紫苑は光を連れて部屋に戻り扉を閉めると、少し強引に光を抱きしめた。
光 「っ・・・。紫苑?」
紫苑 「こんな時に・・・あなたと一緒にいられないなんて・・・。」
光 「大丈夫やって。」
紫苑 「・・・二度と離れないって・・・あなたの隣にいるって言ったばかりなのに・・・。」
光 「しゃぁないやんか。今は東京戻ることが大事や。俺は大丈夫やから。」
紫苑 「そんな強がり、俺に通用しません。ベッドで震えてるあなたを抱きしめてあげられない。」
光 「あ、あれは・・・。」
紫苑 「あれは?・・・あれは何?」
光 「あれは・・・。」
紫苑 「俺に抱かれると思って?それが怖かったから?」
光 「ちっ、違うわ。そんなんやない。」
紫苑 「じゃあ、どうして?」
光 「言ったやんか。・・・自分が・・・怖い思ったんや。そやけど、もう大丈夫や。」
紫苑は腕の力を緩める光の顔を覗き込むと、右手を光の頬に添えて自分に向かせ、やさしくキスをした。
紫苑 「やっぱり・・・強引にでも夕べ、あなたを抱けばよかった。」
光 「なっ、何言うてんねん。」
あわてて身体を離す光を引き寄せ抱きしめると、紫苑は光の肩に顔を埋めた。
紫苑 「・・・東京に戻ったら、暫く会えません。」
光 「わかっとる。ほんま大丈夫やから。・・・あんなことそうそうあらへん。」
紫苑 「そう言いますけど、俺と知り合ってから3カ月足らずで、2回ですよ。」
光 「何がや?」
紫苑 「男に襲われそうになったこと。」
光 「たっ、たまたまやろ。もの好きな奴がおっただけや。」
紫苑 「少しは自覚してください。」
紫苑は上半身を少し離して、光の頬に唇に首筋にゆっくりと指先を滑らせる。
紫苑 「ここに・・・ここに・・・ここに・・・触れたいと思う男が沢山いるんです。」
光 「・・・あっ。」
紫苑の指が、更に鎖骨から滑るように胸の突起を捉えると、光は思わず声を漏らした。
光 「あ、あかんやろ・・・」
紫苑 「なんで?」
光 「はよ、行かなっ・・・んっ・・・」
紫苑は、光の言葉を飲み込むようにその唇を塞いだ。薄い唇をなんども食み舌を差し入れる。光も紫苑にしがみつき、ふたりはお互いの吐息を奪い合った。
ほどなくして、上空からバラバラというプロペラの音が聞こえてきた。
莉薗 「紫苑、行くわよー。」
紫苑は仕方なく光から唇を離すと、ほほにキスをした。
光 「俺は、大丈夫や。」
紫苑 「はい。週末のライブには戻ります。」
光 「わかった。あかんかったら暁に頼むから、無理せんでええで。」
紫苑 「好きです。」
光 「俺もや。」
リビングに戻った紫苑をみて莉薗はため息をついた。
莉薗 「まったく、荷物とってくるとかいって手ぶらで戻るか?」
紫苑 「ヘリ呼んだのか?」
莉薗 「セスナと迷ったけど、空港まで行くこと考えたらこっちの方が早いと思って。」
紫苑 「ああ。」
紫苑は気持ちを切り替えたのか、表情が引き締まっていた。
※拍手&ランキングバナーをポチっとしていただけたら嬉しいです♪
↓
小説(BL) ブログランキングへにほんブログ村
コメントの投稿