光 「OK!ジョニー・B・グーーーード!」
MCの愛華が集客をして、Lumie`re (リュミエール)を紹介してくれた。流石に慣れたもので客目線で呼びかけ、ステージ前の席は3分の2ほどが埋まった。それでも、食事をしながら注目する人や、遠巻きに何が始まるのか見ている人達もいる。
まずは、ノリの良い誰もが知っている曲から演奏を始めた。
光 「Come on! ♪GO!GO!GO!Johnny,GO!GO! GO!Johnny,GO!GO! GO!Johnny,GO!GO! GO!Johnny,GO!GO! Jhonny B Goode♪」
光は白い八重歯を見せ人懐っこい笑顔で歌い、客をのせていく。
「Johnny B Goode」に続いて間髪入れずに「Hound Dog」だ。
光 「♪You ain’t nothin’ but a Hound Dog Cryin’ all the time ♪」
ノリの良い曲を2曲続けて演奏すると、遠巻きに見ていた人達もステージ近くに寄ってきた。愛華は小さな子供の手を取って踊っている。
光の声は普段高めだが、びっくするほどの低音で歌うことがある。音域が広いのだ。プレスリーの曲などは、甘く低く歌うことで更に艶がでる。
Lumie`re (リュミエール)は、たった2曲を演奏しただけで、あっという間に注目をあつめた。お酒が入っているせいか、ノリの良い客も多く口笛を吹いたり、大げさに拍手をしたり踊りだす人もいた。
その後、光のMCを挟んで、客と会話をしながら数曲演奏する頃には、ステージ前はかなりの人だかりになっていた。客のリクエストでメンバー紹介をすると更に盛り上がった。
光 「僕達、Lumie`re (リュミエール)というバンドで、都内のライブハウスで活動しています。ここでオリジナルの曲を少し演奏させていただいてもいいですか?」
客1 「おおっ!やれやれ~」
温かい拍手に迎えられ、いつもライブで盛り上がる曲と新曲も交えて演奏すると、みんな初めて聴くはずなのに、リズムに合わせて身体を揺らし楽しんでくれた。
40分ほどのライブが終了し、メンバーが楽器の片づけを初めても、客たちはステージ前に集まって、何やかんやと話しかけてくる。
客2 「兄ちゃんたちのCDはないんか?」
湊 「いつもライブハウスで手売りしているものなら、少し用意しています。」
客2 「じゃぁ、売ってくれ。」
湊 「ありがとうございます。」
すると、CDを欲しいという客が列を作った。晴樹と彰仁が慌ててコテージにCDを取りに行き、持って来た全てが売り切れた。
客3 「ライブは東京でしかしないの?私達、山梨県から来てるの。田舎だけど良いところよ。是非来てほしいわ。」
客4 「そうや。自分ら大阪やろ?関西方面でもライブしいや。」
湊 「ありがとうございます。いずれ全国ツアーが出来ればと思っています。その時は是非、来て下さい。」
バーベキューガーデンも閉店時間になり、やっと客がハケると、様子を見に来ていた支配人が紫苑に話しかけた。
支配人「紫苑様、すごい人気でしたね。本当に助かります。明日もよろしくお願いします。」
紫苑 「いえ、僕らもライブがしたかったので楽しませてもらっています。」
支配人「社長からの伝言なのですが、樫木様が今夜こちらに到着するとのことで、例の話は樫木様から聞いて欲しいとのことです。」
紫苑 「え?例の話・・・そうですか。わかりました。ありがとうございます。」
メールでもしてくれば良いのに、なんでわざわざ支配人に伝言するかな。
紫苑は、相変わらず何を考えているのかわからない父親にムッとしながらも、何故翔から話を聞くのだろうかと首を傾げた。
Lumie`re (リュミエール)のメンバーはコテージに戻ると、ライブの興奮冷め止まず打ち上げをすることになった。
全員 「かんぱーい!」
晴樹 「めっちゃ、楽しかったな。」
湊 「お客さんのノリも良かったしな。CDも買うてくれて。明日またCD作らんといかんな。」
光 「なぁ、マジで全国ツアーせぇへん?」
晴樹 「全国ツアーかぁ。ええかもしらんな。」
湊 「大阪は地元やから別としても、他行ったらめっちゃアウェーやけどな。」
光 「確かに、きっついやろな。そやけど、スイートポテトのマンスリーの他に、ちっちゃいライブハウスでええから、いろんなところで地道にファン増やしていきたい、思うねん。」
彰仁 「全国ツアーとか、ドキドキしちゃうね。今日のライブもすっごい興奮したよ。」
晴樹 「アキ、最初こそ気合い入り過ぎて走ってたけど、後はめっちゃ良かったで。」
彰仁 「ほんと!?やった。」
湊 「紫苑くんはどうや?週末になると思うけど、高校生やとツアーきついか?」
紫苑 「いえ、週末なら大丈夫です。」
光 「紫苑は、学校の勉強はちょっと手抜くくらいで丁度ええらしいで。」
彰仁 「えぇ!?何それ?余裕なんだぁ?」
湊 「その分、普段勉強してるんやろ?アキも勉強せなあかんで?」
彰仁 「はーい。留年はしたくない・・・。」
晴樹 「俺も、人の事は言えんな。バイトし過ぎて単位がやばいわ。」
光 「がんばらんと、アキと同じ学年になるで?」
晴樹 「それだけは、嫌やな。」
彰仁 「ちょっとぉ~。」
部屋にみんなの笑い声が響き渡るタイミングで、紫苑の携帯がメールを着信した。
『社長から聞いてるかな?今到着しました。コテージAに泊るので、明日の午前中にでも来てください。柚子も連れてきたので、よかったら光くんもご一緒にどうぞ。』
翔からのメールだった。
紫苑は、光の精神的負担を考えると、一人で話を聞くつもりでいたが、柚子が来ているとなると、光に会わせてあげたいなと思ってしまう。
はぁ、心配だけど翔さんも一緒にって言ってるから、大丈夫かな。
紫苑 「光さん?明日、柚子に会いに行きますか?」
光の耳元で囁くと、光は大きな目をキラキラと輝かせた。
まったく・・・。この人のこの笑顔には、どうしたって負けるんだ。
紫苑は、小さくため息をついた。
光 「会いたい!そやけど何で?翔さん来とるん?」
紫苑 「はい。明日の午前中に会いに行きましょう。」
光 「柚子に会える~。」
紫苑 「まるで、恋人に会うみたいですね?」
紫苑はムッとするが、光はニコニコと上機嫌だった。
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※「Johnny B Goode」「Hound Dog」の歌詞を、一部引用させていただいています。
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