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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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雅紀と暁は翌日早く出発して観光して帰るからと言って、自分達のコテージに戻った。
突然の訪問者に、気を利かせたのかもしれない。
湊がテーブルにおつまみを並べ終えると、丁度晴樹が梨里香を連れて戻ってきた。

晴樹 「ただいま。梨里香ちゃん連れてきたで。」

梨里香は、晴樹の後ろから、ひょこっと顔を出した。

光  「梨里香ちゃん久しぶりやな。」
梨里香「こんばんは。」
湊  「こんばんは。やないで。何しに来たん?」
梨里香「・・・」
晴樹 「まぁまぁ。話は後でゆっくりな。」
湊  「・・・そうやな。梨里香、アキと紫苑くんは初めてやろ?」
彰仁 「彰仁です。はじめまして。」
梨里香「はじめまして。うわっ。お兄ちゃんのもろタイプやね?」
湊  「うるさいわっ。こっちが紫苑くんや。」
梨里香「ひゃっ!」

梨里香は紫苑の顔を見ると、驚いて晴樹の後ろに隠れた。

梨里香「な、なんで零王・・・さま・・が?」
光  「零王様?」
湊  「何、言うとんねん。紫苑くん言うたやろ。」
紫苑 「初めまして。・・・零王は、俺の兄です。」
梨里香「ええっーー!?ほんまに?・・・確かに髪の色も目の色もちゃうけど・・・似てますね。」
紫苑 「はぁ。・・・で、何で零王のこと、さま付けで呼んでるんですか?」
梨里香「・・・」
光  「なんや理由ありっぽいから、とりあえず座って話しようや。」

リビングに場所を移すと、全員テーブルの周りに集まった。
実は紫苑は梨里香と初対面ではない。おたふく風邪にかかった零王になりすまし、梨里香とお見合いをしていたのだ。もちろん、そのことはここにいる誰もが知らないのだが。

晴樹 「実はな、少し前から梨里香ちゃんに相談受けててん。」
湊  「なんの?」
晴樹 「その・・・神宮寺零王くんのことでな。」

最初に口を開いたのは晴樹だった。その内容が紫苑の兄である零王のことであるため、少し言いにくいようだったが、梨里香の代わりに説明することにしたようだ。

晴樹 「少し前に梨里香ちゃんと零王くんがお見合いしたんは、みんな知ってるやろ?俺は湊から聞いてビックリしたんやけど。」
紫苑 「・・・」
光  「そうやったな。」
晴樹 「ほんまは、そん時の顔合わせだけで後は高校卒業する頃に何度か会うて結婚するっちゅう話やったらしいんや。」
湊  「それも変な話やけどな。」
晴樹 「それやのに、零王くんの提案で夏休みに花嫁修業みたいな名目で、梨里香ちゃんに神宮寺家で過ごして欲しい言われたそうやわ。」
紫苑 「その話は、俺も莉薗に聞きました。」
晴樹 「まぁ、ふたりっきりやないしな、ちゃんと部屋は別やしってことで湊んちの親父さんもOKしたらしいねん。」
湊  「梨里香もようOKしたな?」
梨里香「夏休みやし、東京来られるんやったらええかな思って。」

梨里香は肩をすぼめて舌を出した。
紫苑はお見合いの時に、梨里香が仔犬のワルツを弾いている姿を思い出していた。

晴樹 「梨里香ちゃんな、零王くんことお見合いん時の印象が良かったから安心してたらしいねんけど、こっち来て会うてみたらなんや別人みたいなんやて。」
紫苑 「ごほっ」
光  「大丈夫か?」

紫苑は晴樹が「別人」と言ったことで思わず飲みかけたビールで噎せた。
光が心配そうに紫苑の顔を覗き込み、背中を擦っている。

梨里香「お見合いん時は、女の子に対してちょっと不器用そうやけど、笑顔がめっちゃやさしくて、あったかい感じやってん。」
紫苑 「・・・」
梨里香「それやのに、夏にこっち来て会うたら、僕の事は零王様と呼ぶようにって言われて。・・・いっつも笑顔やねんけど、その瞳の奥がめっちゃ冷たいねん。うち嫌われてるんやろか?って思うくらいにやで?」

湊は腕組をして黙っている。彰仁は遠巻きにみんなの様子を見ていた。

光  「なぁ紫苑?零王くんってどんな人なん?」
紫苑 「・・・実は俺もイマイチ良くわからないんですよね。・・・いつもニコニコ笑ってるんですけど、何を考えているのか・・・」
光  「中学までは一緒に暮らしてたんやろ?」
紫苑 「はい。でも、俺と莉薗は一緒でしたけど、零王は神宮寺の跡取りとして、ひとりだけ特別扱いでしたから。あんな強引な親父に対しても反抗したところ見たことありませんし。従順な息子です。」
梨里香「確かにな、みんながいる時はそんな感じやねん。そやけどふたりっきりになると豹変すんねん。」
晴樹 「豹変って、まさか襲われたんか!?」
梨里香「襲われてへんわ。・・・その逆っていうか・・・。」
晴樹 「なんや、その話聞いてへんで?」
梨里香「言うてへんもん。・・・それが逃げてきた理由やから。」
湊  「逃げてきたんか?」
梨里香「・・・うん。」

話が核心に迫ったところで、紫苑の携帯電話の着信音が響いた。
全員一瞬フリーズする。
紫苑は携帯を取り出すと、おもむろに嫌な顔をした。

光  「なんや、零王くんかいな?」
紫苑 「いえ。莉薗です。・・・すみません、ちょっと出ます。」

紫苑はリビングのドアを開き、廊下に出ると電話に出た。

莉薗 『紫苑!?大変なの!』
紫苑 「何?」
莉薗 『梨里香ちゃんが、行方不明になっちゃった!』
紫苑 「ここに居るけど。」
莉薗 『ええっ!?本当?』
紫苑 「嘘つく意味ないし。」
莉薗 『よかったぁ。じゃぁ、楽園に居るのね?』
紫苑 「楽園じゃなくて伊豆の施設。」
莉薗 『はぁ!?紫苑、伊豆にいるの?』
紫苑 「バンドの合宿。」
莉薗 『なるほど。でも、何で梨里香ちゃん大阪帰らないで伊豆なんて行ったのかな?』
紫苑 「知らない。それより梨里香ちゃんは、零王と何があった?」
莉薗 『・・・。取りあえず、今から行くわ。』
紫苑 「はっ!?」
莉薗 『ヘリ飛ばせばすぐだから。』
紫苑 「そんなもん、飛ばすな!来なくていい。」
莉薗 『あのコテージでしょ?警備の・・じゃなかった管理人の瀬崎に連絡入れてから行くね。』
紫苑 「・・・本気で来るな。」

莉薗は紫苑の言葉を聞き終わらないうちに電話を切り、通話の途切れた音を聞きながら紫苑は大きなため息をついた。




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