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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
また、ここに記されている内容はオリジナルですので
著作権は作者にあります。勝手に使用しないでくださいね。
【18禁表現を含みます】


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<病院・夕方>
昨年のクリスマスに、佳苗とショウと望のそれぞれの人格と時間を過ごし、色々な発見があった。
佳苗はずいぶん明るい子になったし、
俺のショウに対する愛しいと思う気持ちは兄弟愛にとどまらないことを思い知らされた。
そして望。・・・望は、空っぽだった。
3歳から17歳まで眠り続けていたのだから、当たり前なのだろうが、ショウや佳苗のような思い出が何もない。
3歳までの記憶もほとんどないという。俺に対してもどこか他人行儀だ。
佳苗が前日、あんなに喜んではしゃいでいた夢の国にもほとんど興味を示さず、クリスマスを楽しむ様子もなく早めに帰宅することになった。話もほとんどできなかった。

あの日から、喉に刺さった魚の骨のように、俺の中にはずっと違和感があった。
しかし、それが何だかわからない。
正月明け、診察時間が終わった頃、神田先生の病院を訪ねた。

宗一郎「お忙しいところすみません。」
神田 「いや、私も今後の事を相談しなければと思いたところです。田崎君にも来てもらいました。」
田崎 「どうも。その後どうですか?望君の様子は。」
宗一郎「それが・・良く分からなくなってしまって。」

俺は、近況を話した。
佳苗はだいぶ割り切れた風で、叔父貴と偶然会っても取り乱すことはなかったことや、
自慰に対しても前ほど嫌悪を示さなくなったこと、そして性格も明るくなったことなど。
望は、普通に生活するには特に不自由がないほどに成長したこと、ただ望には何の記憶もないことなど。
ショウは、望が眠りから覚めたことで、バランスを崩し情緒不安定になったり
ふたりのコントロールが前ほど容易ではなくなったことなど。
そして・・・幼い頃から、俺が望だと思って接してきた相手は実はショウであったこと。
3歳以前からだ。もしかしたら生まれた時からなのではと思うほどに。

田崎 「そうですか・・・。多重人格の治療としては、以前は人格の統合が推進されてきましたが、最近では、それよりもそれぞれの人格がトラウマを受け止め協力し合って生きていくことを重視する傾向もあります。今後の事については本人の意思に沿うよう勧めていきたいと思うのですが。望君の場合、幸い凶悪な人格など社会生活において支障をきたすことはないようなので、今のまま3人がお互いを受け入れ相談しながら生きていくということもできると思うのです。ただ、主の人格が性別の違う佳苗さんというところで、大人になるにつれ問題が大きくなっていくのではないかとも思われるのです。」
宗一郎「・・・あの、人格の統合がされると今の3人はどうなるのですか?」
田崎 「それは・・・正直わかりません。基本的人格の望君に他の二人が取り込まれるような形になるのか、それとも・・・」
宗一郎「ショウにも佳苗にも会えなくなるということですか?」
田崎 「・・・佳苗さんもショウ君も望君の心の一部です。本来表に出ることはなかった。」
宗一郎「・・・」
神田 「まぁ、まだそこまで急ぐこともないでしょう。その前に花柳家の問題があります。そもそもの原因と思われる、母上の美鈴さんとのトラウマを解決できていないのですから。」
宗一郎「・・・そうですね。虐待を受けていたというのも望ではなくショウだと聞きました。では、佳苗が死んだときの母さんの罵倒を受けたのは、本当に望だったのでしょうか?それもショウだったのでは?」
田崎 「それは・・・どうでしょうか。なぜ、望君が3歳のまま眠ることになったのか、そこがわかりません。」

そんな出口のない迷路に入り込んでしまったような話をしていると、病院の電話のベルが鳴った。
しばらくすると電話を切った神田先生が少し慌てて戻ってきた。

神田 「お父上からです。佳苗さんが手首を切ったと。」
宗一郎「!?」
神田 「あっ、幸い傷は浅く止血できたようです。今から花柳家に伺うことになりました。」
宗一郎「じゃぁ、私の車で。」
神田 「運転、大丈夫ですか?」
宗一郎「はい。」
田崎 「私も、ご一緒してよろしいでしょうか?」
神田 「そうですね。」
宗一郎「お願いします。」

