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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
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翔が宿泊しているというコテージAは、紫苑達のコテージとは敷地の反対側になるので少し離れていた。Lumie`re (リュミエール)のメンバーはホテルのラウンジでバイキングの朝食をとり、その帰りに紫苑と光は翔がいるコテージに立ち寄ることにした。
玄関でチャイムを鳴らすとすぐに扉が開いたが、そこに立っていたのは翔ではなく、大柄で真っ黒に日焼けしたワイルド系の男だった。
紫苑はその男を楽園のロビーで何度か見かけたことがあるので、アクターだなと検討をつけたが、その男は紫苑にはまったく気付いていない風だった。

男  「うおっ!イケメンだなぁ。」
紫苑 「あの、翔さんは?」
男  「誰?新しいアクター?」

その男は、訝しげに紫苑を見て、紫苑の後ろに立つ光に目を止めると表情が急に緩んだ。

男  「うわぁ、こっちは超美人!ぐちゃぐちゃに抱き潰してぇ。」

紫苑は、男を睨みつけると光を自分の背中に隠した。

翔  「こらぁー!和樹、その人達に指一本でも触れたら二度と太陽は拝めないぞ。」
和樹 「はぁ?新しいアクターなんじゃねーの??」
翔  「その彼は、じ・ん・ぐ・う・じ・紫苑くん。その後ろにいるのは、紫苑くんの大切な人。」
和樹 「げっ!?・・・神宮寺・・・?」

翔に和樹と呼ばれたその男は、肩をすぼめ急に白けた顔をすると、紫苑達をリビングに通した。翔の腕の中には、まだ眠そうにしている柚子がいた。

光  「柚子~」

光が翔のところに駆け寄ると、翔は柚子を光に渡した。光は柚子に頬ずりをしている。

翔  「柚子も光くんに会いたがってたよ。」
光  「お世話になって、ありがとうございます。出張ってここやったんですね?」
翔  「いや、本当は北海道だったんだけどね、社長からのお使いで急遽変更して、夕べ到着したんだ。」
光  「そうやったんですか。柚子に会えてうれしい~」
翔 「あ、紫苑くん驚かせてごめんね。こいつうちのアクターの内藤和樹。悪い奴じゃないから。」
紫苑 「はぁ。楽園で、何度か見かけてます。」
和樹 「しっかし、社長の息子?さすがだな。エライ男前で無愛想だ。」
翔  「そう。社長の息子さんだから、敵に回したら怖いよ。」
和樹 「だろうね。クワバラクワバラ」

翔が4人分のコーヒーを用意して、リビングのテーブルについた。

翔  「ところで本題だけど、光くんはうちの会社のことは知ってるの?」
紫苑 「いえ。話してません。」
翔  「そうか・・・。実はさ、西園雅紀ってうちでアクターしてるんだ。」
紫苑 「えっ!?」
光  「・・・?翔さん、雅紀のこと知ってるんですか?」
翔  「うん。・・・話して大丈夫かな?」
光  「雅紀んこと、教えてください。」
紫苑 「・・・お願いします。」

翔はコーヒーを一口飲むと話始めた。

翔  「光くんにはちょっと刺激が強い話かもしれないんだけどね。」

翔はそう前置きをすると、光と紫苑が住んでいるビルの下にある会社が、ゲイ専門のAV制作会社であること。紫苑の父親が趣味で経営している「楽園」という会社で、翔もそこでアクターとして働いていること。アクターとは、AVに出演しているプロのポルノ俳優であることを説明した。そして、西園雅紀は今、JUNという名前でその楽園のアクターとして働いていることを話した。

光は少し驚いていたが、膝の上に乗せた柚子を撫でながら静かに翔の話を聞いていた。

紫苑 「光さん?大丈夫?」
光  「・・・ショックやけど、・・・大丈夫や。」
翔  「まぁ、こういう仕事してる人って色々理由があったりするんだけどね。俺みたいに金が必要だとか、そこのおっさんみたいに、セックスがすきだとか。」
和樹 「おいっ!おっさんはねーだろ。1個しか違わねーのに。」
紫苑 「えっ!?」
和樹 「え?って何よ。えっ?って。」
翔  「ええっ!?だよね~。紫苑くんまだ高校生だし。」
和樹 「ええっ!?そっちの方がビックリだろ?老けてるなぁ~」
翔  「ばか。紫苑くんみたいなのは老けてるって言わないの。大人っぽいってことでしょ?」
紫苑 「あの・・・。」
翔  「あぁ、ごめんね。話逸れちゃって。まぁ、アクターやる理由は色々あるんだけど、雅紀の場合は、まるで自分を痛目つけるためにやってるみたいに見えるんだよね。」
和樹 「昨日の撮影も酷かったぞ。俺がいなかったらエスカレートしてヤバかったな。」
翔  「うん。だから和樹にこの撮影参加してもらったんだけどね。」
紫苑 「酷いって・・・?」

雅紀はSMやレイプなどを中心に撮影するチームに所属しているという。「楽園」では、あまりハードなものはやらないし、打ち合わせをして危険がないように撮影をする。しかし、雅紀は、ハードに攻められることを求めるのだという。

翔  「攻められることに快感を得る人もいるからね、一概にそれが悪いとは言えないんだけど、雅紀の場合はどうも違うと思うんだ。」
和樹 「ボロボロになるまで攻められて正気を失って・・・見ちゃいられねーよ。」
翔  「うん。俺も何本かAV見てるんだけど、ちょっと危ないなぁと思って社長に相談したら・・・岸谷が絡んでるって言うから・・・」

翔から岸谷の名前が出た瞬間、光はビクっと反応して身体を固くした。
紫苑は、柚子を撫でていた光の手を握る。光は紫苑の顔を見上げると、「大丈夫や」と言うようにコクンと頷いた。

光  「あの、雅紀に会わせてもらえんやろか?」
翔  「・・・そうだね。彼がそれを望むかどうかわからないけど、光くんと話すことで何かが変わってくれるといいなって思ってる。」
光  「俺に何か出来るかわかりませんけど、雅紀と話がしたい。」
翔  「うん。雅紀は他のアクター達と一緒にさせておくと、カメラ回ってなくてもヤバイことしちゃうっていうか、されちゃう危険があるから、和樹とホテルに泊ってるんだ。」
和樹 「・・・今日は無理だぞ。ボロボロでベッドから起きられそうもない。」
光  「・・・」
翔  「雅紀の身体が良くなったら、セッティングするから。それでいいかな?」
光  「はい。・・・よろしくお願いします。」

それから光と紫苑は、暫く柚子と遊んで自分達のコテージへもどることにした。



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【楽園】を読まれている方へ
既に、お気づきだと思いますが、【楽園】と【まだ見ぬ景色】は同じ世界です。
ただし、時間軸が少しずれてます。【楽園】はリアルタイムですが、【まだ見ぬ景色】は、その少し前のお話です。【まだ見ぬ景色Act.7】は、昨年の夏のお話になります。



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