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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
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<街・昼>

莉薗 「えぇ~~~!?美人のボーカルさんじゃん!?」

紫苑の視線の先を辿ると莉薗は、驚いて大声を出した。
莉薗は、くるりと方向を変えて歩き出そうとした紫苑の腕を掴んで引きとめる。

莉薗 「ちょっとぉ、紫苑!何で逃げるのよ!?」
紫苑 「・・・」

莉薗の大声に気がついた美郷が光の腕を引いて近づいて来た。

美郷 「あっ!紫苑さん、こんにちは~。紫苑さんもデートですか?」

紫苑は仏頂面で光を見ているが、光は視線を合わせようとしない。
紫苑が美郷を思いっきり無視しているので、仕方なく莉薗が相手をすることにした。

莉薗 「はじめまして。莉薗です。」
美郷 「はじめまして、桂木美郷です。」

桂木・・美郷?・・・なるほどね。

莉薗はひとりで何やら納得している。

美郷 「莉薗さんってモデルさんみたい!綺麗ですね~紫苑さんとお似合い。」
莉薗 「ありがとう。美郷さんは小さくて可愛いわ。胸も大きいし。」
美郷 「え~胸、ちょっと大きすぎて邪魔なんですけどね。うふふっ。」

胸などちっともふくらんでいない莉薗のこめかみがピキッと動いた。

美郷 「あれぇ!?紫苑さんも莉薗さんもそれ花柳の制服?もしかして高校生ですか?」
莉薗 「うん。学校帰り。」
美郷 「大人っぽいから年上だと思っちゃった~。あぁっ!私達夕べと同じ服でお泊りバレバレ~。紫苑さんはバンドメンバーだから大丈夫だよね?ファンの子たちにはバレないようにしなくちゃ。」

美郷は舌をペロリと出して、紫苑を見た。

面倒くさい女だな・・・。
私は、あなた達が昨日と同じ服だとか知らないし。いちいちアピールするな!
っていうか、このふたり泊ったのか?

紫苑は美郷を完全無視だが、莉薗がイライラしていた。
桂木3姉妹はある意味有名で、三女の美緒は、クラスは違うが莉薗や紫苑と同級生だった。美緒は莉薗と同じ、心が女の子で身体が男の子なのだ。すごく優しい子で、サッカー部のキャプテンと付き合っている。ところがふたりの姉は、お互い有名人やモテる男を彼氏にして張り合っているらしい。
美郷は二女だろう。長女の美鈴は芸能人と付き合っているという噂だ。

美郷のあからさまな態度に、光は何をどう取り繕えば良いのかもわからず、紫苑の目を見ることも出来なかった。

光  「あ、紫苑。俺今日は練習休むわ。頭痛いねん。」
紫苑 「・・・」
光  「美郷ちゃん、はよ、帰ろう。」
美郷 「うん。光くん頭痛大丈夫?美郷が光くん家行って看病しようか?」
光  「大丈夫や。美郷ちゃん送って、帰ったら寝るから。」

光は美郷を促して、紫苑と莉薗の横を通り過ぎ歩き始めた。
すると莉薗が赤毛の巻き毛をふわりと風になびかせて振り向いて美郷を睨む。

莉薗 「美郷さん?あなた、彼の事本気で好きなわけじゃないでしょう?」
美郷 「えぇ!?なんでそんなこと言うの?。」
莉薗 「だって、ファンの子にバレないようにしなくちゃなんて言いながら、昼間から腕組んで歩いてるじゃない。自慢したいだけでしょう?ファンが沢山いて、メジャー目指してる彼のこと本気で好きなら、影から支えるんじゃないかしら?」
美郷 「そ、そんなこと関係ないじゃない!好きだからくっついていたいだけよ。」
莉薗 「だ・か・ら!自分のことしか考えてないっていうの。」
光  「莉薗ちゃん、ええねん。・・・俺、美郷ちゃんと付き合うことにしたんや。」
紫苑 「・・・!?」
莉薗 「はぁ?あんたバカなの!?好きでもない女となんで付き合うわけ?」
紫苑 「莉薗!!もういい。帰るぞ。」
美郷 「ひっどぉーい。紫苑さんも無愛想だけど、彼女も怖い。」

美郷は光の陰に隠れて、その背中に胸を押しつけた。光は身体をずらしてそれを避ける。

紫苑 「あんた達が付き合おうが何しようが俺には関係ない。だけど、髪の毛濡れたまま外を歩くな。風邪ひいて、あんたの声が出なくなるのは迷惑だ。・・・彼女なら、それくらいは気を使え。」

紫苑は、それだけ言うと足早に歩き出した。莉薗も紫苑の後をついていく。
その後ろ姿を見つめる光の瞳は涙でいっぱいになっていたが、くるりと振り向くと唇を噛みしめ歩き出した。少し伸びすぎた髪は確かにまだ濡れていて、指に絡めるとキシキシと音がするような気がした。


莉薗は、速足に歩く紫苑を追いかけながら歩いた。

莉薗 「ちょっと、紫苑。いいの?」
紫苑 「・・・」
莉薗 「あのボーカルの彼って、紫苑のいい人なんじゃないの?」
紫苑 「・・・いい加減、名前覚えろ。」
莉薗 「名前覚えるの苦手なのよ。・・・うそ。光さんでしょ?知ってるってば。」
紫苑 「お前は、零王や俺の心配ばかりしていないで、自分の心配でもしろ。」
莉薗 「もう、何よそれ。」
紫苑 「・・・巻き込んで悪かったな。・・・もう今日は、鎌倉に帰れ。」
莉薗 「紫苑・・・。」

くそっ。嫌な予感的中だな・・・。
昨日は、俺の事を好きだと言っていたのに。いつか一緒に住みたいと言っていたのに。
夕べ何があったんだ?あの女と・・・。
好きでもない女と寝たというのか?
いや、あの人にそれは出来ない。できるはずはない。

紫苑はそのまま、光のアパートへ向かった。




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