急いで車の準備をして3人で我が家を目指した。



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<風呂・夜>
まだ、佳苗が生きていたころ小さな望と佳苗と3人でよく一緒に風呂に入った。
ふたりとも、いつも大はしゃぎで、おもちゃを持ち込み遊んだり、お互いの身体を洗ったりして楽しかったな。
俺は湯船につかりながら、幸せだったあのころを思い出していた。

ショウ「ねぇ、宗兄覚えてる?」

身体を泡だらけにしながらショウが言う。
つい先ほど佳苗が風呂に入ったのだから、そんなに洗わなくてもいいのにな。

ショウ「3人でお風呂に入ってると、佳苗がいっつも「あたちもオ●ン●ンほちい!」って言って、宗兄や俺のをひっぱってたよね。」
宗一郎「あぁ!そうだったなぁ。俺はお年頃でそんなことされたら反応しちゃうっていうのに、子供は容赦ないからな。」
ショウ「ぶはははっ!俺も今ならわかるけど、あの頃は「僕もお兄ちゃんみたいに大きくなるのがいいっ!」って佳苗に加担してた。ははははっ」
宗一郎「まったく、あの時は、双子の団結力って怖いなって思ったよ。それに大きくなるのを知ってる3歳児ってどうなんだ?」
ショウ「あははははっ!」
宗一郎「・・・?3人で一緒に風呂に入ってた頃の望も、お前だったのか?」
ショウ「うん。懐かしいね。はははっ。」

ショウは笑いながら湯船に入ってきた。
俺は手を伸ばしてショウの身体を引き寄せると後ろから抱きしめ、
肩に顎を載せて頬ずりをする。

宗一郎「・・・この身体が、3つあったらいいのにな。」
ショウ「・・・宗兄?」

俺は後ろからショウを抱きかかえたまま、お湯の中で身体を撫でまわした。
左手で左手を絡め取り一本ずつ指を口に含み舌で舐める。
右手は内腿を何度も上下させ、さするように触れる。
するとショウのそこはすぐに反応し、ムクムクと膨らんで体積を増やした。
俺はそれを確認すると、ショウの身体を少しねじらせ唇を重ね、
指先で胸の突起をつまんだ。

ショウ「んっ!」

ショウの吐息が漏れるとともに、ペニスがぴくんと反応するのを視界の端にとらえる。

何故だろう?おれはショウが愛しくてたまらない。
佳苗に対してこんな気持ちにはならないし、こんなことをする気にもなれない。
俺は、望と佳苗が生まれた時から、望が愛おしくて仕方なかった。
母親の美鈴が佳苗を溺愛しているのを横目でみつつ、俺は望を溺愛していたのだ。

俺は立ち上がり、ショウの身体を抱き起こすと、湯船の縁にある出窓に腰掛けさせる。
眩しそうに俺を見上げるショウの顎に軽く手を添えると口づけをした。
深く深く、ショウを愛しいと思う気持ちをそこから注ぎ込むように舌を絡める。
そして、その舌を、首筋に・・・肩に・・・胸に乳首に這わせていく。
乳首を舌の先でつつき、軽く噛んでは舐める。

ショウ「・・・んぁはっ・・・お・・にいちゃ・・あんっ!」

ショウの甘ったるい声が耳の奥に響く。
更に舌を腹に内腿に這わせるとショウの身体は小刻みに跳ねる。
両足を思い切り開きその中央に膝をついて、すでに立ち上がり先端から透明の液を垂らしたペニスをペロリと舐めた。

ショウ「あぁんっ!」

ショウの両手が俺の髪をつかんだ。
俺は目の前にある袋を手のひらで包み込むようにもみながら、
そそり立ったペニスの裏筋を舐め上げ先端から口に含んだ。

ショウ「はぁっ・・はぁ・・・はぁ・・・・」

ショウは荒い吐息に合わせ両足を上下させお湯を揺らす。
俺は咥えたペニスを吸い上げては喉まで飲み込む。
じゅぷじゅぷといやらしい音を風呂中に響かせながら。

ショウ「はぁ・・・お兄ちゃん・・・俺も・・・したい・・・」

俺が立ち上がるとショウは俺のペニスの先端をペロペロと舐める。
たどたどしくて優しすぎる舌のタッチが、焦らされているかのように俺の欲望を煽る。

宗一郎「はぁ・・・手でゴシゴシしながらもっと、強く吸って・・・」
ショウ「うん。・・・んんっ・・・んっ・・・」

じゅぷっ・・・じゅ・・くちゅ・・・くちゅ・・・

宗一郎「・・・あぁ・・・上手だ・・・気持ちいい」

ふと窓の外をみると、夢の国のお城がライティングされていて綺麗だ。
このまま、ショウとふたりで、あのお城に住めたらいいのに。
ふたりっきりの世界。
そこにいるのは小人たちなのか?それとも魔女か?

