<夜・ホテル①>
そのホテルとは、いわゆるラブホテルで、しかもかなり古い感じ。
スイートルームとやらは、とりあえずそのホテルの中で一番良い部屋のようではあったが、
何がというと、たとえばベッドがまるくて回転するとか、ベッドからバスルームが見えるとか、
一昔前の刑事ドラマで殺人事件の現場に出てきそうな部屋だった。
そして、涼は不機嫌極まりないといった様子である。
隆哉「なぁ、涼。そんなに怒るなよ~」
涼「怒るよ。なんでこんなところでホテルに泊まることになってるんだよ。
しかも、彼氏とか言うし」
隆哉「だって、あのおばはん、何が何でも泊らせようって強引だったし。
彼氏とか言ったのはジョークだってわかるだろ~」
涼「・・・俺の場合はジョークにならないんだよ・・・。」
隆哉「え?」
涼「なんでもない!もう、さっさと風呂入って寝るぞ」
隆哉「ああ。買い出し荷物は預かってもらったけど、酒はまずいと思って持ってきた。
今日は、車乗らないからいいだろ?少し飲もうぜ」
涼「・・・そうだな。隆哉、先風呂入ってこいよ」
隆哉「はーい」
ベッドから風呂の中は見えるけど、風呂からは見えないんだ。
涼に見られているかもしれないと思うと、なんだか恥ずかしくて、そそくさと風呂を出た。
全然、色気も何もない変な水色のガウンを着て部屋に戻ると、涼は本を読んでいた。
交代で涼が風呂に入ったが、見てはいけないような気がして、ベッドの上で電気をつけたり消したり、
有線音楽を切り替えたりしていると、涼もまたあっという間に風呂から出てきた。
隆哉「うわっ。涼ってピンク似合うね。がははっ」
涼「笑うな。お前が先に水色着たからこれしかなかったんだろ!
っていうか、このガウンかっこわり~あはははっ」
二人で爆笑した。
軽く酒を飲んだが、涼の言うとおり早めに寝ることにした。
ベッドに入って電気を消す。
隆哉「おやすみ」
涼「おやすみ」
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