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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
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もう、今年も残りあと2日。
楽園もお休みに入っていて、里帰りした人も多いので寮も静かです。
和樹さんは、DVD制作の企画やコーディネータ、営業もしていて、今日もどうしても行かなければならない所があるそうで、出かけてしまいました。
ぼくは退屈なので楽園の事務所で、マリンさんに「暇な時にやっておいてね」と言われていた資料の整理をしていました。
そこには、いろいろなマニュアルなどもあって、初めてエッチするときのウケの子の準備の仕方とか、タチの人の注意点とかも載っていました。
女装の時のメイクマニュアルもあって、これってマリンさんが作ったのかな?すごく丁寧に説明してあって、僕は夢中で読んでしまいました。

しばらくすると、事務所の扉がひらいて、誰かが事務所に入ってきました。

結実香「ねぇ~和くん、なんでアクターやめちゃったのぉ~?」
和樹 「そろそろ歳だからだよ。」

和樹さんと、最近アクターになった男の娘の結実香さんだ。綺麗だな~。
<メイドの結実香ちゃんはご主人様に攻められたいの>参照
気づいたら僕は、咄嗟に隠れてしまいました。
僕がいる資料室は事務所の奥にあって、和樹さん達の場所からは死角になっているので、そこで息をひそめていました。

結実香「えぇ~全然若いじゃん。エッチだってめちゃくちゃ上手なのにぃ~」

え!?
僕は思わず事務所を覗き込んでふたりの様子をみました。
結実香さんは、椅子に座ってパソコンに打ち込みをしている和樹さんの後ろから抱きついています。

和樹 「関係ないだろっ。・・ってか、ベタベタすんなっ。」
結実香「ひどぉ~い。クリスマスの夜は、あんなにラブラブだったのに~」
和樹 「らぶらぶって・・・だから誤解されるような言い方するな。」
結実香「本当の事じゃなぁい。別に彼女いないならいいじゃない。」
和樹 「まったく・・・あっ、そうだお前、胸はでかくするなよ。」
結実香「急に何の話よ?」
和樹 「静香が来たら被るだろ?それにホルモン剤打つと太る。お前の場合その体型維持は絶対だからな。」
結実香「うわぁ~厳しい。」
和樹 「何でもバランスなんだよ。コスプレをウリにするんだろ?」
結実香「そうよ~次はナースがいいな。あと、ゴスロリとかもやってみたい。」
和樹 「なら、体型維持しろ。」
結実香「和くん、コスプレすきでしょう?」
和樹 「なっ・・・まぁ、嫌いじゃないけどな。」
結実香「何が好き?」
和樹 「別に、好きな子がやってくれたら・・・」
結実香「メイドはどうだったぁ?」
和樹 「俺、別に女装とかが好きなわけじゃないから。」
結実香「そうなのぉ?じゃ、何がいいの?」
和樹 「そだなぁ・・・裸エプロンとか?」
結実香「きゃ~!やっぱりエロ親父だわぁ!きゃはははっ」

ふたりはしばらく話をしていましたが、僕が放心状態になっている間に、いつの間にかいなくなっていました。
聞きたくなかった。聞かなければよかった。隠れなければよかった。
クリスマス・・・結実香さんと一緒だったんだ。
ラブラブだったって・・・エッチもしたって・・・。
もう、頭のなかがぐるぐるしていて、何が何だかよくわからなくなっていました。
そのまま、部屋に戻る気分にはなれなくて、外に出ました。

公園のブランコに乗って、ぼーっとしていたら、コンビニ帰りらしいコウくんと渚くんに声をかけられました。

コウ 「宇宙くん?どないしたん?」
宇宙 「あっ・・・。」
渚  「何かあったの?」
宇宙 「・・・」

僕はふたりの顔をみたら、また涙が溢れてきて止められなくなってしまいました。
渚くんが僕の座っているブランコの前に立って、抱きしめてくれました。
しばらく泣いたら、少し落ち着いてきました。

コウ 「渚ん胸貸してやるんは今日だけやからな。」
渚  「んっもう。いいじゃない。宇宙くんなんだから。」
宇宙 「あっ、ごめんね。」
コウ 「冗談や。大丈夫か?」
宇宙 「うん・・・少し落ち着いた。」