俺はショウの頭を両手で押さえると、少し激しく腰を揺らし、じゅぷんっとその口からペニス抜きとった。

宗一郎「ショウ、一緒に気持ち良くなろう。」
ショウ「うん。」

バシャーンと湯船を出ると、洗い場にあるマットの上に向かいあって腰を下ろす。
唇を重ね舌を絡ませ、お互いのペニスをしごく。
キスの合間にどちらともなく吐息を漏らし、更に求めあう。
もっと、もっと・・・もっとショウが欲しい。
この身体がショウだけのものであったら、俺はその場で押し倒しその身体を無理やりにでも開らかせていたかもしれない。
叶えられることのない願いに少しでも近付きたくて、ショウを更に抱き寄せ、二本のペニスを会わせて握りしめしごいた。
ショウはそれに応えるように俺の背中に腕をまわし密着する。

ショウ「あぁんっ・・・あんっ・・・おにい・・・たん・・はぁん」
宗一郎「・・・愛してる。・・・はぁ・・・あぁ・・・」
ショウ「うんっ・・・うんっ・・・あぁ。・・・イきそっ・・・うっ・・」
宗一郎「はぁっ・・・あぁ・・・俺もっ・・・・」

更にペニスを握る手のスピードを上げ、抱き合いながら欲望を吐き出す。
そのふたりの白い液体は、お互いの身体に飛び散り更に洗い場に敷かれたマットに流れる。
マットに描かれている夢の国のキャラクターたちが精液まみれだ。

宗一郎「・・・佳苗が見たら激怒しそうだ・・・」
ショウ「うん。佳苗だけじゃなくて全国の・・・全世界のファンの皆さんにもね?」
宗一郎「うっ!・・・まずい。急いでシャワーで流そう!」
ショウ「ぷっ!あははははっ。」
宗一郎「はははははっ。」

俺たちは、この幸せなな時間が、砂時計の砂が落ちるように早く、限られたものであることを見ないように、ふたりで大声で笑った。


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ショウ「宗兄・・・」

瞼を開いたショウの瞳には溢れんばかりの涙がたまっている。
・・・震えているのか?

宗一郎「ショウ?どうした?」
ショウ「・・・お・・俺・・・」

俺の胸に顔を埋めしゃくりあげ、時折嗚咽を漏らす。

宗一郎「いい。無理して話さなくていい。思い切り泣け。遠慮するな。」

俺は、ショウを強く抱きしめ、背中を軽くたたいたり撫でたりしながら、落ち着くのを待った。
しばらくすると、ショウの呼吸が少し穏やかになったきた。

ショウ「ごめん。・・・俺、最近少し変なんだ。」
宗一郎「大丈夫か?・・・変ってどういうことだ?」
ショウ「・・・何もかも、コントロールがきかなくなってきた。」

夏の治療で眠っていた望を起こし成長を助け、佳苗に対しては望を演じながらコミュニケーションをとってきたショウ。
ずっと望と佳苗のピンチを助け、うまくコントロールしてきたが、最近は今までのようにはいかず、ショウの心理も不安定になっているという。
さっき、佳苗も言っていたが、眠らせたはずの佳苗の意識が起きたままになっていて、望のふりをしているショウの行動を見ていたり、時々望が勝手に外に出たりしているようだ。
更に、小5の夏の事を佳苗が思いだしてからというもの、その時の苦痛がよみがえり、
今日、偶然会ってしまった叔父貴の顔を見てから恐怖に囚われてしまっていたという。
どうやら、望を起こしたことにより3人の人格のバランスが崩れてきているようだ。
叔父貴の顔をみてパニックになったのは、佳苗ではなくショウ・・・どうなっているのだ?
次の治療の時に田崎先生に相談してみようか。

ショウ「ねぇ、宗兄。」
宗一郎「ん?」
ショウ「一緒に、お風呂に入ろう。」
宗一郎「・・・まったく、お前たちはどうしてそんなに俺と一緒に風呂に入りたがるんだ?」
ショウ「・・・わからないけど、子供の時は良く一緒に入って身体を洗ってくれたよね。」
宗一郎「!?・・・ショウにも一緒に風呂に入った記憶があるのか?」
ショウ「うん。楽しかったし嬉しかったんだ。」
宗一郎「よしっ!じゃぁ一緒に入るか?」
ショウ「うん!!」

なんだろう?
何か一瞬、見えた気がしたのだが、それが何だかわからない。
望と佳苗と、そしてショウ。
望の身体のなかでいったい何が起きて、どうなろうとしているのだろうか・・・?



