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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
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紫苑は久しぶりに自分のベッドに横になって、ため息をついた。
東京に戻って1週間、零王としての日々を過ごしていたので、本宅に寝泊まりをしていたのだ。結局、伊豆でのライブにも戻ることが出来なかった。

はぁ~疲れた。
・・・たった1週間で疲れたもないのか・・・零王のやつ、よくこんなことずっと続けてきたな。身体だって弱いのに。俺は、この家に生まれてきて自分の人生って何なんだってずっと思ってきたけど、それでも実は自由に好きに生きさせてもらっていたのかもしれないな。

社長不在のなか、零王の代役をするということは想像以上に厳しいことだった。社内にはいくつもの派閥があって、身内だと思っていた側近が零王をまるめこんで社長を欺こうと画策していたり、ライバル会社のスパイらしい社員もいた。

いつも涼しい顔してる親父だけど、これだけの会社まわすのに闘い続けてきたんだろな。
なんだか、自分の未熟さを見せつけられた気分だ・・・。ふぅ~。

紫苑が2回目のため息をつくと、リビングで物音がした。

あれ?親父の退院って明日だよな?

紫苑は立ちあがり、寝室を出てリビングを覗くと、ソファーに沈む翔がいた。

紫苑 「あれ?翔さん?」
翔  「ん?・・・紫苑くん。こっち帰ってたんだ?」
紫苑 「うん。親父帰って来るの明日だよね?どうしたの?」
翔  「退院の時に着る服取りに来た。俺、本宅には行けないし。こっちにあるので何か普段着って思って。」
紫苑 「そうか。色々、親父の事ありがとうございます。」
翔  「そんな・・・紫苑くん、会社のこと大変でしょ。俺、何もできないし。それくらいしか。」
紫苑 「そんなことないですよ。楽園のことは全面的にお願いしちゃってるし。」
翔  「あははっ。それは、流石に未成年の紫苑くんにやらせられないでしょ?」
紫苑 「まぁ。」

翔がキッチンに立ち、コーヒーを淹れてきた。

翔  「飲むでしょ?」
紫苑 「ありがとうございます。」
翔  「そう言えば、光くんどう?大丈夫?」
紫苑 「まぁ。詩は歌ってます。雅紀さんが暁さんと幸せそうなので気持ち整理できたのかもしれません。」
翔  「そっか。雅紀も楽園やめるって言ってきたから、よかったよ。」
紫苑 「そうですか。」

紫苑は、別れ際の光の顔を思い出して胸がチクリと痛んだ。

翔  「どうしたの?浮かない顔して。」
紫苑 「・・・光さんが俺を拒んでるみたいな気がして・・・。」
翔  「拒む?」

紫苑は、光が伊豆で雅紀と再会してから、岸谷のことを思い出して心が不安定になっていたこと。その後、自分の目の前で雅紀が竜二達に襲われたことなどから、性的なことに対して恐怖心が生まれてしまったのではないかと感じていることを翔に話した。

翔  「なるほどね。確かにショックは大きかっただろうね。実際、愛なんてなくたってセックスはできる。特に男は欲望が先だったりするしね。」
紫苑 「・・・そうなんですよね。でも、だからこそ愛する人とのそれが大切って思うんですけど。・・・それも俺の欲望なのかな?光さんには、重いのかも。」
翔  「深いな。高校生と話してるとは思えない。あはははっ。」
紫苑 「ちゃかさないでください。」
翔  「ごめんごめん。俺はさ、セックスなんて金稼ぐ道具のひとつくらいに思ってきたから。気持ち良くってお金稼げてラッキーって。」
紫苑 「軽っ。・・・翔さん、親父とはそういう関係じゃないの?」
翔  「ええぇ!?ないない。・・・あの人も、本気でそういうことしないんじゃない?性欲処理って感じでしょ?俺、ウケしないし。」
紫苑 「・・・違うと思いますよ。性欲処理はどっかでしてるかもしれないけど、本当に好きな相手は大切にするんだと思います。だから、翔さんに手をだしていない。こんなに近くに置いてるのに。」
翔  「はははっ、意地悪はよくされるけど、それはないでしょう?」
紫苑 「親父は、ほとんど他人に心なんて開かない。俺達子供に対してだって。でも、翔さんのことは、ここに自由に出入りさせてる。それは、あの人にとって特別な人ってことですよ。」
翔  「・・・」
紫苑 「翔さんにとって、親父は何?ただの雇い主?・・違うでしょ?」
翔  「あははっ。何で俺の話になってんの?もう、紫苑くんの、光くんの話でしょ?テレビでもみるか。ちょっと頭切り換えよう。なっ。」

翔は、落ち着きなくソファの上で2、3度腰を浮かせると、近くにあったテレビのリモコンを手に取り電源を入れた。

『先週、熱海の海岸で発見された身元不明の遺体は、東京都世田谷区の音楽プロデューサー、岸谷正臣さん46歳と判明しました。死因は海水を多量に飲みこんでの溺死ですが、頭部に打撲痕があることから、事故、自殺の他、他殺の可能性も視野にいれて捜査中とのことです。』

紫苑と翔の視線は画面を凝視したまま、しばらく身動きもとれずにいた。




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