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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
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<ライブハウス・夕方>

Lumie`re (リュミエール)のリハーサル時間が終了して、メンバーが楽器を片づけ、湊が最終チェックをしていると、今夜の対バンCROSS ROAD のメンバーがドカドカと店に入ってきた。

湊  「あっ、おはようございます。もう、終わりますんで。」
新庄 「マンスリーバンドなのに、随分念入りにリハするんすね。」

CROSS ROADのリーダーでギタリストの新庄は、いきなり牽制をしてきた。
対バンの相手をやたら敵視するバンドも少なくない。特に今夜は2バンドで、相手がマンスリーライブをしているとなると、新参者でありながらも前座扱いをされているようで、新庄は面白くなかった。他のメンバーも同様なのだろう、なんだか態度が悪い。
そこへ、先に楽屋へ引き上げていた彰仁が戻ってきた。

彰仁 「祥くん、何か手伝う?」
湊  「もう、終わったから大丈夫や。」
新庄 「あれ?城田じゃん?なんだ、うちのスカウト蹴ってヘルプしてた関西バンドに入ったんだ?」
彰仁 「・・・新庄、でも、あの時のバンドは解散したんでしょ?」
新庄 「あぁ。ベースの奴が人の女、寝とりやがったからな。」

新庄は、当時を思い出したのか苦々しい顔をする。

新庄 「今のバンドじゃ、お前なんかに頼まなくて良かったよ。このドラムすげぇから。」
湊  「アキ、知り合いなん?」
彰仁 「高校が一緒だったんだ。前にバンドに誘われたことがあって。」
湊  「そうなんや。アキがよそ行かんと、Lumie`re (リュミエール)のメンバーになってくれて、ほんま良かったわ。Lumie`re (リュミエール)には欠かせん色やからな。」

湊の笑顔が怖い・・・と彰仁は思った。

新庄 「よかったな、城田。お前には、そのティッシュペーパーみたいな名前のバンドがお似合いだぜ。」

新庄はそう言うと、さっさと自分のギターのセッティングを始めた。

ブチッ!なんやねんなこいつ。
関西人としては、「エールしか合うとらんやんかっ!」とでも突っ込みたいところやけど、あほすぎてほんまにLumie`re (リュミエール)の意味もわらんのやろ思ったら、笑かしてやるのももったいないわ。

いつも冷静な湊が珍しく苛立っていた。そこへ、光が楽屋から出てきた。

光  「あっ、CROSS ROADの皆さん、おはようございます。」

光はいつものように八重歯を見せて、にっこり笑顔であいさつをするが、CROSS ROADのメンバーは知らんふりだ。光は、雰囲気の悪さを感じていたが、気づかぬふりで湊に声をかけた。

光  「湊、駅前の店でコーヒー買うて来るけど、いつものミルクティーでええか?」
湊  「あ、あぁ、頼むわ。」
光  「アキは?オレンジジュースか?」
彰仁 「俺、カフェモカお願いしていい?」
光  「了解。」
彰仁 「あっ、持ち切れないよね?俺も行こうか?」
光  「今、紫苑も来るから大丈夫や。」

光がそう言うと、丁度タイミング良く紫苑が楽屋から出てきたので、湊と彰仁はすれ違いで楽屋に戻った。

光  「紫苑、今注文とったから、行くで。」
紫苑 「はい。」

その会話を聞き、後を向いてセッティングをしていた新庄が振り向いた。

新庄 「あっれ~?神宮寺紫苑くんじゃん?」
紫苑 「!?」
新庄 「久しぶりだね~。君も関西バンドに入ったんだ?」
紫苑 「サポートです。」
新庄 「ふぅん。なるほど、サポートならいろんなバンドでいろんなメンバーの女寝とれるもんな?モテモテだから、よりどりみどりなんだろ?」
紫苑 「・・・」
光  「な、なんやねんこいつ!?」

光が新庄に掴みかかる勢いだったので、紫苑はあわてて抱きとめた。

紫苑 「光さん!いいんです。」
光  「ええことあるかっ!」
新庄 「本当のことだもんな。あれ?その威勢のいい彼はボーカル?随分美人だね。」
紫苑 「光さん、行きましょう。」

紫苑は新庄を無視し、光の肩を抱いて出口へ向かう。

新庄 「はははっ。女食いあきて男に走ったか?流石、神宮寺の息子だな。あはははっ。」

新庄の品のない笑い声を背に、紫苑は光と一緒に店を出た。


<街・夕方>

光は下唇を噛んだまま、しばらく黙って歩いていたが、突然振り向いて後ろから歩いてくる紫苑に向き合った。

光  「あいつ、なんやねん?」
紫苑 「・・・」
光  「なんで黙っとるん?」
紫苑 「・・・前に少しだけ一緒にバンドやってました。」
光  「揉めて解散したんか?あいつ、紫苑こと目の敵にしてるみたいやん?」
紫苑 「・・・俺が、悪かったんで。」
光  「・・・話たないん?」
紫苑 「・・・今は、ライブ前だから。」
光  「そうか。わかった。ほな、もう聞かん。今夜のライブ楽しもうな?」
紫苑 「はい。」

今日は厄日だな・・・自業自得か。

紫苑は、空を仰いで大きなため息をついた。




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