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<ホテル・夜>
クリスマスイブに、30になろうという男が
デートスポット人気NO.1の遊園地で妹とデートというのもどうかと思うが、
今日は、佳苗について色々な発見もあった一日だった。
1週間前に友人から譲り受けたチケットとホテル宿泊券。
友人は恋人と過ごすために1年前から予約していたそうだが、なんと直前にふられてしまったらしい。
その相談を受けた時、俺は佳苗と望と、そしてショウと過ごすために良い機会かもしれないと思ったのだ。
夏に目覚めた時には、3歳だった望は、
ショウの教育のお陰で中学生くらいの知識と生活能力をみせるまでに成長していた。
そんな望と少しゆっくり話しもしてみたかったし、ショウと今後のことを相談する必要もあった。

しかし、ホテルに向かう途中、まさか芳明の叔父貴と会うとは、なんという偶然だろうか。
佳苗を連れていなかったら、一発殴ってしまっていたかもしれない。
叔父貴は、小5の佳苗を襲う前に、佳苗が実は望なのだと感づいていたはずだ。
そして、その後着々と自分の娘の恵理子を花柳家の養女にする計画を立てていたのだろう。
実は、花柳家のクリスマスは、毎年各界からの依頼が殺到し、かなり忙しい。
昨年までは、佳苗も駆り出されていたが、今年、母さんは佳苗ではなく恵理子を連れて現場にでている。
それを思うと、今日佳苗が楽しめる時間を過ごせたことは本当によかったと思う。

ホテルの部屋に入ると、そこはまた夢の国そのものだった。
確かにクリスマスに恋人をこんなところに連れてきたら、喜ぶことだろう。
そう言えば、俺はそんなサプライズのようなことはしたことがなかったな。
佳苗は、ベッドに置いてあったキャラクターのぬいぐるみを片手に抱いたまま
部屋中を探検している。

佳苗 「お兄様!お風呂が素敵です。ジャグジーもついていて、キャラクターたちがいっぱいいます。」
宗一郎「そうか、それはよかったな。佳苗先にお風呂入っていいぞ。」
佳苗 「お兄様も一緒に入りましょう。」
宗一郎「えっ!?」

俺は驚いて風呂の方をみると、にこにこしながら佳苗がこちらに向かってくる。
そして、抱えているぬいぐるみを俺に向けて、声色を変えて言う。

佳苗 「ねぇねぇ、佳苗ちゃんと一緒にお風呂にはいろうよ~」
宗一郎「おっ、俺は後でいいから、ゆっくり入ってきなさい。」

まったく無邪気に何を言っているんだ。大人なのか子供なのか。

佳苗 「どうしてですか?望ちゃんとは一緒に入るのに。」
宗一郎「そ、それは、望とは男同士だから。」
佳苗 「私は、お兄様となら平気です。」
宗一郎「い、いや、俺が恥ずかしいだろ。うん。女の子の佳苗に見られるのはな。」
佳苗 「・・・私、何度もみてますよ。」
宗一郎「はぁ!?」
佳苗 「お兄様と望ちゃんがしているところも、お風呂に入っているところも。」
宗一郎「えっ?・・・いつから?」
佳苗 「秋くらいからです。私、お部屋で起きていることも多いし、最近、頭痛と耳鳴りの他にも、
頭の中でよく話し声も聞こえるんです。何を話しているかはわかりませんけど。」
宗一郎「・・・そうだったのか。とは言っても一緒に風呂は無理だ、早く入ってきなさい。」
佳苗 「・・・はーい。わかりました。」

