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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
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光はバイトが終わった後、スイートポテトへ向かう前に、一度家に帰って柚子にごはんを与えてから家を出ようとしていた。
しかし、玄関の扉を開くと同時にピカピカッとした稲光に照らされ、大きな雷鳴が鳴り響いた。
その瞬間、光は動けなくなった。しかし、光を見送りに玄関まで来ていた柚子は、その雷の音に驚き外に飛び出してしまったのだ。
柚子が光の足もとをすり抜けたのに、光は柚子を捕える事ができなかった。
少しの間があって、やっと光は我に帰り、慌てて柚子を探しに外に出たのだ。
腰をかがめ、柚子を探しながら歩き回ったが見つからず、そうこうしているうちに雷雲はだんだんと近づいてきていて、光の心はどんどん追いつめられていった。


あの日、亮太は「光が行くな言うなら俺、行かんから。ライブ1本吹っ飛ばしたって、光が大事やから。」そう言ったのだ。でも、光は亮太を行かせてしまった。

光は子供の頃からずっと一緒だった亮太のことが大好きだった。亮太がいれば彼女なんていらなかった。だけど・・・。亮太にキスをされて、好きだと気持ちを打ち明けられた時・・・迷った。亮太は光が欲しいと、セックスをしたいくらい好きだと言った。でも光は自分の好きが亮太と同じかどうかわからなかった。男同士でそんなのおかしいと思った。
そんな時、卓哉が現れて亮太に猛アタックをした。
光への気持ちが受け入れてもらえず落ち込んでいた亮太は、自分を本気で好きと言ってくる卓哉を受け入れた。そして1度だけ寝たと言ったのだ。
光はそれを聞かされ傷ついていた。自分の気持ちも整理できずにいたそのライブの日、卓哉は「亮太が迎えにこなければライブに出ない」と言ってきたのだ。

あの日、光が亮太を行かせなければ、亮太は死ななかった。
それから光はずっと自分を責め続けていた。亮太を死なせてしまったのは自分のせいだと。


まだ雨は降っていなかったけれど、雷の音はどんどん近付いて大きくなっていた。
柚子も見つからない。光は息苦しくなってその場に座り込んでしまった。
真っ黒な恐怖に押しつぶされそうで、ただ震えていた。
気が遠くなり意識が薄れてきた時、突然何か温かいものに包まれた。

・・・紫苑?
なんで紫苑がここにおるんやろ?

不思議に思うも言葉は口から出てこない。
紫苑はゆっくり光の背中を擦って、「大丈夫だから」という。
光は朦朧としながらも少しずつ意識が過去から現在へと戻されていくのを感じていた。
そして、紫苑に何度も口を塞がれ、ゆっくり吐きだしながら呼吸のリズムを取り戻したのだ。


紫苑に抱きかかえられるようにして、やっと光のアパートに到着した。
外階段を登ろうとすると、階段の下に柚子が座っているのが見えた。
柚子を見た紫苑は、なぜか少し驚いていたようだった。

光  「紫苑、柚子や・・・ほんまや、家に帰って来とったな。」

光は嬉しくて笑顔を向けると、紫苑は少しだけ口角を上げて笑ったようだ。
そして柚子を抱きあげると光に渡した。

紫苑 「よかったですね。」
光  「紫苑の言った通りや。・・・柚子・・・ごめんな。怖かったやろ?」

柚子を抱きしめた光は紫苑に促されて階段を登り、部屋に入った。
光の部屋は1Kだ。玄関を入ると浴室とトイレ、扉を開くとその奥にキッチンがあってすぐにベッドルーム。
光は部屋に入ると紫苑にタオルを渡し、自分は別のタオルで腕の中にいる柚子を包むようにして拭いていた。

光  「柚子・・・ごめんな。ほんま、ごめんな。」
紫苑 「柚子は怒っていませんよ。それよりあんたが風邪引きますよ。」

紫苑はそう言って、自分が使っていたタオルで、光の髪をガシガシと拭く。

光  「紫苑・・・ありがとう。」
紫苑 「・・・いいえ。・・・唇の色も戻ってきましたね。よかった。」

紫苑は目を細めて、光の唇を親指でなぞる。光はそんな紫苑を見上げて聞いてみた。

光  「・・・そやけど、どうして紫苑は俺にキスするんや?」
紫苑 「はぁ!?・・・さっきはちゃんと呼吸してほしかったから・・・人口呼吸みたいなもんです。キスじゃない。」
光  「ほんなら・・・ライブん時は?」
紫苑 「あれはっ・・・。あんたがちっとも俺のベース聞いてないから、ムカついて。」
光  「嫌がらせでキスしおったんか?」
紫苑 「だからっ!キスじゃありませんって、あんなの。両手が塞がってたからつついただけです。」
光  「なんやねんそれ・・・俺の唇奪っておいて。」
紫苑 「なっ!あんただって朝、寝ぼけてキスしてきたくせに。」
光  「あ、あれは、柚子やと思って・・・。」
紫苑 「おあいこです。どうせ、あんた遊びまくってるんでしょ?あれくらい・・・」
光  「何言うとんねん。お前で二人目やっ!」
紫苑 「!?」

光は、勢いで言ってしまってから後悔した。
紫苑が、明らかにムッとした顔をしていたからだ。
光がその瞳を見つめたまま動けずにいると、紫苑は光の頬を両手で包み、腰を屈めて唇を重ねてきた。ぽかんと唇を半開きにしていた光の口腔内に紫苑の舌が入り込んでくる。
その舌は熱を帯びていて生き物のように光の中で暴れた。上あごを舐め、舌を絡める。
光は訳も分からず、ドキドキと心臓が波打ち息苦しくなって、吐く息とともに声が漏れた。

光  「んっ・・・はぁ・・・んぁ・・・・はんっ・・・」

やっと唇が離れると、紫苑が光をまっすぐに見つめて言う。

紫苑 「これが本当のキスです。」
光  「・・・?」
紫苑 「だから・・・あんたのファーストキスは俺がいただきました。」
光  「!?・・・なっ!何言ってんねん!あほかっ!」
紫苑 「あほって言うな。」
光  「あほやからあほって言うてんねんっ!」
紫苑 「・・・元気、出たみたいですね。・・・俺、帰ります。ちゃんと風呂入って・・・?」

光は、玄関へ向かおうとする紫苑のシャツの裾を思わず掴んでいた。



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