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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
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俺は足元をふらつかせながら、神宮寺の後について店を出た。
すると、目の前に音もなく高級車が止まり、運転手が降りてきて後部座席のドア開ける。

神宮寺「乗れ」
翔  「は?」
神宮寺「早く乗れ。」

促され車に乗り込むと、後から神宮寺も乗り込む。
運転手がドアを閉めてすぐに運転席に回り込んだ。

神宮寺「楽園に。」
運転手「かしこまりました。」

車は静かに走り出した。
あまりにも静かすぎて、俺は睡魔に襲われていた。
どうして俺は見ず知らずの人の車に乗っているのだろう?行き先は楽園?楽しいところなのかな・・・・

神宮寺「到着するまで寝ていていいぞ。」

俺はそれに返事をする力もなく、眠りに落ちた。
しばらくして、起こされたが、どれくらい眠っていたのか、そこがいったいどこなのかもわからない。ビルの地下駐車場のようだった。
神宮寺に促されるまま車を降りて、寝ぼけたままエレベーターで最上階まで登ると、そこは玄関だった。最上階専用の直通エレベーターらしい。
中に入ると自動的に電気がつく。そして目の前には、いったい何人家族で住んでるんだ!?っていうくらいの大きなリビングが広がっている。その奥には廊下やいくつかの扉があるから、かなりの部屋数だ。っていうか、ビルの最上階すべてってことだよね?
この人、いったい何者なんだろう?

神宮寺「とりあえず、シャワー浴びて来い。」
翔  「え?」
神宮寺「汗流して、頭切り換えて来い。契約の話はそれからだ。」

なんで、いきなりシャワーなんだよ?この人の頭、ぶっとんでて良く分からない。
と思いつつ、有無を言わせない物言いに、従うことしかできない情けない俺・・・。
シャワーを浴びて出てくると、俺の服がない。なんだか高級そうなシルクのガウンが一枚置いてあったので、とりあえずそれを羽織ってリビングに向かった。

翔  「あの、俺の服は?」
神宮寺「洗濯した。」
翔  「へ?」
神宮寺「俺もシャワーを浴びてくるから、適当にくつろいでいろ。」

だだっ広いリビングにひとり取り残されて、何をしていいのかわからずキョロキョロと周りを見渡してみると、少しだけ開いている扉をみつけた。
ちょっと覗いて見ると、部屋の中央にはグランドピアノが置いてある。
恐る恐る中に入るが、この部屋は電気が自動ではつかないようだ。
大きなガラス窓の外にはキラキラと光る宝石箱をひっくり返したような夜景が見えた。
吸い寄せられるように窓辺に近づき夜景を見つめていると、俺は25年間の人生を思い起こし、なんだか自分がすごく小さな人間に思えてきた。
そして近くにあったソファに身体を預けるとまた、眠りに落ちて行った。

神宮寺「翔?」

シャワーから出てきた神宮寺に起こされて、瞼を開くと目の前に漆黒の瞳があった。
前髪を下ろしたその顔は、思ったより若い。
俺は酔いと眠気に身体を支配され脱力したまま、真上から俺を見下ろすその瞳を見つめていた。
気づくとその距離がどんどん近付き、唇に柔らかいものが触れる。
え!?
キス・・・されてる。
熱をもった舌が俺の口内に入り込みわがままに動き回る。それは強引でやさしい。

翔  「んっ・・・ふぁ・・・んんっ・・・」

こんなキス、俺は知らない。上手すぎる。
やばい。相手は男だ。しかも、つい数時間前に初めて会った相手だ。
俺はやっと我に返り、巧みなキスに引き込まれそうになるのを振り切り、両手で思い切り神宮寺の胸を押し返した。

翔  「・・・なんで?」
神宮寺「オーデションだ。」
翔  「は?」
神宮寺「お前、男の経験は?」
翔  「おとこのけいけん?」

俺は、神宮寺の言っている意味がまったく理解できなかった。

神宮寺「男と寝たことはあるかと聞いている。」
翔  「はぁ?あるわけないだろう。」
神宮寺「ないのか?ちゃんと反応しているじゃないか。」

神宮寺はそう言って、俺の股間を握った。

翔  「んっ!」
神宮寺「今ここで、俺に抱かれるか、それとも自慰をするか、どちらか選べ。」
翔  「何を言っているんだ?」
神宮寺「オーデションだと言っただろう。お前の事情は調べた。合格すれば仕事と必要な金は俺が出してやる。強欲ババアを抱くよりは随分マシだと思うがな。」

神宮寺はそう言ってまた、唇を重ねてきた。

翔  「んんっ・・・んぁ・・・・んっ・・・」

上手すぎて抗えない。
最近ご無沙汰だったせいなのか、酔っているせいなのか眠気のせいなのか、それともこの神宮寺のキスのせいなのか、確かに俺の股間は反応していた。

神宮寺「もう一度聞く。俺に抱かれるか、それとも自慰をして見せるか、選べ。」

確かに毎月、堅気の稼ぎでは追いつかない金が俺には必要だった。
何をさせられるのかわからないが、この人にはそれだけの金と権力があるように思えた。
そして俺は、覚悟を決めた。



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