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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
<妄想>です。
実在する地名・人名・団体名が登場しても、それは偶然ですので、まったく関係ありません。
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<会社・夜>
こうして、どういうわけか俺は見ず知らずの少年を会社に連れて帰ることになった。
会社に着くと、少年は物珍しそうに部屋の中を見回している。

中村 「書類には触るなよ~。あと、このソファー動かすの手伝ってくれ」
少年 「えー?今から模様替え?」
中村 「違うよ。まぁ、いいからいいから。」

応接室・・・というか応接スペースから自分の机の横にソファーを移動し、
窓に向けてセッティングする。
机にコンビニで買ってきたものを広げる。

中村 「腹へってないか?おにぎり食べていいぞ。飲み物は・・・」
少年 「俺、この牛乳でいいよ。それから、猫にこんな牛乳あげたらだめなんだよ」
中村 「ええつ!?なんで?」
少年 「あの猫、子猫じゃないんだから牛乳必要ないし、
牛乳の中の成分で消化不良起こして下痢になる。」
中村 「そうなのか?知らなかった。猫には牛乳とばかり・・・」
少年 「まぁ、下痢しない猫もいるみたいだけどね。おかかのおにぎりいただきまーす」
中村 「はい、どーぞ。電気消すぞ」
少年 「!?」

そして俺は入口付近にある電気のスイッチを消すと、
つまずかないようにゆっくりソファーに近づき、ビールのプルタブを開けて座った。
ちょうどそのタイミングで花火が打ちあがった。
ドドーン!ドドドドーン!!

中村 「よっし、今年も花火見えるぞー」

実は昨年、残業をしていたとき、何気なく窓の外を覗くとビル群の狭間に花火が見えた
のだ。ほんの小さな隙間に見える花火は万華鏡をのぞいたときと少し似ている。
ビルの窓ガラスに反射した花火と実際の花火が予想もしない形に見えて、なんだか少し
ドキドキするんだ。

少年 「花火?ここから見えるの?」

そう言って、おにぎりをほおばりながら、窓に近づいて外を覗き込む。
少年「見えないじゃん。ビルがいっぱい見えるだけだよー。おじさんのうそつき~」

少年は、口をとがらせながら振り向く。
その様子が可愛らしくて、つい頬が緩んでしまう。

中村 「この、ポジションじゃないと見えないんだ。
    それと、おじさんは勘弁してくれ。これでもまだ33歳だ。
    俺は、中村 聡。君は?」
少年 「なかむら さとし?俺は・・・しのぶ」
中村 「しのぶくん?・・・こっちに来てご覧」

しのぶは俺の横に腰掛けて窓の外を見るが、やはりそこからでは見えない。
花火が見えるスペースは本当に狭いのだ。
俺は自分の両腕を伸ばして、見える範囲を示した。

中村 「もっとこっち、ここからここまでくらいかな」
しのぶ「もっと?」

しのぶは、身体を俺にぴたりと合わせて顔だけ寄せてきた。
俺の右腕に顎を載せて、ほとんど俺の顔と被ることになる。
しのぶの柔らかい髪が鼻先をくすぐる。
どどどーん!どーん!!

しのぶ「うわぁ!見えた!!」

そう言うと満面の笑顔で振りかえり俺を見上げる。
危うくキスしそうな距離だ。
一瞬、時間が止まったかのようにふたり見つめ合った。
ドーン!!
その時、大きな花火が上がって我に返った。俺は少し焦っていた。

中村 「ははっ。本当にわずかな狭間にしか見えないんだよな」
しのぶ「じゃぁ、俺、中村さんの後ろのこの背もたれに座るよ。
縦のスペースなら見えるものね。」
中村 「嫌、それは危ないから、・・・ここにおいで」

危ないから?俺は両足を広げてスペースを空け、そこにしのぶを座らせた。

中村 「狭いか?」
しのぶ「うんん。大丈夫。」

俺はしのぶを後ろから抱きしめ、肩に顎を載せると頬が触れあうほどの距離で
窓の外をみた。
そこには、恋人同士のような、しのぶと俺の姿が映っていた。



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