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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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<湊の家・夜 ②>

全員 「かんぱーい!!」
晴樹 「ふぅ~、ほんまライブの後のビールは旨いなぁ。」
湊  「がんばったご褒美や。」
光  「みんな今日は、ほんまごめんな。俺のせいでバタバタさせてしもた。」
晴樹 「いつものことや。コーヒーでチャラやで。」
彰仁 「あ、オレンジジュース美味しかったです。」
湊  「ぷぷっ。なんやねんそれ?っていうか、そのお陰で紫苑くんのベース聴けたんや。暁には悪いけど、ラッキーやったんちゃうん?」
晴樹 「ほんまやなー。紫苑くん今日はほんま、ありがとう。」
紫苑 「いえ。」

Lumie`re (リュミエール)のメンバーとは、ほぼ今日が初対面の紫苑は、こんな打ち上げの場で、自分をどうして良いのか持て余していた。ここに来ることになったのも、湊にライブ中の光とのキスのことを仄めかされ、ほとんど強引に参加させられていたのだ。

晴樹 「ほな、今日のライブビデオ観ようか?」
彰仁 「見たい見たい!」
湊  「アキの正式メンバーになった記念ライブやからな。」
光  「え?今見んでもええんちゃう?」
晴樹 「何言うてんねん。いつもはももが最初に観よう言いだすやん。」
光  「そ、そうやけど・・・し、紫苑もおるし。」
紫苑 「あ、俺邪魔ですか?」
光  「あっ!ちゃうねん、そういうことやないねん。」
湊  「くくっ。ももどないしたん?今見たらあかんの?」
光  「あ、あかんことないけど・・・」
晴樹 「あ~もう、うるさい。かけるで。」

みんなで大きなテレビの前にあるソファのまわりに集まり、ライブビデオを見ることになった。紫苑はそのソファの後ろにリビングの椅子を持っていき少し離れて座る。
光は、ソファに寄りかかり胡坐をかいてクッションを抱えこんだ。
光は紫苑が来てからまだ一度も目を合わせていない。どんな顔して見たらいいのかわからないのだ。

ライブビデオを見ながら、演奏のことやお互いのパフォーマンスのことなどを、ワイワイガヤガヤと話しているメンバー。
紫苑はそんなやり取りを少し引いたところから見ていた。
人づきあいが苦手な紫苑は、誰かとこんな風に親しく話した記憶はない。家族とさえも。

しばらくして、湊が紫苑の横に椅子を持ってきて座った。

湊  「なぁ、紫苑くんは今バンドやってへんの?」
紫苑 「フリーです。っていうか、やるつもりないです。」
湊  「組んだことは、あるん?」
紫苑 「はい。1年足らずで解散しました。腕も未熟だったし、人間的にも・・・」
湊  「うちで、やらへん?」
紫苑 「へっ!?」
湊  「Lumie`re (リュミエール)のベースやらへん?」

紫苑はテレビの前に座っている光に視線を向けた。

湊  「ももも紫苑くんの音、欲しいって言うてたで。」
紫苑 「あの人、俺のベース聴いてませんでしたよ。」
湊  「前半はな。そやけど後半は、紫苑くんでいっぱいになってたやん。」
紫苑 「あれは・・・」
湊  「かなり強引やったけどな?・・・そやけど、今のももにはあんくらい強引やないとあかんねん。」
紫苑 「はぁ。・・・サポートならしますよ。店長にも言われてるし。」
湊  「そうやなくて、正式メンバー。」
紫苑 「それは・・・ないです。人と関わるの苦手なんで。」
湊  「そんなん、付き合ってみなわからんで。」
紫苑 「それに皆さん、メジャー目指してるんですよね?俺は、有名になったり目だったりしたくないんです。」
湊  「紫苑くん、めっちゃ目立ってるやん。」
紫苑 「だからっ!・・・あっ、すみません。だから嫌なんです。」
湊  「なんか事情あるんやろな。・・・ほんなら、これからスイートポテトで月1ライブすることになってんねんけど、そのサポートしてくれへん?」
紫苑 「それなら・・・。」

ライブビデオはいつの間にか終わって、海外のミュージックビデオが流れていた。
そして・・・全員爆睡してるし。


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