光 「なあ、紫苑。」
紫苑 「はい?」
光 「その・・・なんや。」
紫苑 「何ですか?」
光 「何・・・っていうか・・・」
紫苑 「何って言うか?」
光 「・・・なんで、こんな広い部屋やのにな、このソファーでずぅっと、俺の背中にくっついてるんや?」
紫苑 「はい。嫌ですか?」
光 「嫌ってことやないけど・・・。」
紫苑 「けど?」
光 「・・・」
ライブが終わって、アドレナリンでまくり状態だった光は、当然のことながらいつものように湊宅で打ち上げをするものと思っていたのだが、メンバーそれぞれ予定があると言って解散になった。
拍子抜けしている光の耳元で紫苑に「俺はもう、ほんのひと時もあなたを離したくありません。」なんて囁かれ、ふたりで紫苑の父親が大阪に来た時に使用すると言う神宮寺グループのマンションの一室にやってきた。
シャワーを浴びて出てきてから、紫苑は髪も乾かさず、リビングのソファーに座っていた光の背中に回り込んで抱きしめ、かれこれ1時間が経つ。
離したくないって、こういうこと?なんや俺はてっきり、いつもみたいに激しくされるんやと思っとったのに・・・。ん?俺、何期待してたんや?ちゃうちゃう、ちゃうねん。そういうこととちゃうねん。・・・・って誰に言い訳しとんのや。もう、紫苑が何考えとるんか全然わからん。
紫苑 「けど・・・物足りないですか?」
光 「えっ?えっ・・・・と、何がや?」
紫苑 「こうやってくっついてるだけでは、物足りないですか?」
光 「そ、そんなことあらへん。ん~そうや、紫苑の顔が見えへんから、なんや寂しいなと・・・。」
紫苑 「そうですか。じゃぁ、こっち向いて。」
3人掛けのソファーに向かい合うよう、紫苑は光の両足を自分の腰にまわして光を引き寄せた。
光 「ちょっ、ちょっと待って。これ、なんや恥ずかしいやん。」
紫苑 「これなら顔が良く見えるでしょ?」
光 「そうやけど、ちょっと近すぎるやんか。」
紫苑 「いいじゃないですか、こうやって・・・キスもできるし。」
紫苑は光の頬にキスをした。
光 「なっ。待って待ってまって。・・・これ、めっちゃ照れるわ。」
紫苑 「ふっ。光さん可愛い。もっとしたくなる。」
光 「いや、そやからちょっと待ってって。」
紫苑 「待てません。離れてる間、俺がどれだけあなたのことを考えていたと思ってるんですか?」
紫苑はそう言って、光の額に、鼻に頬に軽くキスの雨を降らせる。
光は照れて頬を赤く染めながら、落ち着きなく身体を揺らした。
光 「お、俺かて、紫苑ことずっと思っとったで。・・・あっ、そうや親父さんもう大丈夫なん?」
紫苑 「はい。あの人は、ちょっとやそっとではくたばりません。」
光 「くたばるって。・・・そ、それと零王くんは見つかったんか?」
紫苑 「まぁ。今は治療に専念ってとこですかね。色々病んでるんで、そっちも一緒に治療中です。手塚が一緒ですから大丈夫ですよ。」
光 「そうか。そんなら良かったな。」
紫苑 「そうですね。」
光 「・・・」
光は照れくさくて、話を逸らしてみたが続かず、沈黙のまま紫色の瞳に吸い寄せられるように、紫苑の首に両腕をまわして抱きついていた。
紫苑 「光さん?」
光 「紫苑・・・会いたかった。」
そうや俺、ずっとこうしたかったんや・・・。
光は紫苑の肩に顔を埋めた。
紫苑 「光さん。」
光 「俺、ごめんな。・・・逃げてばっかりやった。」
紫苑 「・・・」
光 「怖くて、逃げてばっかりで・・・危うく、大切なもんまで失うところやった。」
紫苑は、光の背中にまわした両腕に力をこめて抱きしめた。
光 「Lumie`re (リュミエール)と、そして紫苑ことが大事や。・・・失いたない。」
紫苑 「俺も一緒です。光さんと、そしてLumie`re (リュミエール)を失いたくないです。やっと、自分の居場所が見つかったんですから。」
光 「ああ。俺もそうや。ここが俺の居場所なんや。」
紫苑 「これからは、ずっと一緒ですよ。・・・一人で悩まないで。」
光 「うん。・・・ごめんなさい。」
そう言うと、光はやっと顔を上げて紫苑を見つめた。そして、両手で紫苑の頬を包み込むと、その愛しい人の唇に口づけた。
光 「んっ・・・紫苑。・・・俺・・・紫苑が・・・好きや・・・・」
紫苑 「光さん。俺も、光さんが好きです。」
光 「もっと・・・紫苑を感じたい・・・紫苑が・・・ほしい。」
光は紫苑の唇を何度も食みながら、吐息とともに想いを吐き出した。
紫苑 「はい。・・・あなたの望みのままに・・・」
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