そして、ふたりは僕の話を真剣に聞いてくれました。

コウ 「ほんまに、あのおっさんは何を考えてるんやろな?」
渚  「仕事絡みだとおもうよ。前に、結実香さんのことタイプじゃないって言ってたし。」
宇宙 「うん・・・。」
コウ 「そやけど、クリスマスにラブラブってぇのは、聞き捨てならんで。」
渚  「コウ、煽ってどうすんの?」
コウ 「あ、そうやな。・・・おっさん、そんなにモテへんと思うで。」
渚  「コウ?」
宇宙 「・・・ありがとう。」
コウ 「ほんなら、裸エプロンしてみたらええやん。」
宇宙 「え?」
渚  「そうだね。それでだめなら、はっきり言うしかないよ。」
コウ 「大丈夫やって。絶対押し倒してくるわ。」
宇宙 「・・・」
コウ 「渚が裸エプロンしとったら、俺は間違いなく押し倒すな。」
渚  「コウ?しないよ、僕は。エプロンするのはコウのほうだしね。」
コウ 「あっ!そうやった。料理係は俺やった。なんや、つまらんなぁ。」
宇宙 「ふふふっ。ありがとう。」

僕を励ましてくれる、ふたりに心からお礼を言って、一緒に寮に戻ることにしました。


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<宇宙&和樹の場合>

はじめまして、宇宙です。
ヘアメイクの学校に通いながら、ゲイ専門AV制作会社で、お手伝いをしています。
19歳です。
・・・内緒なんですけど本当は、まだ18歳です。はや生まれなのでもうすぐ19歳です。

楽園でアクターとしてデビューするはずで、僕のPV用の撮影までしてもらったんですけど、
<宇宙くんのセックスの相性、理想と現実>参照
あまりそういうの向いてないみたいで、ボツになっちゃいました。
僕は、そのPVの撮影の時にすっごくやさしくしてくれたお相手の和樹さんに一目ぼれ。
楽園の寮でも同じお部屋になって、家のゴタゴタの時も助けてくれたんです。
そして・・・結ばれました。
<和樹くん、未知なる宇宙の謎に挑む!?> 参照


すっごくすっごく幸せなんです・・・。
だけど、あれから2週間、和樹さんは一度も僕を抱いてくれません。
同じ部屋に住んでいるのに・・・ベッドルームは別だけど。
確かに最初の1週間くらいは、引っ越してきたばかりで僕も仕事を覚えたり、学校の課題が忙しかったりしていたし、和樹さんはアクター引退して楽園の社員になって色々忙しくて大変そうだったから、仕方ないなって思っていたけど。
クリスマスだってあったのに、和樹さんは仕事だと言って帰りも遅くて、って言うかほとんど朝帰りだった。帰ってきてから僕のベッドルームにそっと来て、キスしてくれたのは嬉しかったけど。でも・・・。
僕は、欲張りになっているのかなぁ?大好きな和樹さんと一緒にいられるだけで幸せなことなのに、和樹さんの全部が欲しいって思っちゃう。でも、よく考えてみると、僕は和樹さんのことを、ほとんど何も知らないってことに気づいてしまった。
和樹さんの好きなものも、嫌いなものも、趣味も、そうだ!誕生日さえ知らない。
そう思ったら、悲しくなってきた・・・。

ガチャガチャ
玄関の鍵が開いて扉がひらいて閉じる。

和樹 「ただいま~」
宇宙 「あっ!お帰りなさい」
和樹 「どうした?電気もつけないで。寝てたのか?」
宇宙 「え?ホントだ。もう暗くなってる。気付かなかった。」
和樹 「大丈夫か?どこか具合でも悪いんじゃ?」

和樹さんはそう言って、僕の額に自分の額をつけました。

宇宙 「大丈夫。夕飯温めるから、お風呂先にどーぞ。」
和樹 「おう。サンキュ」

和樹さんは、いつだってやさしい。やっぱり僕は欲張りなんだ。
そう自分に言い聞かせて、手のひらで和樹さんが触れたおでこを撫でました。


次の日、もう学校は冬休みに入っていたので、僕は渚くんの部屋で渚くんにメイクのモデルになってもらっていました。
渚くんは、めちゃくちゃ可愛いし背も低いので女の子みたいなのに、お化粧とか女装とかは嫌いなんだって。だけど僕の為に付き合ってくれました。