佳苗は着替えを持って風呂に向かった。
佳苗の言う、望とはきっとショウのことだろう。望の存在にはまだ気づいていないようだが、
話し声が聞こえるというのは、ショウと望の話しなのかもしれない。
しかし、佳苗は何を思って一緒に風呂に入りたいなどと言ったのだろう。
佳苗が、夏に催眠療法で叔父貴のことを思い出した時にはどうなることかと思ったが、
逆にあれから少し性格が明るくなったように感じる。
今日の偶然にも、佳苗がパニックにでもなったらと気が気ではなかったが、俺より平静だったくらいだ。
ふっきれたというのか・・・トラウマである原因を受け止めたからだろうか?
田崎先生も人格が分裂した原因を受け入れ克服していくことが治療になると言っていたな。

夜も更ける頃、佳苗は薬を飲んでベッドに入り眠りについた。

佳苗 「お兄様、今日は本当にありがとうございました。おやすみなさい。」
宗一郎「俺も、楽しかった。佳苗、大好きだよ。おやすみ。」

俺は腕枕をして、佳苗のおでこにキスをした。
しばらくして佳苗の寝息が聞こえてくると、ショウがぱちりと瞼を開いた。



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<宗一郎の部屋・夜>
1週間前に知った事実に、俺は正直混乱していた。
叔父の佳苗への性的虐待。しかも1度きりではなかったということを後で聞かされた。
そして、今まで望だと思って接してきた相手は、ショウという別の人格であったこと。
更に、望はまだ3歳だという。

今日の昼間、佳苗と共に神田病院へ行ってきた。
田崎先生の治療を受け、ショウの協力のもと、3歳の望と対面することが出来た。
それは、ショウの演技などではなく、本当にあの時のままの望だった。
最初は、蝋人形のような無表情だったが、田崎先生が噛み砕いて現状を説明し、
俺と対面することとなった。
望は、身体は17歳なのに、幼児のあどけない表情で俺を見つめた。
俺はただただ、望を抱きしめて謝ることしかできなかった。
望みを守ると約束したのに、少しも守ってやれていなかったこと。
佳苗になれと言ったこと。
そして、望をどれほど愛しているかということを伝えた。
しばらくすると、望はやっと俺の腕の中で泣いた。
3歳のあの時の悲しみの分も、その後の14年間の苦しみの分も、
涙が枯れるほど声が枯れるほど大きな声で泣いた。
俺はそれが、とても嬉しかった。
望はそのまま泣き疲れて眠りについてしまった。

その後、田崎先生と神田先生と、そしてショウと話をした。
3歳の望に読み書きをはじめ、生活に必要な情報を与え教育することを
ショウが約束してくれた。
ショウは、望と話ができるらしい。
ただし、佳苗にはまだ秘密にしておくこととなった。
佳苗の意識がある時は、ショウは望を眠らせ自分が望として行動することとした。

宗一郎「ふぅ~」

俺は大きなため息をついてベッドに横になった。
するとドアがノックされる。

宗一郎「佳苗か?どうぞ。」
ショウ「起きてる?あっ、ショウだけど。」

入ってきたのはショウだった。

宗一郎「!?・・・佳苗は?」
ショウ「あぁ、眠っているから大丈夫。本当は俺、自由に出てくることが出来るんだ。
ただ、俺が出ていると、佳苗の記憶が途切れるから、あまり出てこないようにしているだけ。」
宗一郎「そうなのか・・・。でも、佳苗が部屋で起きていれば見えるんだろ?」
ショウ「うん。だから普段は気をつけてね。今は眠らせているから大丈夫。もちろん、望も。」
宗一郎「なぁ、ショウ・・・俺に何か出来ることはないか?」
ショウ「・・・あんたは、今まで通り、望と佳苗を愛していればいい。」
宗一郎「それは、もちろんだが・・・お前は?」
ショウ「おれ?・・・俺は望と佳苗の兄貴って感じ?あんたの分身みたいだな。ははっ」
宗一郎「イヤ、お前は望だ。俺じゃない。だから・・・お前も俺に甘えればいい。」
ショウ「・・・?な、なんでそんなこと言う?」
宗一郎「俺は、お前も愛している。望も佳苗もショウも同じだ。」
ショウ「・・・」
宗一郎「ショウが、今まで望と佳苗を守ってきたんだろ?辛いことにも悲しいことにも耐えて。」
ショウ「・・・」
宗一郎「だから、俺の前ではもっと甘えたらいい。お前も俺の弟なんだからな。」
ショウ「・・・」

ショウは俯いて泣いていた。
今まで、どれだけの苦しみを背負ってきたのかと思うと俺の胸もただただ苦しい。
俺はショウを強く抱きしめた。



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