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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
【18禁表現を含みます】


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<宗一郎の部屋・夜>
高校生最後の夏休みに入って1週間が過ぎました。
3歳の時の記憶を思い出してから、色々考えすぎて落ち込むことも多かったけど、
夏休みの前日に、終業式後いつものメンバーで夏休みの旅行の計画を立てました。
仲良しの美和ちゃんとその美和ちゃんと一緒の中学出身で同じ陸上部の隆哉くん。そして男の子なのにすっごく綺麗な涼くん。涼くんは本当なら学年は1年上だそうです。
私はこの4人で過ごす時間が大好きです。
とっても楽しくて美和ちゃんとはガールズトークも盛り上がります。
学校でこのメンバーといる時は、自分の中で起きている色々なことも忘れられます。
私は身体のこともあって、修学旅行でさえみんなとは別のホテルに泊っていました。
そんなわけでお友達と旅行なんてしたこともありません。
でも、このメンバーとなら、大丈夫な気がして少し冒険をしてみようと思ったのです。
美和ちゃんが「海がいい」と言った時は、流石に水着は無理と思ったけど、涼くんの別荘が山にあるということで、そこに泊ることになりました。
温泉とかだったら大浴場を断るのとか大変かなと思ったけど、別荘なら一人ずつお風呂にも入れるし、よかった。

いよいよ明日は出発です。
旅行前夜、私はどうしてもしておかなければならないことがありました。
夜も更けたころ、望ちゃんの射精をしてもらうため、お兄様の部屋を訪ねました。
だいぶ慣れたとは言え、やはり毎回緊張します。
お兄様はいつもそれをする時には儀式のように「おやすみ MY DOLL」と言って私のこめかみにキスをします。
そして、私を「望」と呼ぶのです。たとえ私の意識がある時にも。
お兄様は私の唇にはキスをしません。望ちゃんにはするのに。
お兄様は私に「愛してる」とは言いません。望ちゃんには言うのに。
望ちゃんとはお風呂に入るけど、私とは入りません。恥ずかしいからと言います。
私はお兄様のそこには触れたことがありません。
望ちゃんとは一緒に射精もするのに・・・。
私の大好きなお兄様は、望ちゃんが好きなのです。
それは、わかっていたけれど、そのことを思うと、
どうしても胸が苦しくなってしまうのです。
きっとこれからはもう、今までのままではいられないでしょう。
私はそう感じていました。
望ちゃんや珠絵さんやアンさんと話し合って、これからのことを決めなければならないのです。
だから・・・その前に少しだけ、冒険をしてみたかったのです。
いつも守ってくれているお兄様から離れて、自分ひとりで何ができるのか、知りたかったのです。
そんなことを考えながらも、息が上がってきました。

佳苗 「んんっ・・・ふぁあ・・・」

私は声が漏れてしまうのが恥ずかしくて、両手で顔を覆います。
お兄様は私の耳たぶを舐めたり、軽く噛んだりしながら囁き続けます。

宗一郎「望・・・望、ここが気持ちいいのか?」

そう言って、左手で袋を揉みながら右手で竿を激しく上下させます。
くちゅくちゅ・・・くちゅくちゅ・・・
私の腰は勝手に動き始めます。
まるでもっとしてほしいとお兄様におねだりをしているように。
その動きが激しさを増し、全身の血液がざわざわと騒ぎ出すと、
私の意識はふっと途切れて、身体が動かなくなります。
あぁ、望ちゃんが来た・・・

そして私はお部屋でひとり、お人形のように動かなくなった身体のまま、
お兄様と望ちゃんの様子をただ見つめているのです。



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<病院・夕方>
私は今年の初めに腕に怪我をしました。
その時の記憶はまったくありませんが、お母様に付けられた傷だと、後から望ちゃんに聞きました。望ちゃんとの交換日記は今も続いています。
私の中には望ちゃんの他にも珠絵さんとアンさんという人がいるそうです。
私は会ったことも話したこともないのでよくわからないのですが、夏休みになったらみんなで話をしましょうと言われています。珠絵さんがいればそれもできるそうです。
でも、いったい何を話すのでしょうか?
前にお兄様には望ちゃんと話をするように言われて、こうして交換日記をしていますが、他の人達とも話をする必要があるのでしょうか?