宇宙 「渚くん、めちゃくちゃ可愛いのにどうして女装とか嫌いなの?」
渚  「えぇ?だって僕、男だもん。女の子になりたいわけじゃない。宇宙くんは?」
宇宙 「あ、そう言えば僕もそうかも。お化粧してあげるのはすきだけど、自分でしたいとは思わないかな。」
渚  「でしょ?宇宙くん化粧しなくても可愛いし。」
宇宙 「えぇ?渚くんの方が可愛いよ。」
渚  「ほめすぎぃ~。でも、メイクのモデルしたの、コウには内緒だよ。」
宇宙 「なんで?喜びそうじゃない?」
渚  「それも面倒だし、いろいろバレると、煩いから。」
宇宙 「愛されてるね。」
渚  「・・・和樹さんこそ、そういうの結構好きなんじゃないの?」
宇宙 「よく、わからない。そういう話ししないし・・・僕、和樹さんのこと良く知らないんだ。」
渚  「どうかしたの?何かあった?」

渚くんは鋭いから、僕の声のトーンで気づいたみたいで心配してくれました。
僕は、渚くんに悩みを打ち明けました。

渚  「えぇ!?びっくり。和樹さんのことだから毎晩、宇宙くんを変態攻めしてるんだと思ってた。」
宇宙 「へんたっ・・・」
渚  「あっ、ごめん。・・・でも、それって宇宙くんのこと本当に大事にしてるってことなんじゃない?」
宇宙 「・・・うん。大事にしてくれてるとは思う。やさしいし。」
渚  「和樹さんって、セックスの経験は豊富だけど、実は恋愛の経験ってあんまりない気がするんだよね。」
宇宙 「え?」
渚  「マジな恋愛って、ちゃんとしたことないんじゃない?」
宇宙 「・・・そうなのかな?」
渚  「宇宙くんから誘ってみれば?」
宇宙 「えぇ?・・・恥ずかしいよ。」
渚  「宇宙くんって、あんまり自分から行けないタイプなんだ?」
宇宙 「うん・・・。どうしていいか良くわからなくて・・・。」
渚  「あっ!じゃ、これあげる。ちょっと待ってて。」

渚くんは、そういうと収納箱を開けて何かを持ってきました。

渚  「宇宙くん似合いそう。」
宇宙 「えぇ?」

それは、白い猫耳でした。

渚  「それつけて普通に、おかえりなさい。とか言ってみれば。」
宇宙 「不自然でしょう?」
渚  「大丈夫だよ。和樹さんってそういうの好きそうだもの。」
宇宙 「・・・変態だから?」
渚  「えっ!?ち、違うよ~変態は撮影上でしょ。宇宙くんだって、コスプレとかまでするのはちょっと難しいとしても、猫耳くらいならできるでしょ?そしたら、和樹さんだって宇宙くんの気持ちに気づくよ。」
宇宙 「そう・・・かなぁ?」

僕は、半信半疑だったけど渚くんのアドバイスを試してみようと思いました。

その夜
ガチャガチャ
玄関の鍵が開いて、扉がひらいて閉じる。
僕は、急いで猫耳をつけて、玄関まで迎えに出ました。

宇宙 「おかえりなさーい。」
和樹 「・・・・・」

でも・・・和樹さんは、すぐに僕の耳に気づいて固まってしまいました。

宇宙 「あの・・・・?」
和樹 「・・・どう・・したんだ?」
宇宙 「あっ、な、渚くんに借りて・・・」
和樹 「あいつ。どうせ、宇宙くんに似合うからあげるね~とか言われたんだろ?」
宇宙 「う、うん。・・・変?」
和樹 「へ、変ってことはない・・・確かに似合ってる・・・な。」

和樹さんは少し照れているみたいだったけど、そのまま上着を脱いでバスルームに消えてしまいました。
僕はキッチンに戻って夕飯を温めながら、落ち込んでしまいました。

和樹さん、独占欲強いって言ってたくせに、ちっとも僕を独占してくれない。
僕だって和樹さんを独り占めしたいよ・・・。
気づくと、手にしていたお皿の上に涙がぽたぽたと落ちていました。


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※このお話は、【楽園】の番外編です。

楽園所属アクターたちのプライベートのお話。
短編なので、これだけでも楽しめると思いますが、本編を読んでからの方が、より一層お楽しみいただけると思います。

本編はこちら→【楽園】

<宇宙&和樹の場合>
【楽園のお正月】1
【楽園のお正月】2
【楽園のお正月】3

<柏木 翔の場合>
【楽園のお正月】4

<渚&コウの場合>
【楽園のお正月】5
【楽園のお正月】6

<オネエ日本代表 マリンさんの場合>
【楽園のお正月】7




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