ショウ「宗兄・・・」
瞼を開いたショウの瞳には溢れんばかりの涙がたまっている。
・・・震えているのか?
宗一郎「ショウ?どうした?」
ショウ「・・・お・・俺・・・」
俺の胸に顔を埋めしゃくりあげ、時折嗚咽を漏らす。
宗一郎「いい。無理して話さなくていい。思い切り泣け。遠慮するな。」
俺は、ショウを強く抱きしめ、背中を軽くたたいたり撫でたりしながら、落ち着くのを待った。
しばらくすると、ショウの呼吸が少し穏やかになったきた。
ショウ「ごめん。・・・俺、最近少し変なんだ。」
宗一郎「大丈夫か?・・・変ってどういうことだ?」
ショウ「・・・何もかも、コントロールがきかなくなってきた。」
夏の治療で眠っていた望を起こし成長を助け、佳苗に対しては望を演じながらコミュニケーションをとってきたショウ。
ずっと望と佳苗のピンチを助け、うまくコントロールしてきたが、最近は今までのようにはいかず、ショウの心理も不安定になっているという。
さっき、佳苗も言っていたが、眠らせたはずの佳苗の意識が起きたままになっていて、望のふりをしているショウの行動を見ていたり、時々望が勝手に外に出たりしているようだ。
更に、小5の夏の事を佳苗が思いだしてからというもの、その時の苦痛がよみがえり、
今日、偶然会ってしまった叔父貴の顔を見てから恐怖に囚われてしまっていたという。
どうやら、望を起こしたことにより3人の人格のバランスが崩れてきているようだ。
叔父貴の顔をみてパニックになったのは、佳苗ではなくショウ・・・どうなっているのだ?
次の治療の時に田崎先生に相談してみようか。
ショウ「ねぇ、宗兄。」
宗一郎「ん?」
ショウ「一緒に、お風呂に入ろう。」
宗一郎「・・・まったく、お前たちはどうしてそんなに俺と一緒に風呂に入りたがるんだ?」
ショウ「・・・わからないけど、子供の時は良く一緒に入って身体を洗ってくれたよね。」
宗一郎「!?・・・ショウにも一緒に風呂に入った記憶があるのか?」
ショウ「うん。楽しかったし嬉しかったんだ。」
宗一郎「よしっ!じゃぁ一緒に入るか?」
ショウ「うん!!」
なんだろう?
何か一瞬、見えた気がしたのだが、それが何だかわからない。
望と佳苗と、そしてショウ。
望の身体のなかでいったい何が起きて、どうなろうとしているのだろうか・・・?
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