数日続いた雨もあがり、梅雨開け宣言のされたとてもよく晴れた日。
神田病院で田崎先生に退行催眠という治療を受けました。
今までも定期的に、忘れていた色々な記憶を取り戻したり、嫌なことも思い出したりする治療を受けてきましたが、今日は3歳の時の忘れ去られた記憶を取り戻すための治療を受けました。
その治療を受けると、まるで今自分が3歳であるかのような感覚になりました。
私が3歳だったその日。
眠りから覚めると隣には佳苗ちゃんが眠っていました。
お母様やお父様やお兄様、みんなが佳苗ちゃんを見ていました。
私は何が起きたのかわからなくて、お母様に近づき声をかけたのです。
でも、お母様は私を突き飛ばし、佳苗ちゃんを抱いて泣きました。
佳苗ちゃんは眠っていたのではなく、死んでいたのです。
そして・・・私は、佳苗ではなく望ちゃんなのです。
そう、この記憶は私のものではなく望ちゃんの記憶です。
私がこの時のことを思い出しているせいで、望ちゃんがお部屋で泣いています。
望ちゃんの泣いている声が聞こえる・・・。
閉じた瞳から涙が溢れだします。心が痛くて身体が震えます。
3歳の佳苗ちゃんは死んだのです。では、私は誰?佳苗ではないの?

治療が終わって目が覚めても涙が止まりませんでした。

宗一郎「大丈夫か?」

お兄様が優しく私の肩を抱き、頭をぽんぽんと軽くたたきながら顔を覗き込んできます。

佳苗 「・・・私は・・・誰?」
宗一郎「・・・・お前は・・・」
佳苗 「私は?」

お兄様の目をまっすぐ見つめました。
するとお兄様は私の両肩を掴んで言いました。

宗一郎「その答えは、自分で見つけるんだ。」
佳苗 「!?」
宗一郎「その答えは、ここにある。」

そう言って、私の胸を人差し指で押さえました。

佳苗 「私の、心のなかということですか?」

お兄様は優しく微笑んでゆっくりと、うなずきました。



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ドアが開くと、そこに立っていたのは見知らぬ女だった。
いや、佳苗に良く似た知らない女だ。
その女は俺を見ると、「しまった」という顔をした。

宗一郎「誰だ?」
女  「流石、お兄様ね。私が佳苗じゃないことすぐにわかるのね。」
宗一郎「当たり前だ。」
女  「まぁ、いいわ。そろそろあなたと話をしなければと思っていたところだから。」
宗一郎「・・・?」
女  「私は、珠絵。あっ、私は最初からこの身体のなかにいたのよ。というか、全員そうだけどね。」
宗一郎「どういうことだ?」
珠絵 「その、言葉の通りよ。まったくあなた達が余計なことをしてくれたお陰で私の計画が狂ってしまったわ。あなた達が望だと思っている子は、アン。私が封印したのに、わざわざ起こしてくれちゃって知恵までつけさせて、迷惑だわ。」
宗一郎「いや、でもショウが望だと言っていたぞ。コントロールしていたのも自分だと。」
珠絵 「だから!それは私がそう思わせていたの。じゃないと生きていられないから・・・。」
宗一郎「どういうことだ? 」
珠絵「仕方ないわね。あなたには協力もしてもらいたいし、全て説明するわ。」

そう言って、望の身体の中で起きていた今までのことを説明してくれた。

そもそも望の中には生まれた時から、望と佳苗と珠絵とそしてアンがいたという。
生まれた時から人格というものがあるのかどうか俺には謎だが。
更に、3歳で亡くなった佳苗にもいくつかの人格があったのではないかという。
望のオリジナルは望で。その望というのはショウのことだ。
佳苗が亡くなった時の美鈴の言葉にショックを受けたショウは、いや望は危うくアンに身体を乗っ取られるところだったのだという。
そこで珠絵は、アンを眠らせ封印し、佳苗を外にだした。
望には自分はショウという人格でこれから佳苗の窮地にはそれを助け、眠っている望も含めて自分でコントロールしていくようにと指令を出したそうだ。
佳苗の苦しみや痛みは自分のものとして乗り越える力をつけさせるための試練だったと。

