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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
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<遊園地・昼>
お兄様の車で到着すると、遊園地は家族連れやカップルで賑やかでした。
私たちもデートにみえるかな?なんて思ったらちょっと恥ずかしくて顔がほてります。
お兄様は大人だから、とてもスマートにエスコートしてくださって、乗り物に乗ったり
アイスクリームを食べたり、とても楽しい時間があっという間に過ぎていきました。
いつしか、あたりは暗くなり灯りがともり始めました。
すると、ライティングされた観覧車が目を引きました。

佳苗 「お兄様、あの観覧車に乗りたい」
宗一郎「あぁ、綺麗だね。じゃぁ最後にあれに乗って帰ろう」

二人は観覧車に乗りこみました。
小さな密室に、お兄様とふたりきりで私の心臓はドキドキと早鐘のように鳴り響きました。
お兄様に聞こえなければいいけれど。

宗一郎「佳苗、今日は楽しめたかな?」
佳苗 「はい。とっても楽しかったです。」
宗一郎「望ちゃんも一緒に楽しめたかな?」
佳苗 「えっ?」
宗一郎「望ちゃんは、いつもお部屋にいるんだろう?
佳苗ちゃんの目を通して同じものをみているんだよね?」
佳苗 「それは・・・わかりません」
宗一郎「そうか。望は・・・学校にも行っていない・・・友達もいないんだよな・・・。」
佳苗 「・・・」
宗一郎「だけど、生きてる・・・ちゃんと生きてる。」
佳苗 「お・・兄様・・・?」

お兄様は泣いているようでした。
しかし、すぐに外の景色をみながら言いました。

宗一郎「あぁ、夜景がきれいだ。もうこんなに高くまで上がってきたんだね。」
佳苗 「・・・はい。とても綺麗ですね。・・・望ちゃんに見せたいですか?」
宗一郎「えっ?」
佳苗 「お兄様は、私より望ちゃんと観覧車に乗りたかったですか?」

私は、なんだか悲しい気持ちになり、お兄様を困らせるようなことを言っていました。

佳苗 「お兄様は、夜・・・あれをするときも、いつも望ちゃんの名前ばかりを呼びます。
    お兄様は私より、望ちゃんの方が好きなのですか?」

私の頬に大粒の涙がこぼれます。
すると、お兄様は何も言わず私の横に腰掛けました。
重さのバランスが崩れ、ゴンドラがゆらりと動きましたが、私はじっとしていました。
そして、私の頬をつたう涙をお兄様は親指でそっとぬぐうと、大きな手のひらで私の
両頬を包み込みおでことおでこをくっつけました。

宗一郎「不安にさせて、ごめん。だけど、佳苗と望のどちらを好きとか、
どちらも好きとかそういうことではないんだ。」
佳苗 「・・・」
宗一郎「佳苗と望は、ふたりでひとりなのだから・・・」
佳苗 「ふたりで・・・ひとり?」
宗一郎「外を見てご覧。沢山の灯りがあるだろ?その灯りのもとに沢山の人達がいる。
そのたくさんの人達のどの人の心の中にも、色々な感情があるんだ。
一人のこころの中に色々な人がいるみたいなものさ。俺の心の中にも色んな俺がいる。」
佳苗 「お兄様の心の中にも・・・?」
宗一郎「そうさ。佳苗のこころの中の部屋に佳苗と望が別々にいるわけじゃないんだ。」
佳苗 「別々じゃない?」
宗一郎「そう。望も佳苗も一緒にいる。」
佳苗 「一緒に・・・いる?」
宗一郎「だから、ふたりでよく話をしてご覧。絶対できるはずだから。」
佳苗 「望ちゃんと話を・・・?」
宗一郎「ああ。どちらもひとつの心の中にいるんだから、向き合って話をするんだ。
これからどうしていきたいのか。」
佳苗 「これから・・・どうしていきたいのか?」
宗一郎「「このままでは、いられない。佳苗は今のままの佳苗ではいられないんだ。
だから、だから望ちゃんが出てくるようになったのだと思う。
今の佳苗には、これからの佳苗には・・・望が必要だから。」
佳苗 「望ちゃんが必要・・・」
宗一郎「いきなり、難しく考えるな。みんな自分の心と向き合って色々なことを考えるんだ。
佳苗の場合は、望と向き合って話をすることが、自分と向き合うということになるのだから。」
佳苗 「自分と向き合う・・・」

観覧車を降りると、お兄様は車に乗るまで手をつないでいてくださいました。
大きくて暖かい手。
私は、このお兄様の手が大好きです。

それから、車に乗っている時も家について部屋へ戻ってからも私は、
望ちゃんと話しをするには、どうしたら良いのか、ずっと考えていました。



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