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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
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紫苑と光が施設の敷地内をのんびり散歩してコテージに戻ると、湊と彰仁が夕飯の支度をしていた。既に陽はだいぶ傾いている。

湊  「おかえり。なんや食材いっぱいあったから勝手に使わせてもらったで。」
紫苑 「食材は管理人が用意してくれたんだと思います。ご自由にどうぞ。」
光  「ただいま~。うわぁ。めっちゃうまそうやん。」
彰仁 「おかえり~。もうすぐ出来るからね。」
光  「なんや、アキも手伝うたん?」
彰仁 「サラダ作ったよ。」
紫苑 「・・・混ぜただけなんじゃ・・・?」
湊  「味付けもしたんやもんな。アキ。」
光  「甘っ!」
紫苑 「・・・」
湊  「ええねん。やる気が大事やろ?そろそろハルも到着するらしいで。」

大騒ぎをしながら木で出来ただ円形のテーブルの上に皿を並べていると、晴樹が赤色のミニクーパーに乗って到着した。ドアが開くと小さく折りたたんでいた長い手足がにょきっと伸びて、晴樹が出てきた。

晴樹 「遅なってすまん。いやぁ、上り坂厳しかったわ。」
湊  「お疲れ様。ちょうど夕飯出来たから食べてゆっくりしい。」
晴樹 「なんや、湊ん家みたいやな。」
湊  「くくっ。ええところやで。別荘みたいや。」

全員でテーブルを囲む頃には、すっかり陽は落ちていた。
湊が作る料理はどれもお洒落で美味しい。今日はイタリアンだった。

光  「なぁ、誰かCrusher’s(クラッシャーズ)の解散したほんまの理由聞いとる?」
湊  「なんや、急に。」
晴樹 「前に暁が、音楽性の違いとか言うとらんかったか?」
光  「そうやねんけど、それって表向きやろ?」
彰仁 「雅紀が・・・消えたって聞いたよ。」
晴樹 「アキは雅紀と同級やったな?」
彰仁 「うん。クラスは違うけど、雅紀と仲良かった子から聞いた。学校も来てないし。」
光  「そうか・・・。」
湊  「なんや、どうしたん?」
光  「今日な、紫苑と散歩してきたやんか?そん時、雅紀によう似た人見かけたんや。声掛けたら逃げられてしもたけど。」
晴樹 「まじか?」
湊  「・・・そっと、しといたげたらええんやんか?」
光  「湊・・・?知っとるんか?」
湊  「・・・暁も随分探してるみたいなんやけど、会いたなったら会いに来るやろから、あんまり探すな言うたんや。会いに来んのは、会いたないってことやから・・・。」
光  「わからんやんか!会いたいけど、会えへん思うてるかも知らんやん。ほんまは見つけて欲しいかも知らんやんか!」
紫苑 「光さん・・・。」
光  「あっ、・・・すまん。」
晴樹 「何かあったんか?」
光  「ん・・・たぶんな。・・・俺の口からは言えんけど。」
湊  「そういうことや。・・・よそのバンドんことで僕らが喧嘩してもしゃあない。この話はここまでや。」
光  「・・・。」

なんとなく気まずい空気が流れたが、メンバーはその後、何もなかったかのようにいつもの関係に戻っていた。
紫苑は普段、神宮寺が使用いている部屋を、光と彰仁、湊と晴樹がそれぞれツインルームという部屋割となった。
彰仁は昼間寝ていたにも関わらず、すぐに寝息を立て始めたが、光は雅紀のことを考え、そして岸谷の事を思い出して眠れなくなってしまった。
静かに部屋を出て紫苑の部屋をノックすると、すぐに扉が開いた。

紫苑 「やっぱり、眠れないんですね?」
光  「ん・・・。色々考えてしもて。」

紫苑がそっと抱きしめると、光は寒くもないのに小刻みに震えている。

紫苑 「光さん・・・?」
光  「・・・雅紀な、岸谷に酷いことされたみたいなんや。」
紫苑 「え!?」
光  「岸谷に、コレクションだと言って見せられた写真に写ってた・・・。」
紫苑 「・・・光さん。」

紫苑は光を抱きしめる腕の力を強めた。

光  「俺も・・・紫苑がおらんかったら・・・同じ目に遭ってた。・・・そしたらきっと、歌えんようになってた思う。・・・そやけど、やっぱり歌いたくなると思うし・・・誰かに助けて欲しいって思うかも知らん・・・。」
紫苑 「もう、・・・考えるのはやめましょう。・・・岸谷のその後と、雅紀さんのことは親父に何か知ってるか聞いてみますから。」
光  「・・・そうやな。」

紫苑が光の細い顎を指で上げると、大きな瞳からは涙の雫が流れていた。それを舌先ですくい、次に唇を重ねるとそのキスは少ししょっぱかった。

光  「んっ・・・しおん・・・」
紫苑 「光さん、今夜はここで寝て下さい。光さんが眠るまで起きてますから。」

光は紫苑と一緒に大きなベッドに入り、その腕の中でやっと落ち着いて呼吸ができるようになった。

光  「紫苑・・・大好きやで。」
紫苑 「俺も好きです。・・・ゆっくり休んでください。」
光  「・・・おやすみ。」

光はなかなか眠れないようだったが、暫くしてやっと静かに寝息をたてはじめた。
紫苑は、光の額にキスをしてほっとすると、深い眠りに落ちていった。




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