珠絵 「望はうまくやっていたわ。佳苗を助け成長し、あのじじいとバッタリ会った時もかなり取り乱したけど、あなたのお陰で平静を保てた。だけど、アンに要らぬ知識を与えたせいで、また危ない目にあってしまった。」
宗一郎「危ない目?」
珠絵 「今年の初めの手首を切られた事件よ。」
宗一郎「切られた?・・・やっぱり、あれは自分で切ったわけじゃないんだな?」
珠絵 「そうよ・・・自分で切っても良かったのかもしれないけどね、アンは。」
宗一郎「・・・?」

美鈴の言葉に傷つき、気を失った佳苗に替って望が外に出ようとしたところを邪魔され、争った挙句、アンが身体を支配した。
そして、美鈴に自分は佳苗ではなく望だと言ったそうだ。
それを聞いた美鈴は突然表情を変え「それならいらない」と言って、近くにあった花バサミで佳苗の手首を切りつけたという。
アンは自ら手首を出したそうだが、花バサミだったお陰で、傷はあまり深くならなかったそうだ。刺されなくてよかった。
俺はもう、頭が混乱して何が何だかわからなくなっていた。

珠絵 「アンは闇なの。心の闇。邪魔なだけだから封印したのに!」
宗一郎「ちょっと待て。人間誰しも心に闇くらいある。嫉妬や妬みやネガティブな考えや・・・だけど、それにうまく折り合いをつけて成長していくんじゃないのか?」
珠絵 「はぁ?そんなものないほうがいいに決まっているじゃない。不要なものは切り捨てるのよ。」
宗一郎「ばかかっ?切り捨てられるわけないだろう。自分の心だぞ。」
珠絵 「別々よ。アンは要らない子。少し時間がかかりすぎたけど望がもうちょっと強くなれば、佳苗もいらない。」

パチンッ!
俺は、思わず珠絵の頬を平手打ちしていた。
怒りで顔を赤くした珠絵は俺を睨みつける。

宗一郎「じゃぁ!佳苗は何の為に今まで一生懸命生きてきたんだ?望だってそうだ。佳苗が辛い時にしか外に出られない。痛みや苦しみを担当して成長するための試練とか言うけど、一人の人間には辛いことも幸せなことも両方あるんだ。だから生きていける。違うか!?」
珠絵 「・・・」
宗一郎「俺は、望に対しても佳苗に対しても怒ったことはなかった。まして手を上げることなど。ふたりとも良い子だ。・・・そうだ、良い子すぎるんだ。」
珠絵 「・・・何、・・・言ってるの?」
宗一郎「望にも佳苗にもその闇がなさすぎるんだ。お前が封印したからな。本当はその闇も受け入れたうえで、お前のような正義感をぶつけて闘わせて自分なりに答えを出していくべきなんだ。望自身が。」
珠絵 「・・・」
宗一郎「アンが、母さんに自分は望だと言ったのだろう?それは、望の本心なんじゃないのか?自分は望だって、母親に言いたかったんじゃないのか?佳苗が死んだ時も、そのアンに乗っ取られたとしても、たかが3歳だ。大声で泣いたり、暴れたりするくらいだろ?本当はその方が良かったんじゃないのか?」

俺は、望の気持ちを考えると、涙があふれてきた。
望なのに佳苗として生きなければならなかった、その望の心がどんなに痛かっただろうか。

宗一郎「珠絵。俺を叩け。さっきのお返しにひっぱたいてくれ。」
珠絵 「はっ?」
宗一郎「俺も、お前と同じだから。」

そうだ。俺も逃げた。
望を守ると言いながら、守るどころか閉じ込めて佳苗になれと言ったのだ。
本当はあの時、母さんに怒るべきだったんだ。傷ついた望のかわりに。

パチンっ!

