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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
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<宇宙&和樹の場合>

はじめまして、宇宙です。
ヘアメイクの学校に通いながら、ゲイ専門AV制作会社で、お手伝いをしています。
19歳です。
・・・内緒なんですけど本当は、まだ18歳です。はや生まれなのでもうすぐ19歳です。

楽園でアクターとしてデビューするはずで、僕のPV用の撮影までしてもらったんですけど、
<宇宙くんのセックスの相性、理想と現実>参照
あまりそういうの向いてないみたいで、ボツになっちゃいました。
僕は、そのPVの撮影の時にすっごくやさしくしてくれたお相手の和樹さんに一目ぼれ。
楽園の寮でも同じお部屋になって、家のゴタゴタの時も助けてくれたんです。
そして・・・結ばれました。
<和樹くん、未知なる宇宙の謎に挑む!?> 参照


すっごくすっごく幸せなんです・・・。
だけど、あれから2週間、和樹さんは一度も僕を抱いてくれません。
同じ部屋に住んでいるのに・・・ベッドルームは別だけど。
確かに最初の1週間くらいは、引っ越してきたばかりで僕も仕事を覚えたり、学校の課題が忙しかったりしていたし、和樹さんはアクター引退して楽園の社員になって色々忙しくて大変そうだったから、仕方ないなって思っていたけど。
クリスマスだってあったのに、和樹さんは仕事だと言って帰りも遅くて、って言うかほとんど朝帰りだった。帰ってきてから僕のベッドルームにそっと来て、キスしてくれたのは嬉しかったけど。でも・・・。
僕は、欲張りになっているのかなぁ?大好きな和樹さんと一緒にいられるだけで幸せなことなのに、和樹さんの全部が欲しいって思っちゃう。でも、よく考えてみると、僕は和樹さんのことを、ほとんど何も知らないってことに気づいてしまった。
和樹さんの好きなものも、嫌いなものも、趣味も、そうだ!誕生日さえ知らない。
そう思ったら、悲しくなってきた・・・。

ガチャガチャ
玄関の鍵が開いて扉がひらいて閉じる。

和樹 「ただいま~」
宇宙 「あっ!お帰りなさい」
和樹 「どうした?電気もつけないで。寝てたのか?」
宇宙 「え?ホントだ。もう暗くなってる。気付かなかった。」
和樹 「大丈夫か?どこか具合でも悪いんじゃ?」

和樹さんはそう言って、僕の額に自分の額をつけました。

宇宙 「大丈夫。夕飯温めるから、お風呂先にどーぞ。」
和樹 「おう。サンキュ」

和樹さんは、いつだってやさしい。やっぱり僕は欲張りなんだ。
そう自分に言い聞かせて、手のひらで和樹さんが触れたおでこを撫でました。


次の日、もう学校は冬休みに入っていたので、僕は渚くんの部屋で渚くんにメイクのモデルになってもらっていました。
渚くんは、めちゃくちゃ可愛いし背も低いので女の子みたいなのに、お化粧とか女装とかは嫌いなんだって。だけど僕の為に付き合ってくれました。

宇宙 「渚くん、めちゃくちゃ可愛いのにどうして女装とか嫌いなの?」
渚  「えぇ?だって僕、男だもん。女の子になりたいわけじゃない。宇宙くんは?」
宇宙 「あ、そう言えば僕もそうかも。お化粧してあげるのはすきだけど、自分でしたいとは思わないかな。」
渚  「でしょ?宇宙くん化粧しなくても可愛いし。」
宇宙 「えぇ?渚くんの方が可愛いよ。」
渚  「ほめすぎぃ~。でも、メイクのモデルしたの、コウには内緒だよ。」
宇宙 「なんで?喜びそうじゃない?」
渚  「それも面倒だし、いろいろバレると、煩いから。」
宇宙 「愛されてるね。」
渚  「・・・和樹さんこそ、そういうの結構好きなんじゃないの?」
宇宙 「よく、わからない。そういう話ししないし・・・僕、和樹さんのこと良く知らないんだ。」
渚  「どうかしたの?何かあった?」

渚くんは鋭いから、僕の声のトーンで気づいたみたいで心配してくれました。
僕は、渚くんに悩みを打ち明けました。

渚  「えぇ!?びっくり。和樹さんのことだから毎晩、宇宙くんを変態攻めしてるんだと思ってた。」
宇宙 「へんたっ・・・」
渚  「あっ、ごめん。・・・でも、それって宇宙くんのこと本当に大事にしてるってことなんじゃない?」
宇宙 「・・・うん。大事にしてくれてるとは思う。やさしいし。」
渚  「和樹さんって、セックスの経験は豊富だけど、実は恋愛の経験ってあんまりない気がするんだよね。」
宇宙 「え?」
渚  「マジな恋愛って、ちゃんとしたことないんじゃない?」
宇宙 「・・・そうなのかな?」
渚  「宇宙くんから誘ってみれば?」
宇宙 「えぇ?・・・恥ずかしいよ。」
渚  「宇宙くんって、あんまり自分から行けないタイプなんだ?」
宇宙 「うん・・・。どうしていいか良くわからなくて・・・。」
渚  「あっ!じゃ、これあげる。ちょっと待ってて。」

渚くんは、そういうと収納箱を開けて何かを持ってきました。

渚  「宇宙くん似合いそう。」
宇宙 「えぇ?」

それは、白い猫耳でした。

渚  「それつけて普通に、おかえりなさい。とか言ってみれば。」
宇宙 「不自然でしょう?」
渚  「大丈夫だよ。和樹さんってそういうの好きそうだもの。」
宇宙 「・・・変態だから?」
渚  「えっ!?ち、違うよ~変態は撮影上でしょ。宇宙くんだって、コスプレとかまでするのはちょっと難しいとしても、猫耳くらいならできるでしょ?そしたら、和樹さんだって宇宙くんの気持ちに気づくよ。」
宇宙 「そう・・・かなぁ?」

僕は、半信半疑だったけど渚くんのアドバイスを試してみようと思いました。

その夜
ガチャガチャ
玄関の鍵が開いて、扉がひらいて閉じる。
僕は、急いで猫耳をつけて、玄関まで迎えに出ました。

宇宙 「おかえりなさーい。」
和樹 「・・・・・」

でも・・・和樹さんは、すぐに僕の耳に気づいて固まってしまいました。

宇宙 「あの・・・・?」
和樹 「・・・どう・・したんだ?」
宇宙 「あっ、な、渚くんに借りて・・・」
和樹 「あいつ。どうせ、宇宙くんに似合うからあげるね~とか言われたんだろ?」
宇宙 「う、うん。・・・変?」
和樹 「へ、変ってことはない・・・確かに似合ってる・・・な。」

和樹さんは少し照れているみたいだったけど、そのまま上着を脱いでバスルームに消えてしまいました。
僕はキッチンに戻って夕飯を温めながら、落ち込んでしまいました。

和樹さん、独占欲強いって言ってたくせに、ちっとも僕を独占してくれない。
僕だって和樹さんを独り占めしたいよ・・・。
気づくと、手にしていたお皿の上に涙がぽたぽたと落ちていました。


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