【別冊:まだ見ぬ景色】6 ~その頃、このふたりは・・・?~
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Lumie`re (リュミエール)のメンバーが2週間ぶりに集まることになった。
練習を休んでいる間に、光は大変な事件に巻き込まれていたが、幸い紫苑が助け出し事なきをえた。
結局、彰仁からの連絡は一度もなかった。泣きながらこの部屋を飛び出してから2週間。久しぶりに会う彰仁はどんな顔でここに来るのだろうか。湊は不安で仕方がなかった。
一番乗りでやってきたのは、意外にも彰仁だった。いつもと変わった様子もない。
いや、いつものように甘えた雰囲気はなかった。少し大人びた顔つきになっている。
湊 「久しぶりやな。その、この間は・・・」
彰仁 「もういいよ。・・・祥くんのスキンシップは嫌いじゃないし。あの時はちょっとビックリしただけ。気にしないで。俺、新しい彼女出来たから。」
湊 「・・・そうか。・・・ほんま悪かったな。」
彰仁は、たいしたことじゃないとでも言うように、平然としていた。
湊は胸が痛んだ。
彼女が出来たと言われたことはもちろんショックだったが、それよりもあの天使の笑顔が消えてしまったことに。
すぐに晴樹が到着した。湊は光が来る前にこの二人に光が岸谷に襲われた事件の内容を掻い摘んで話した。
晴樹 「ほんま腹立つな!アキも可愛いんやから気つけや。」
彰仁 「えっ!?・・・な、何言ってんの?俺は大丈夫だよ。ももくんみたいに美人じゃないし。」
湊 「・・・」
彰仁は、もし自分だったらと思うと怖くて足が震えた。
湊にされたのとは全然違う。湊のキスは優しかったし、身体に触れられることも嫌ではなかった。それを、他の男にされたとしたら・・・そう考えるだけで吐き気がした。
彰仁は、チラリと湊の顔を見た。いつものクールな表情で何を考えているのかわからない。
「もし、俺がそんなことになったら・・・祥くんは助けに来てくれるのかな・・・」
ふっとそんなことを考えて、慌てて首を振った。
「何考えてるんだ俺・・・。」
光が少し遅れて到着して、それからみんなが持ち寄った曲を順番に聴いていく。
Lumie`re (リュミエール)の曲作りは、湊、晴樹、光が担当している。光は作詞も作曲もするので、ほぼ曲を完成させてきて、みんなでアレンジをする。湊と晴樹は曲だけを作ってきて、その作品のイメージを光とディスカッションし、光が後から詞を書いてみんなでアレンジする。というのが通常だ。
メンバーが曲作りをする会話に、彰仁はほとんど加わらない。自分で曲をかかないということもあるが、やはりこの3人はどこか心が通じ合っていて、そこからLumie`re (リュミエール)の曲が生まれるのだと思っているから。
湊は機材を使って打ち込みもして録音するので、曲はほぼ完成した形で聴くことができる。湊が作った曲は2曲。ポップな感じの明るいリズムだけど、どこか切ない。
その曲を聴きながら、なぜか彰仁はあの日の熱っぽい湊の瞳を思い出していた。そして、自分の名前を耳元で囁く甘い声が聞こえていた。
アキ・・・アキ・・・ふぅ・・・アキ・・・・
祥くん・・・悲しい顔してた。俺の事が好きだって言った。いつもみたいにからかっている風でもなかった。
可愛くてって・・・。可愛くてキス?・・・子供じゃないし。
好きだからキス・・・?男同士なのに?
だけど・・・俺だって祥くんにキスされて、身体に触れられて、熱くなってた・・・。
他の男だったら気持ち悪いだけなのに。
合コンのゲームで、男同士でキスするとかだって嫌なのに。
祥くんのキスは嫌じゃなかった。・・・っていうか、ドキドキした・・・?
初めて両想いになった女の子とキスしたときみたいに・・・ドキドキした。
なんで?
俺の頭変になった?バカは俺?また、ぐるぐるしてきた・・・。
光 「アキ、どう思う?」
彰仁 「えっ!?」
いつの間にか曲は終わっていて、光に話しかけられ、彰仁は慌てて現実に戻ってきた。
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