【別冊:まだ見ぬ景色】2
~その頃、このふたりは・・・?~
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GWの真っただ中、ライブハウス・スイートポテトで、彰仁がLumie`re (リュミエール)の正式メンバーになった記念のライブをした日。
ベースのヘルプにバンドを解散したばかりの暁を迎えて、東京に出てきてからずっと封印されていた、Lumie`re (リュミエール)にとって意味のある曲。『Believe In Future』を演奏することになっていたが、直前のリハで光と暁が喧嘩をしてしまい、暁はさっさと帰ってしまった。
ところが、偶然そこに居合わせたライブハウスでアルバイトをしている紫苑が、なぜかその曲を知っていて見事な演奏をしてみせた。
紫苑のヘルプで無事にライブを終え、いつものように湊のマンションで打ち上げをすることになった。もちろん紫苑も誘って。
そして、いつものように光と彰仁はリビングで酔いつぶれ眠ってしまったのだ。
湊は光を紫苑にまかせ、彰仁を担いできて自分のベッドに寝かせた。
湊のベッドはキングサイズだ。寝像の悪い晴樹と光から大事な天使を守るため、湊はいつも彰仁を担いできて自分のベッドで寝かせていた。
湊は昨年の文化祭で出逢った彰仁を、天使のように素直で綺麗だと一目で気に入っていた。
しかし、彰仁はノンケで彼女持ちだった。
湊はゲイだけれど、そんな彰仁を無理やり自分に向かせようとは思っていなかった。
恋に対して少し臆病になっていたのかもしれない。
そんな湊だが、酔って眠ってしまった彰仁を腕に抱きしめて眠るひとときは、至福の時間だった。
彰仁も最初は驚いたようだったが、今ではそれにすっかり慣れたようで湊の腕の中ですやすやと幸せそうに眠っている。
彰仁は酔いつぶれてひとしきり眠ると、明け方目が覚めた。
いつものように、湊のベッドの上で、湊に抱きしめられていた。
「祥くん・・・まつ毛長い。こんなに綺麗で細いのに俺を担いで運んでくるって凄いよな。」
彰仁は、湊に悪いなという気持ちもあるけれど、実はその腕の中で目覚める時、いつも温かい気持ちになっていた。
「祥くんの匂いだ・・・」
彰仁は湊の胸に顔を埋めて目を閉じる。
すると、湊が目を覚ました。
湊 「ん・・・アキ?起きたんか?」
彰仁 「うん。」
湊 「二日酔いは大丈夫?」
彰仁 「良く眠れたから大丈夫。」
湊は彰仁の顔にかかる髪を指先で掻きあげてその顔を覗き込む。
湊 「正式メンバーになった記念のライブはどうやった?」
彰仁 「嬉しかった。・・・やっぱり、サポートとは気持ちが違う。」
湊 「そうか。よかったな。・・・そういえば昨日のライブ、彼女来とらんかったな?」
彰仁 「ん?・・・別れたんだ。」
湊 「まじか?・・・なんで?」
彰仁 「大学別々になって、・・・あっちで好きな人出来たらしい。」
湊 「なんやそれ、随分心変りが早いなぁ。・・・大丈夫か?」
彰仁 「うん・・・意外と平気。今は祥くんたちとバンドやってる方が楽しいし。」
湊 「そうか。僕は心変りせぇへんで。」
彰仁 「え?」
湊は彰仁の額にチュッとキスをすると、驚く彰仁を腕の中に閉じ込めた。
湊 「みんなまだ寝とるから、もう少し寝よ。」
彰仁は湊の腕の中で赤面していた。
心臓は早鐘のように鳴り、湊に聞こえはいないかと心配になった。
「ふたりでいる時の祥くんのスキンシップはいつものことじゃないか。・・・なんで俺、こんなドキドキしてるんだろ。」
湊は彰仁を抱きしめながら、心の奥に燃えている熱いものを感じていた。
彰仁はノンケで彼女がいる。ということを最大のブレーキにして、心の奥深くに押し込んでいた想いが、熱をもって溢れだそうとしていた。
「あかん。・・・天使に手を出したらあかん。・・・アキはノンケなんや。傷つけたらあかんねん。」
湊は自分の心に強く念じ、瞼を閉じた。
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