。もっと早く気づけよ。まったく。」
「うっ・・うそだ。気づくかよ、そんなこと。」
「そういうとこ。颯太は鈍過ぎるんだよ。好きでもないのに、男同士であんなことするかよ普通。考えればわかるだろ。」
「で、でもあれは・・・」
「颯太も同じ気持ちなんだと思ってた。・・・それなのに、いつまでたってもキスさせてくれないし。」
「だって・・・そんなことしちゃったらもう俺、止めらんないと思って。」
「・・・うん。わかってた。それも可愛いなって思ったから、颯太がその気になってくれるまで気長に待とうって思ってたんだ・・・。」

良介の腕の力が少し緩んだ。おれは顔を上げて良介を見た。泣いてる・・・?

「りょう・・すけ?」
「・・・ごめんな。」
「な、なにが?」
「・・・颯太のせいじゃない。・・・俺も逃げてた。颯太から打ち明けてくれるのを待つとか自分に言い訳して・・・自分から言えなかった。・・・本当は、ただ怖かったんだ。」
「良介・・・」

まさか良介も俺と同じ気持ちだったなんて。いつも自信満々の良介が、こんな風に不安な気持ちを抱えながら俺のことを想っていてくれたなんて、想像もしていなかった。

「良介、好きだ。・・・あの日、言えなかったけど俺、良介のことが好きだ。」
「うん。俺も・・・颯太の事が・・・好きだったよ。」

良介が俺の髪を優しく撫でた手であごをとらえた。そしてその太い親指で唇をなぞる。

「颯太。キス・・・していい?」
「・・・うん。」

良介の唇が軽くチュッと俺の薄い唇に触れて離れた。そして今度は強く唇を押しつけてきたかと思ったら舌先で歯列を割って奥まで入ってきた。厚みがあるのに少し冷たいその舌が俺の口腔内で別の生き物のように動き回る。

「んんっ・・・」

思わず鼻から声が漏れた。

「颯太・・・ずっと・・・こうしたかった・・・」

良介は唇を重ねたまま息をするように囁く。俺だって本当は、ずっとこうしたかった。そう言いたかったが、声にならない。時折唇を軽く噛んだりしながら舌の動きは更に激しくなり、頭の芯まで痺れてきて真っ白な光に包まれていく。俺は遠のいていく意識に抵抗するように良介の背中に回した手に力を入れた。

良介・・・大好きだ。




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