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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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オレンジ色のスポットライトに照らされた銀髪の男は無表情に言う。

・・・「僕はただ、自由になりたいの。」

その横顔は、まるで光と出会った頃の紫苑の表情そのものだった。

光  「・・・紫苑、どないしたん?何があったんや?」

光は、窓の外を眺めながら、冷たい言葉を吐く銀髪の男に声をかける。

・・・「忙しいんだ、邪魔しないでくれ。あんたはライブでもどこにでも行ってっ・・・」
光  「あほかっ!今更何言ってんねん!この日の為に、俺らの為に・・・どんだけの人達が動いてくれてるんかわかってるやろ!俺らかてこの日の為に一生懸命練習してきたんやんかっ!」
・・・「・・・面倒臭いなぁ。僕には関係ない。」

次の瞬間光は走り出し、その男の胸ぐらをつかんでいた。乱暴に顔を引き寄せ、紫色の瞳をまっすぐに見つめる。

光  「紫苑!ちゃんと俺の目見て言いや!ほんまに、ライブやめたいんやったら、ちゃんと俺の目見て・・・!?」

光は、はっとして身体を離した。

光  「・・・お前、誰やっ!」

後ずさりする光を今度はその男がつかんで引き寄せた。光の細い肩を後ろから抱きしめて耳元で囁く。

・・・「大事なライブがあるんでしょう?早く行きなよ。紫苑がいなくてもデビューできるさ。金の為なら莉音が動くでしょ。」
光  「お前・・・零王・・か?」
・・・「だから、紫苑だよ。零王の人生は今日ですべてリセットされるんだ。」

光は男の腕を振りほどき正面に立った。大きく深呼吸をして零王をまっすぐに見つめる。

光  「顔は似てるかもしらんけど、全然ちゃうな。お前は紫苑になんかなれへん。
自分だけ辛い思うなや。紫苑は、悩んで苦しんでそれでも自分と向き合って一生懸命生きてきた。・・・自由になりたいんやったら、なればええ。紫苑になるんやなくて、零王でや。零王で自由にならな意味ないやろ。」
零王 「何も知らないくせに、勝手なことを言うな。」
光  「知らんわ。悩みなんて人それぞれちゃうねん。その重みも人それぞれちゃう。比べることなんてできんのや。同じ人間はおらんのやから。そやから、お前と紫苑が入れ替わるちゅうことも意味ない言うてんねん。」
零王 「もう、僕は僕でいることに耐えられない。もう、やめたいんだよ。」
光  「自分をやめたりなんかできん!自分は自分や。どんなに紫苑の真似してもお前は零王や。」
零王 「うるさい!黙れ!」

零王は光の胸ぐらをつかんだ。それでも光はまっすぐに零王の瞳を見つめる。

光  「思ってること、親父さんに言ってみればええやんか。」
零王 「あいつが僕の言うことなんか聞くわけないだろ。あいつにとって僕はただの人形なんだから。」

紫苑 「零王!・・・光さんから離れろ。」

息を切らした紫苑が入り口の扉に立って零王を睨みつけている。
零王は、ちらりと紫苑に目線を向けるとニヤリと笑って、光の胸ぐらをつかんだ逆の手で後頭部をつかみ、そのまま口づけた。

紫苑は慌ててふたりに駆け寄り引き離すが、バランスを崩し、光を抱きしめたまま背中から倒れた。

零王 「よくあのカプセルから脱出できたな。・・・莉音か?」
紫苑 「・・・」
零王 「でも、もうすぐお前を迎えに研究所のやつらが来るから戻ってくれないかな?」

莉音 「お生憎様。そいつらは今、紫苑とふたりで片付けてきたわ。」

莉音がブーツの踵を鳴らして部屋に入ってきた。その後ろには足下がふらついている手塚も一緒だ。

零王 「うそだろ!?何なんだよお前ら!僕の計画を無茶苦茶にしやがって!」

虎之助「零王!いい加減にせんか。今頃反抗期なのはかまわんが、やることが大きすぎる。そんなところばかり父親に似おって、まったく」

今度は、莉音が入ってきた扉とは反対側の扉が開き、虎之助が柚子を抱いて入ってきた。

莉音 「おじいちゃん!遅いよ。」
虎之助「あぁ、すまんすまん。孫たちの兄弟喧嘩に爺がでるのもどうかと思ってな。」
紫苑 「俺は冷凍されるところだったみたいだけど?」
虎之助「スイッチ入れる前には登場する予定だったぞ。うははははっ。」

放心状態の零王のところへ手塚がふらふらと歩み寄り、震える肩を抱きしめた。

莉音 「紫苑、光さん。急いで!もうライブ始まる時間よ。」
紫苑・光「!!」

紫苑と光は顔を見合わせて立ち上がった。莉音は光に向かってバイクのキーを投げる。

莉音 「紫苑はさっき足を痛めてる。光さん。免許は持ってるでしょ?急いで!」
虎之助「後のことは、任せておけ。」

光はうなずきキーを握りしめると、紫苑に肩を貸して部屋を出た。




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