<ホテルの部屋・夕方>
部屋に入ると大きなベッドがあり、その奥にはソファセット。そして大きな窓からは、夕方のオレンジ色から夜の紫色に変わる銀座の街の景色が見える。
光 「うわぁ、すごい綺麗ですね~。」
窓に駆け寄りその景色を堪能する光を、岸谷は目を細めて見つめた。
そして、ジャケットを脱いでハンガーにかけ、ネクタイをゆるめながら光に近寄ると、突然腰を抱き寄せた。
光 「!?・・・岸谷・・さん?」
岸谷 「景色も綺麗だけど、光の方がもっと綺麗だよ。」
光 「えっ?」
いきなり名前を呼びすてにされ、態度が豹変した岸谷に光は腰を引いて距離をとろうとしたが、その力は意外と強かった。
岸谷 「その綺麗な顔が快感で歪むところを見てみたいって、ずっと思っていたんだ。」
光 「あの・・・ハルは?」
岸谷 「ふふっ。邪魔ものはいないよ。ここには光と僕だけだ。」
光 「お、俺・・・帰ります。」
光が逃げ出そうとした瞬間、身体にバチンッ!と衝撃が走った。そして全身から力が抜け、まるでスローモーションのように膝から崩れていく。寸でのところで岸谷が光を抱きあげてベッドまでいくと、少し乱暴にそこに寝かせた。
光は、意識はあるが身体が動かない。
岸谷 「ごめんね。ちょっと痛かった?でも、これくらいの電流ならすぐに動けるようになるから大丈夫だよ。ああ、だから急いで拘束しなくちゃね。」
そう言うと岸谷はクローゼットからスーツケースを持ち出して来て開く。中には拘束の道具やいわゆる大人のおもちゃが無造作に入っていた。
岸谷 「本当はね、睡眠薬で眠ってもらっても良かったんだけど、光は綺麗だから表情も楽しみたいし、声も可愛いから勿体無いなって思って。光の甘美に喘ぐ声聞きたいじゃない?」
岸谷は想像しているのか、ニヤニヤと笑いながら手錠と足枷をスーツケースから取り出す。
光 「嫌だ!やめろっ!」
な、なんやこいつ。・・・声は出る。けど、身体が動かん。
光は一気に頭を回転させて、ここから逃げ出す手段を色々考えていたが、あっという間に手足を拘束され、ベッドにくくりつけられてしまった。
岸谷は光に馬乗りに跨ると、光の頭の両側に手をついて真上から見つめる。
岸谷 「やっと夢が叶うよ。今日ね、あそこにいたのは偶然なんかじゃないんだよ?ずっと前から光のこと調べて計画して、待ち伏せしていたんだ。」
光は下から岸谷を睨みつけていた。
岸谷 「そんな怖い顔しないで。」
岸谷は光の唇を指でなそると、ペロリと舐めた。
光 「やめろっ!・・・んぐっ!」
抵抗しようとする光の頬を、親指と人差し指で両側から挟み強く押さえると、唇を重ね歯列を割って舌を挿し入れた。光の口腔内を舌で舐めまわす。その間に空いた手でシャツのボタンを全て外してしまった。
やっと唇が離れると、光は吐き気がして咳き込んだ。
光 「うえっ・・・ごほっごほっ・・・な、なんで・・・?俺、男やのに。」
岸谷 「あれ?光は男同士でエッチしたことないの?」
光 「あっ、あるわけないやろ!!」
岸谷 「なぁんだ、もっと遊んでるのかと思ったよ。じゃぁ、優しくしてあげるね。」
岸谷は、ボタンを外した光のシャツの前を全開にすると、その白くきめ細やかな素肌を掌で撫でまわし、首筋を舌で舐め上げた。
光 「うえっ!」
岸谷 「本当に綺麗だね。掌に吸いついてくるようだよ。やっと僕のものになるんだ。うれしいな。」
光 「お、お前のものになんか、ならんっ!」
岸谷 「ふふっ。いつまでそんな強がりを言っていられるかな?僕を欲しくて欲しくてたまらなくしてあげるよ。時間はたっぷりあるんだからね。」
岸谷は光のジーンズのベルトを外しジッパーを下ろすと、光のそれに指先で触れる。
光は岸谷の手の動きも指の動きも、吐きそうなくらい気持ちが悪かった。
岸谷 「初めての光でもすぐに気持ち良くなれるように、淫靡剤使おうかな?これね、この間使った子は、気持ち良すぎてお漏らししちゃったんだよ。強力なの。あぁ、光が快感で乱れるところ、早く見たいな。」
岸谷はそう言いながら、スーツケースから怪しげな小瓶を取り出した。
光 「いやだっ!」
光はまだ全身が痺れていたが、少し身体が動くようになっていた。しかし拘束されているために、結局は手足をバタバタさせることしができない。
なんで俺、こんなことになってるんや?
軽率だった自分の行動が悔しくて、涙がこみあげてくる。
いやや。こんな奴にキスされたり、セックスなんて。気持ち悪いだけや。
紫苑のキスと全然ちゃう。
紫苑・・・紫苑、紫苑、紫苑に・・・会いたい。
岸谷 「あれ?うれしくて泣いているの?・・・さぁ、僕の光。口を開いて。」
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