もう、今年も残りあと2日。
楽園もお休みに入っていて、里帰りした人も多いので寮も静かです。
和樹さんは、DVD制作の企画やコーディネータ、営業もしていて、今日もどうしても行かなければならない所があるそうで、出かけてしまいました。
ぼくは退屈なので楽園の事務所で、マリンさんに「暇な時にやっておいてね」と言われていた資料の整理をしていました。
そこには、いろいろなマニュアルなどもあって、初めてエッチするときのウケの子の準備の仕方とか、タチの人の注意点とかも載っていました。
女装の時のメイクマニュアルもあって、これってマリンさんが作ったのかな?すごく丁寧に説明してあって、僕は夢中で読んでしまいました。
しばらくすると、事務所の扉がひらいて、誰かが事務所に入ってきました。
結実香「ねぇ~和くん、なんでアクターやめちゃったのぉ~?」
和樹 「そろそろ歳だからだよ。」
和樹さんと、最近アクターになった男の娘の結実香さんだ。綺麗だな~。
※
<メイドの結実香ちゃんはご主人様に攻められたいの>参照
気づいたら僕は、咄嗟に隠れてしまいました。
僕がいる資料室は事務所の奥にあって、和樹さん達の場所からは死角になっているので、そこで息をひそめていました。
結実香「えぇ~全然若いじゃん。エッチだってめちゃくちゃ上手なのにぃ~」
え!?
僕は思わず事務所を覗き込んでふたりの様子をみました。
結実香さんは、椅子に座ってパソコンに打ち込みをしている和樹さんの後ろから抱きついています。
和樹 「関係ないだろっ。・・ってか、ベタベタすんなっ。」
結実香「ひどぉ~い。クリスマスの夜は、あんなにラブラブだったのに~」
和樹 「らぶらぶって・・・だから誤解されるような言い方するな。」
結実香「本当の事じゃなぁい。別に彼女いないならいいじゃない。」
和樹 「まったく・・・あっ、そうだお前、胸はでかくするなよ。」
結実香「急に何の話よ?」
和樹 「静香が来たら被るだろ?それにホルモン剤打つと太る。お前の場合その体型維持は絶対だからな。」
結実香「うわぁ~厳しい。」
和樹 「何でもバランスなんだよ。コスプレをウリにするんだろ?」
結実香「そうよ~次はナースがいいな。あと、ゴスロリとかもやってみたい。」
和樹 「なら、体型維持しろ。」
結実香「和くん、コスプレすきでしょう?」
和樹 「なっ・・・まぁ、嫌いじゃないけどな。」
結実香「何が好き?」
和樹 「別に、好きな子がやってくれたら・・・」
結実香「メイドはどうだったぁ?」
和樹 「俺、別に女装とかが好きなわけじゃないから。」
結実香「そうなのぉ?じゃ、何がいいの?」
和樹 「そだなぁ・・・裸エプロンとか?」
結実香「きゃ~!やっぱりエロ親父だわぁ!きゃはははっ」
ふたりはしばらく話をしていましたが、僕が放心状態になっている間に、いつの間にかいなくなっていました。
聞きたくなかった。聞かなければよかった。隠れなければよかった。
クリスマス・・・結実香さんと一緒だったんだ。
ラブラブだったって・・・エッチもしたって・・・。
もう、頭のなかがぐるぐるしていて、何が何だかよくわからなくなっていました。
そのまま、部屋に戻る気分にはなれなくて、外に出ました。
公園のブランコに乗って、ぼーっとしていたら、コンビニ帰りらしいコウくんと渚くんに声をかけられました。
コウ 「宇宙くん?どないしたん?」
宇宙 「あっ・・・。」
渚 「何かあったの?」
宇宙 「・・・」
僕はふたりの顔をみたら、また涙が溢れてきて止められなくなってしまいました。
渚くんが僕の座っているブランコの前に立って、抱きしめてくれました。
しばらく泣いたら、少し落ち着いてきました。
コウ 「渚ん胸貸してやるんは今日だけやからな。」
渚 「んっもう。いいじゃない。宇宙くんなんだから。」
宇宙 「あっ、ごめんね。」
コウ 「冗談や。大丈夫か?」
宇宙 「うん・・・少し落ち着いた。」
そして、ふたりは僕の話を真剣に聞いてくれました。
コウ 「ほんまに、あのおっさんは何を考えてるんやろな?」
渚 「仕事絡みだとおもうよ。前に、結実香さんのことタイプじゃないって言ってたし。」
宇宙 「うん・・・。」
コウ 「そやけど、クリスマスにラブラブってぇのは、聞き捨てならんで。」
渚 「コウ、煽ってどうすんの?」
コウ 「あ、そうやな。・・・おっさん、そんなにモテへんと思うで。」
渚 「コウ?」
宇宙 「・・・ありがとう。」
コウ 「ほんなら、裸エプロンしてみたらええやん。」
宇宙 「え?」
渚 「そうだね。それでだめなら、はっきり言うしかないよ。」
コウ 「大丈夫やって。絶対押し倒してくるわ。」
宇宙 「・・・」
コウ 「渚が裸エプロンしとったら、俺は間違いなく押し倒すな。」
渚 「コウ?しないよ、僕は。エプロンするのはコウのほうだしね。」
コウ 「あっ!そうやった。料理係は俺やった。なんや、つまらんなぁ。」
宇宙 「ふふふっ。ありがとう。」
僕を励ましてくれる、ふたりに心からお礼を言って、一緒に寮に戻ることにしました。
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