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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
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あなたを愛してます・・・?
あい・・?・・・あいしてる?って言うたんか?・・・紫苑は今、俺を愛してるって・・・?

紫苑は、思いがけない愛の告白にパニックになっている光の両頬を掌で挟むと、今度は深く口づけた。光の薄い唇の隙間から舌を差し入れ絡める。その熱い口づけに光は更に混乱し、身体中が痺れて力が抜けていく。紫苑は左手で光の腰を強く抱きよせた。

光  「んっ・・・」

重ねる唇の角度が変わるたび吐息を漏らす光は、紫苑の首に両手をまわしてしがみついた。
久しぶりに受ける紫苑からの熱い口づけに光は夢中で応えた。光の頬に添えられていた紫苑の右手は首筋から胸、そして腹をなぞっていく。そしてTシャツの中にもぐりこむと、胸の突起を捉えた。

光  「んっ!・・・!?・・・ちょっちょっと待った・・・何してんねん?」
紫苑 「愛の確認・・・?。」

光は、その強すぎる刺激に我にかえった。

光  「あ、あほっ!ここどこやと思ってんねん!」
紫苑 「あほって言うな。・・・マリア様に見守ってもらって愛しあいましょう。」
光  「愛しあいましょうって・・罰あたるで。それに人が来たらどうすんねん。」
紫苑 「チャペルは愛を誓う場所です。罰なんか当たりません。それに・・・」

紫苑はポケットから大きな鍵を取り出した。

紫苑 「鍵締めましたから、大丈夫です。人は入ってきません。」
光  「はぁ!?」
紫苑 「ここもうち(神宮寺)の建物ですから・・・。」

紫苑はほんの少し口角を上げて光を見つめた。

光  「い、いや。そういう問題やないやろ?」
紫苑 「じゃぁ、どういう問題ですか?」
光  「それは・・その、やっぱあかんって。お前、時々やることおかしいで?なんやねん、この強引な展開は。」
紫苑 「血?・・・神宮寺の血ですかね?」
光  「血って・・・。ぷっ!あははははっ。」

光は、いつになく強引で普段は言わないようなおかしなことを言う紫苑が愛しくて、吹き出してしまう。
すると、紫苑が光を強く抱きしめた。

紫苑 「光さん・・・やっと、笑ってくれましたね。」
光  「紫苑・・・?」

紫苑 「俺も・・・あなたをここに連れてくるのは怖かった。でも、少しでも早く元気になってほしくて・・・そして、やっぱり詩ってほしいから。」
光  「紫苑・・・ありがとう。・・・そうやな。よっし、愛を確かめ合おうや。」
紫苑 「はっ!?」

鳩が豆鉄砲を食らったみたいな顔とは、きっとこの時の紫苑の顔を言うのだろう。
その紫苑の頬に背伸びをしてチュっとキスをすると、光は静かにマリア像の前に立った。
そして、大きく深呼吸をして目を閉じる。

光  「♪Amazing grace!(how sweet the sound) That saved a wretch like me!
I once was lost but now am found Was blind, but now I see.・・・」

紫苑は目を細めて光を見ると、オルガンの前までゆっくりと移動し腰掛けて伴奏を弾き始めた。

光  「♪Through many dangers, toils and snares. I have already come・・・」

ふたりは愛を確かめ合うように、お互いを感じ合い時々見つめ合い詩い弾く。

光  「♪Bright shining as the sun, We've no less days to sing God's praise
Then when we first begun♪」

光は詩い終わると大きく深呼吸をして、マリア像を見つめた。紫苑もその隣に立つ。

光  「紫苑、ありがとう。・・・俺、やっぱり詩はやめられん。何があっても詩い続けるんやと思う。」
紫苑 「はい。」
光  「紫苑が言うみたいに、誰かを勇気づけたり出来るかわからんけど、それでも詩いたい。」
紫苑 「はい。」
光  「一緒にいてくれるか?・・・年下の雅紀に守ってもろたり、自分で何もできん弱い俺やけど・・・。」
紫苑 「はい。俺があなたを守ります。ずっと一緒にいて、守り続けます。だから・・・自分を嫌いにならないでください。俺は、どんなあなたも好きです。」
光  「紫苑・・・。」

紫苑は光を抱きしめると耳元で囁いた。

紫苑 「光さん・・・愛してます。」
光  「・・・紫苑・・・」

光はまた、「愛してる」と言われて頭が真っ白になる。

愛って・・・愛してるって・・・ようわからんけど、あったかい響きやな。

紫苑 「光さんは?」
光  「へっ!?」

紫苑が少し意地悪に光の顔を覗き込むと、光は慌てて目を逸らしくるりと背を向けた。

光  「はよ、帰ろう。暗なってきたで。」
紫苑 「はぁ。・・・そうですね。早く部屋に帰って、ベッドで愛を確かめ合いましょう。」
光  「はっ!?・・・な、なんやねんそれ。」
紫苑 「その言葉の通りです。光さんは言葉で言ってくれないので、身体に聞きます。」
光  「あ、あほっ!」
紫苑 「だから、あほって言うな。・・・さぁ、帰りますよ。」

紫苑は光の手を取ると、バージンロードを歩きだした。


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※「Amazing grace」の歌詞を、一部引用させていただいています。



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