【別冊:まだ見ぬ景色】4 ~その頃、このふたりは・・・?~
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彰仁は湊に組敷かれ身動きも出来ずにいた。
あまりにも突然の想像もしていなかった湊の行動に戸惑い、自分に何が起きているのか理解できずにいた。
大パニック状態の彰仁の口腔内では湊の舌が我儘に動きまわる。
「逃げなきゃ・・・抵抗しなきゃ・・・こんな祥くん見たことない・・・」
でも、彰仁の心と身体は分離したかのように、ちぐはぐになっている。
全身がゾクゾクと震え、身体に力が入らない。
彰仁 「んはぁ・・・んっ・・・ふぁ・・・・はぁ・・・・・」
湊の情熱的な口づけに、彰仁は吐息を漏らす。
そして、湊の唇は彰仁の頬に耳に首にキスの雨を落としていく。
湊 「アキ・・・アキ・・・ふぅ・・・アキ・・・・」
熱い吐息に絡めて彰仁の名前を呼ぶ湊の声は、少し掠れていて甘い。
その間にも湊の手は、彰仁のTシャツをまくりあげ胸の突起をつまんではころがす。
「なんで?・・・なんで祥くんはこんなことするの?・・・俺、男なのに。祥くんも男なのに。・・・いつもみたいに俺の事からかってるの?抵抗しなきゃ・・・でも・・・」
彰仁の頭の中は、ぐるぐるとして混乱したままだが、身体は快感に支配されていく。
ついに湊の舌が彰仁の胸の突起を捉えると、彰仁が今までに経験したことのない衝撃的な快感が全身を貫いた。
彰仁 「んなっあっ!!」
彰仁の鼻に抜ける甘い叫び声に湊は、ハッとして我に返った。
跳びのくように身体を離すと、悲しそうに瞳を揺らして彰仁をみた。
湊 「・・・アキ。・・・ごめん。・・その、アキが可愛くてっ・・」
いつもは頭の切れる湊だが、どうにも言い訳の言葉さえ見つけられずにいると、彰仁は力いっぱい湊の身体を跳ねのけて立ちあがった。
彰仁は目にいっぱいの涙を溜め、身体を震わせている。
彰仁 「俺の事・・・からかったの?」
湊 「ちゃう!・・・ほんまにアキんことが好きなんや。ほんまに可愛い思っとんねん。」
彰仁 「・・・俺、男だし。・・・俺だって祥くんのこと好きだったけど、でもっ!・・・こんなことするの、変だよっ!男同士でキスとか・・・祥くん頭変になった?」
湊 「・・・そう・・やな。・・・ほんまごめんな。」
彰仁 「祥くんのバカっ!!」
彰仁は叫ぶと、部屋を飛び出した。
外に出ると雨は上がっていたがまだ遠くで雷鳴が響いている。
雨上がりのむわっとした湿度の高い空気が彰仁に纏わりついてきた。
「祥くんのバカっ!」
彰仁は湊にキスをされたことも、身体に触れられたことも嫌ではなかった。
ドキドキして身体が熱くなっていく自分が怖かったのだ。
男同士で愛し合う人達がいることは知っている。でも、自分は違う。
そんなの、やっぱり変だ。男の人を好きになるなんて。男の人とキスとかそれ以上とか。
「祥くん・・・悲しそうな顔してた・・・俺のこと好きだって・・・俺だって、祥くんのこと好きだ。・・・でもっ!」
甘く掠れた声で自分の名前を呼ぶ湊の声がリフレインして止まらない。
彰仁は首をブンブンと大きく振ると、ぬかるんだ地面を踏み締めて大股で歩いた。
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