<路地裏・夜>
俺は、花火大会が始まってごったがえする前に夜食を買おうとコンビニに向かった。
ビルの外に出ると、すでに浴衣を着た人たちで賑やかだった。
少しでも人混みを避けようと路地裏を歩いていると猫の鳴き声が聞こえる。
植え込みの陰を覗くと、まっすぐに俺を見つめるふたつの瞳があった。
猫 「にゃぁ~」
中村 「にゃぁ~。おいで」
しゃがんでゆっくりと手を伸ばすと、恐る恐る近寄ってきた。
俺の指に鼻先をこすりつけると、顔をあげてまた鳴く。
そっと抱きあげた。
人に慣れてるな。まだ、子供か?1歳になるかどうか、若いな。
中村 「どうした?迷子になったか?こんな人込みに出て行ったらもみくしゃになるぞ」
猫 「にゃぁ」
中村 「お前、芯のつよそうないい顔してるな。人間なら惚れてたかもしれないな。」
俺は、その猫にキスをした。猫は目をほそめて気持ちよさそうにしている。
中村 「やばい。マジでお持ち帰りしたくなってきた。可愛いなぁ。」
その猫はつぶらな瞳で俺を覗き込む。
中村 「お前が人間だったらな。一緒に花火が見たかったな。
猫ちゃんだからな。ごめんな。今からコンビニ行ってくるから、
ミルク買って帰りにも寄るよ。ここで待ってろ。いいな。」
猫 「にゃぁ。にゃぁ~」
猫を連れてコンビニに行くわけにもいかず、植え込みの陰に猫をおろすと、
後ろ髪を引かれる思いでコンビニに向かった。
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