目が覚めるような、珠絵の特大平手打ちが飛んできた。
確かに俺よりだいぶ身体は小さいが、そんなジャンプして叩かなくても・・・。

宗一郎「・・・いって・・・ぷっ・・・・ふははははははっ」

俺はなんだか嬉しくて大声で笑い出した。
望や佳苗なら、こんな風に俺をひっぱたくこともいないだろう。
すると、珠絵もつられて笑い出した。

宗一郎「お前も、今まではそんな感情をあらわにする性格じゃなかったんだろ?確かにアンを目覚めさせたお陰で、みんなに影響がでているのかもしれないな。」
珠絵 「そうね。佳苗も望にやきもちを焼いたりしている。望も・・・そう。望はきっと自分は望だって言いたいのかもしれない・・・」
宗一郎「いい子でいることだけが全てじゃない。望も佳苗も珠絵もそしてアンもみんなで協力し合ってこれからどうするか話し合ってみてはどうだ?」
珠絵 「そうね・・・望と佳苗がどうしたいかだわ。私やアンはそもそも表に出ることはほとんどなかったのだから。」
宗一郎「みんなで考えろ。自分の心と向き合うってことは、きっとそういうことだ。」
珠絵 「わかった・・・もう少し時間をちょうだい。」



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<望の部屋・昼>
俺は久しぶりに望の部屋に入った。
佳苗が亡くなってから使われていなかったが、望が覚醒してからは、ショウが望に勉強や生活知識を教える時に使ったりしている。
この部屋の窓からは桜の木がよく見える。もうすっかり葉桜になってしまったが。
佳苗は高校3年生になった。
仲の良いお友達と今年も同じクラスになれたと喜んでいたな。
すっかり明るい性格になった佳苗だったが、正月明けのあの事件のことは、やはり思い出せないという。
母さんから、花柳家は恵理子に継がせると聞いてショックで気を失ったと言っていたから、確かに佳苗が自殺未遂をしたわけではないのだろう。
ショウなのか?望なのか?それとも・・・。
実は、クリスマスのあの夜から俺はショウと話をしていない。
佳苗の自慰を手伝う時も、佳苗自身だいぶ慣れてきたようでほとんど抵抗もしなくなったし、射精をする瞬間にショウと入れ替わるのは相変わらずだが、ショウはそのまま眠ってしまう。
そして、望もまたクリスマス以来顔を出していない。

それと・・・。
佳苗の事件の後、神田先生が気になることを言っていた。
左手首の傷は、自分でつけたものではないかもしれないと。
だとすると、いったい誰が何のために?
佳苗は誰かに狙われているのだろうか?
しかし、あれ以来何か危ない目にあったということもない。

そしてあの後、母さんの妊娠が発覚したのだった。
体外受精だが、お腹の子は女の子のようだという。
女の子が生まれてくれと、ただ祈るしかない。
これで、女の子が生まれれば恵理子がこの家に入ることもないだろうし、
何より、迷宮に入り込んでしまったかのような今の状態から解放されるのではないかと思えるのだ。
俺も佳苗も望も、そしてショウも。

そんなことを考えながらベッドに横になっていると、カチャリとドアが開いた。



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<居間・夜>
目覚めると、まわりにお兄様やお父様、お母様そして神田先生に田崎先生がとても心配そうに私の顔を覗きこんでいました。

神田 「佳苗さん、大丈夫ですか?」
佳苗 「?・・・はい。」

私が起き上がろうとすると、横になったままでよいと先生に制されました。
左手首のズキンッという痛みに顔をゆがめ右手で押さえると、そこには真っ白な包帯が巻かれていました。
私は不思議に思い、お兄様の顔を見上げました。
お兄様は何も言わず、うなずくと温かく大きな手で私のおでこを撫でました。
私は自分の身に何が起きたのか、一生懸命思いだそうとしました。
そして、少しずつ思いだしてきました。

お花のお教室が終わった後、片づけをしているとお母様が来て私に言ったのです。
「花柳家は恵理子さんに継いでもらおうと思っているの。」
ショックでめまいがしました。私は子供を産めないので花柳家を継ぐことはできない。
わかっていたことです。それでも、いざお母様にそう言われると胸が締め付けられるように苦しくなって、全身の血液が沸騰するようにざわざわと騒ぎだしたのです。
すると、頭の中で言い争う声が聞こえてきました。
何を言っているのかわかりませんでしたが、喧嘩をしているようなふたつの声。
そして身体の力が抜けて気を失ってしまいました。

そこまで思い出して、お母様の顔を見上げました。

美鈴 「ごめんなさいね、佳苗さん。そんなに思いつめるほど辛い思いをさせてしまって。」
佳苗 「・・・?それは、仕方のないことですから。」
美鈴 「でも・・・」
神田 「佳苗さん、今は何も考えずにもう少し休みなさい。ゆっくり眠って。」

私は、うなずくと目を閉じました。



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