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響瑠

Author:響瑠
ここに書かれている日記は
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<神宮寺家 応接室・夕方>

紫苑達が到着した屋敷は、よく手入れのされている広い庭の奥にある日本家屋だ。
その屋敷の主は、日本有数の神宮寺グループ社長、神宮寺久遠。

応接室に入り、紫苑と莉薗は並んでソファに腰掛けると、メイドが紅茶を入れてテーブルに置いた。先日、湊の家でご馳走になった紅茶と同じ香りだ。
しばらくすると、神宮寺久遠が187㎝の長身に着物を纏って部屋に入ってきた。
その瞳は漆黒のごとく深く黒い。同じ色の髪をなでつけ、表情は無愛想だが目鼻立ちが整っているせいで涼しげに見える。

神宮寺「久しぶりだな紫苑。」
紫苑 「・・・」
神宮寺「相変わらず愛想がないな。」
紫苑 「あんたに似たんだろ。」
神宮寺「莉薗は呼んでないぞ。」

スルーかよ?人を呼びつけておいて随分な対応だ。

莉薗 「零王(れおん)からメールがあったの。今日、紫苑が来るから一緒に来いって。」
神宮寺「まったく・・・話は聞いたのか?」
莉薗 「私はね。また紫苑に影武者頼むんでしょ?」
紫苑 「断る。」
神宮寺「まぁ、そう急くな。」

零王と莉薗と紫苑は、神宮寺の息子たちである。3人とも誕生日は違うが同じ学年だ。
零王と紫苑は、その瞳の色と髪の色以外は背格好も顔もそっくりだった。
神宮寺家の跡取りは、神宮寺と同じ瞳と髪の色を持つ零王である。彼だけは、生まれた時から帝王学を学び特別扱いで育てられた。高校も有名私立大学の付属へ通っている。
紫苑は、その瞳と髪の色の異様さから、規律がゆるやかで理解のある花柳学園へ幼稚園の時から通っている。
莉薗は、このふたりよりも身長が10㎝ほど低い。瞳は緑色で髪は赤毛だ。更に心は女だが身体が男というややこしいことになっていて、紫苑と一緒に花柳学園へ通っているが、高校入学と同時に、鎌倉の祖父母の家に移り住んでいた。

神宮寺「明日、零王のお見合いがあるんだが、代わりに紫苑がでてくれ。」
紫苑 「は?」
莉薗 「零王ね、おたふく風邪になっちゃったんだって。」
紫苑 「おたふく?あいつやってなかったのか?」
莉薗 「莉薗と紫苑は幼稚園でやったけど、零王は隔離されちゃったから逃れちゃったのよね~」
紫苑 「過保護にし過ぎるから弱くなるんだ。」
莉薗 「だよね~。今頃おたふく風邪になっちゃって、種なしになったらどうするの?」
神宮寺「明日の午後だ。場所は・・・」
紫苑 「だから、断る。そんなの日程を変更すればいいだろ?」
神宮寺「先方はもう大阪から出てきて、うちのホテルに泊っている。変更はできない。」
紫苑 「そんなの知らねぇよ。」
神宮寺「そうはいかない。相手は関西地方を代表する湊不動産の社長令嬢だ。近々、大阪に新しくホテルを建てる予定なのだから。」
莉薗 「うわぁ。政略結婚?」
神宮寺「結婚は今すぐではない。零王が20歳の時に子供が生まれればいい。」

大阪・・・?湊不動産・・・?嫌な予感がする。

神宮寺「察しがいいな。お前が今一緒にやっているバンドのメンバーの妹さんだ。」
紫苑 「はぁ!?」
莉薗 「そんなの、後でバレちゃうんじゃないの?」
神宮寺「明日は顔合わせだ。それからしばらく会うこともない。次に会う頃にはお互い成長して多少変わっていても問題ないだろう。」
莉薗 「さすがパパ。抜かりなし。」
神宮寺「いいな、紫苑。明日の午後3時。銀座のホテルのラウンジだ。零王の制服を着て来い。もちろんコンタクトも忘れるな。」

神宮寺は自分の要件だけを話すと、さっさと部屋を出て行った。

莉薗 「莉薗が代わってあげられればよかったね~」
紫苑 「無理だろ。その気もないくせに。」
莉薗 「うふふっ。紫苑、バンドやってるんだ?」
紫苑 「手伝いだ。」
莉薗 「今度ライブ行くね。」
紫苑 「来るな。」
莉薗 「あ、おじいちゃんとおばあちゃんが、紫苑に会いたがってたよ。」
紫苑 「・・・お前もスルーか。やっぱり、あいつの子供だな。」
莉薗 「紫苑もね。」

紫苑は大きくため息をついて、冷めた紅茶を飲んだ。



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