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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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紫苑達のコテージでは、誰もが眠れない夜を過ごしていた。
心身ともに疲れ切っていた梨里香と、事態を良く理解できていない彰仁を除いては・・・。
窓の外が明るくなってくると、晴樹は中庭に出てタバコを吸おうとリビングに向かった。すると、そこには先客がいた。

湊  「ハル、おはよう。」
晴樹 「おう。おはよう。何してんの?」
湊  「なんや、眠れんからピクルス作とった。」
晴樹 「はぁ?ピクルスって、あのハンバーガーにはいっとるやつやろ?」
湊  「そうやけど、自家製のは美味いねん。パプリカとかキャベツとか色々漬けると前菜にもつまみにもなるんやで?」
晴樹 「・・・。そういうことやなくて。なんでこんな時にそんなもん作ってんねん。」
湊  「・・・こんな時やから、そんなもんでも作らな落ち着かんのや。」
晴樹 「そう・・・やな。・・・梨里香ちゃんと話できたか?」
湊  「まぁ。・・・なんやあいつひとりで悩んどったんやな。ハルに相談のってもろてて良かったわ。ありがとう。」

晴樹は頭を掻きながら、タバコに火をつけサンダルを履いて外に出た。
リビングの目の前には中庭があり、そこには木製の丸いテーブルといくつかの椅子が置いてある。湊はリビングから灰皿を持って外に出て、丸テーブルの上に置いた。

晴樹 「サンキュ。」
湊  「ハルは、梨里香んことどう思っとる?」
晴樹 「ごほっ。ゴホッゴホッ。・・・な、なんやんねん、急に?」
湊  「別に急やないやろ?昔っから梨里香はハルにべったりやったやんか。」
晴樹 「そうか?・・・そりゃ、可愛いと思うとるよ。・・・妹みたいでな。」
湊  「妹か?」
晴樹 「・・・妹やろ?ランドセル背負っとったんやで?」
湊  「いつまでも子供やないで?特に女はな。」
晴樹 「・・・確かに、梨里香ちゃんの見合いの話聞いた時は焦った。気になってすぐに梨里香ちゃんに電話したんや。それまでは暫く連絡もとっとらんかったんやけどな。」

ここに来る時に遅れて来たのも実は、梨里香と会っていたからだと言う。梨里香は第一印象とあまりにも違う零王に戸惑っていた。それでも、今まで育ててくれた血のつながらない母親に恩返しをしたいと、自分で決めたことだから頑張らないといけないと悩んでもいた。晴樹はそんな梨里香の話を聞いて、無理はするなとしか言えなかったという。

湊  「1本いいか?」

湊は晴樹からタバコを1本受け取ると口に咥えた。晴樹が無言でライターに火をつけると、湊は自ら顔を近づけてタバコに火をつける。軽く吸いこみニコチンを肺に充満させると、大きなため息のように白い煙を吐き出した。

晴樹 「湊がタバコ吸うの久しぶりに見たわ。」
湊  「ふっ。・・・僕は何も知らんかったんや。」

湊の父、廉太郎にはいつでも愛人がいた。それは母親の愛子も承知していた。
祥一郎が4歳の時に梨里香はやってきた。生まれたばかりの赤ちゃんで、祥一郎は夕べまで実の妹だと思っていた。しかし16年前、梨里香は愛子のお腹から生まれたわけではなかった。廉太郎が、学生時代の友人夫婦の子供と言って連れてきて養子にしたのだという。確かに丁度その頃、廉太郎の友人夫婦が事故で亡くなっていた。愛子はそれを信じて、わが子のように育ててきたのだった。しかし、梨里香が成長するにつれ、その容姿はどんどん倫太郎に似てきた。不思議に思った愛子はある日、長女と次女と一緒に、倫太郎を問い詰めて事実が判明したという。それは、既に祥一郎が家を出てからのことだった。

湊  「梨里香と零王くんとの結婚は、止めさせたい。・・・梨里香はまだ16歳やで?」
晴樹 「・・・そうやな。・・・紫苑くんや莉薗ちゃんに協力してもらわないかんやろな。」

莉薗 「もちろん、協力させていただくわ。」

湊と晴樹は、驚いて後ろを振り向いた。そこには、早朝だというのに、ばっちりヘアメイクをした莉薗が立っていた。もちろん、夕べとは違う向日葵柄のワンピースを着ている。

莉薗 「私にも、1本いただける?」
晴樹 「はっ?・・・いやいや、あかんやろ?高校生。」
莉薗 「あら、自分だって高校生の頃には吸ってたでしょう?」
晴樹 「うっ。・・・でも、あかん。」
莉薗 「ふふっ。結構真面目なのね?」
晴樹 「あたりまえや。」
莉薗 「じゃぁ、梨里香ちゃんにも正式にプロポーズしちゃえばいいのに。」
晴樹 「ぷろっ・・・プロッポーズっ!?」
湊  「くくっ。・・・ぷはっははははっ。」

どうやら湊のツボに入ってしまったらしく、お腹を抱えて笑っている。

莉薗 「本気で言ってるのよ?梨里香ちゃんが好きでもない人と結婚しちゃってもいいの?」
晴樹 「・・・。」
湊  「ハル、僕の弟になるんやな。くくくっ。」
晴樹 「なっ。」
莉薗 「ここは、男を見せるところよ。」
晴樹 「・・・。」

ピンポーン。
玄関のチャイムが鳴って、晴樹は肩をビクリとさせる。湊の笑いもぴたりと止まった。

莉薗 「さぁ、いよいよお出ましね。」

莉薗は静かに振り返ると、玄関に向かった。




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